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人が選んだ本を読む

会社から帰ると、ポストに分厚い封筒が入っていた。やった!ウキウキしながら開けると、文庫本が2冊と、一筆箋が入っている。また、新しい本が届いた。

こうやって定期的に届く本たちは、全て姉が送ってくれるものだ。姉は電子書籍が嫌いなので、読みたい本があったらすぐに紙の本を購入して、読み終わったらこうして私に送ってくれる。結果、私は姉が探してきた、姉が面白いと思った本を、何の予備知識も、宣伝文句も読むことなく、まっさらな状態で読むことができるのだ。

本を読むにしろ、映画を見るにしろ、ストーリーをまったく知らない状態で作品に触れることは難しい。雑誌やネットでオススメされた記事を読んだり、予告編を見たり、前評判を聞いたり、なんとなく中盤ぐらいまでのストーリー展開を分かった上で作品を楽しむことが多い。

でも、こうしてポストに届く本たちは、私がまったく知らない本ばかり。私が選ばないような作家の、知らないタイトル。ストーリーはおろか、ジャンルさえも分からずに読み始めることができる。こういう完全に受け身で始まる読書体験ってすごく貴重だ。ポストを開けて、自分が注文したわけでもない本が何冊も届いている嬉しさよ。

同封された一筆箋にはたまに、「これはまあまあやった」とか書いてある。すぐに読んで「確かにあんまりやったね」とLINEする。私が読んだあとは、母に回す。紙の本は、回し読みして感想を共有できるから楽しい。Kindleも家族や友達と回し読みできるサービスがあればいいのに。

サービスといえば、こうして、信頼できる誰かがオススメの本を送りつけてくれるサービスがあってもいいかも。本のコンシェルジュってよく聞くけど、オススメされるだけじゃあらすじを見ちゃうから、それだとつまらない。有無を言わさず送りつけられることで、前知識なしに本を読む楽しさを味わうことができるのだ。

今日は姉が送ってくれた本の1つ、村山由佳さんの「風は西から」を読み始めた。もちろん、こんな内容だなんて知らなかったから、ヒリヒリしながらページをめくっている。ああ、胸が痛い。

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