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愛しのかぼちゃサラダ様

かぼちゃサラダはサラダ界でも一線を画している代物だと思う。
スーパーのサラダコーナーを覗くと、葉物野菜がずらりと並ぶお隣には、ポテトサラダ、マカロニサラダ、サラダパスタなんかが足並みを揃えている様子が窺える。すべてマヨネーズベースの彼らの中に、全く違う異分子が紛れている。それがかぼちゃサラダだ。他に比べて色も鮮やかでパッと目を引く華やかさがそこにはある。
最近は、「大人のポテトサラダ」と銘打つ燻製のベーコンとクリームチーズが入ってしまったわがままボディの胡椒たっぷりポテトサラダパイセンや、えびがごろごろと混ざる緑色鮮やかなアボカドサラダなんかもいて、心揺れることもある。

「メープル香る!絶品北海道県産南瓜サラダ」様(スーパーのお総菜コーナーご出身)がうちの冷蔵庫に鎮座されていた時にはもう、平伏すしかない。
裏面の原材料をよくよく見ると、かぼちゃの次に多いのは、なんとメープルシロップでした。そこから続々と乳等を含む何かと砂糖が連なり、これはもうサラダと呼べる代物なのか?と疑ってしまう。極め付けには、盛りもりかぼちゃサラダの横にむにっと絞られたホイップクリームが可愛らしく座っていて、もうこれは「シェフを呼んで」と高級フレンチの趣向を凝らしたデザートなのか。まさかスーパーで買ったお惣菜とは考えもつかない一品だと思う。
小さなケーキ用フォークで口に運べば、丁寧に裏ごしされたであろうスムーズな舌触りの部分とごろごろもさもさなざく切り部分とが混ざりきらずに個性を尊重していて、一度で二度おいしい。さらに目を瞑ってもうひと口進めれば、メープルの香りがきちんと漂っていることも確認できる。こんな奥深い味をたった300円ほどで味わえていいのだろうか。コスパ最強の幸せだなあ。
あーもうひと口、あとひと口、と食べ進めていくといつの間にかなくなっていて、青色のパックに一筋残るかぼちゃの線を夢中に集めることになる。
あぁ、食べたりないな、と思わせるのがお得意で、近いようで届かないアイドル的存在。
ある日、どうしても出先でかぼちゃサラダが食べたくなって、スーパーに駆け込みランチの代替にしたけれど、胃もたれを起こしてしまった、という経験もあり、今ではおとなしく月に一回程度、母の気分で決まる食卓での登場頻度に合わせて楽しんでいます。

かぼちゃサラダって、なんでこんなに心躍るのだろう?
みなさんはどんなサラダが好きですか?

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