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イタリアひとり旅11 パスタと出会い。

私の座右の銘は「幸せはカロリー」である。

萎えた心が回復してきたので、決意新たに立ち上がり、とりあえずホテルへ戻ろうと歩きはじめる。

フォロ・ロマーノの横を通り抜け、コロッセオを横目に歩く。ローマを代表する観光地ゆえに人が多かった。

観光客が多い、ということは、観光客相手に水や帽子やその他諸々を売ろうと声をかけてくる立ち売りの人も多い。

かろうじて立ち直った心に、降り注ぐ客引きの声は負担がかなり大きかった。

ホテルへ戻り、チェックインを済ませ、部屋に入って安心した拍子に再び泣いた。
初めてのローマは、とにかく不安だらけだった。それまでの観光地にはいなかった、立ち売りの黒人の人がめちゃくちゃ多い。それだけでめちゃくちゃ怖い。
この時は耐えきれずに、日本にいる母親に電話して泣きついたし、落ち着くためにアニメも見た。

1時間ほど部屋から出られなかった。

そこでふと、ローマに来てから何も食べてないことを思い出し、お腹が空いてるからネガティブなのだ!と思い至った。

死にかけた心と、溢れ出る弱音を蹴り飛ばし、立ち上がる。

なにか!食べねば!

そんな思いに駆り立てられて、ホテル周辺を散策する。こんな時こそ、勇気を出して新たな一歩を踏み出そう。

そう思い、日本語のメニューも置いてある近くのレストランに入る。レストランでの食事はこれが初めてである。

席に通され、カタコト英語で店員さんと相談しながら生ハムとモッツァレラのサラダとパスタを注文する。
この時の生ハムとパスタの美味しさは格別だった。思い切ってレストランに入って良かった。

一人で食事をしていると、空いていた隣の席に別の男性客が座る。

なんとなく、視線を感じるなぁ…と思っていると、英語で👨「それなに食べてるの?」と声をかけられた。

その言葉をきっかけに、しばらく会話が続くので以下なんとなくの意訳でお届けします。

(※🐟が私、👨が声をかけてきた方でお送り致します。)


🐟『これ(メニューを指差しながら)』
👨「おいしい?」
🐟『おいしいよ』
👨「じゃあ、この人が食べてるのと同じのとポテトをください。(と注文する)
どこから来たの?一人?」
🐟『日本から。一人できた。』
👨「日本!知ってるよ!オオサカとか、トウキョウとか!あと…ほら、野球が有名な…」
🐟『広島?』
👨 「そう!ヒロシマ!赤い野球チーム!」
🐟『有名やもんなぁ。あなたはどこ出身?』
👨「僕は韓国出身、一人旅をしてる。ローマに来る前はアテネにいて、次はバルセロナに寄ってから帰国するんだ。
もうローマ観光はした?」
🐟『まだ。今日ローマに来たところ。』
👨「そっかぁ…ローマはめちゃくちゃ暑いし、コロッセオもヴァチカンもめちゃくちゃ並んだよ。」

ジェラートを買った時とは大違いの会話力である。

🐟『それじゃあ、良い旅を!』
👨「キミも良い旅を!」

そう言って最後は握手をして別れた。
映画のワンシーンのようだった。

英語が全然わからなかった私が、なんと海外で人と英語で会話できたのである。
時間にすると10分くらいの会話だったと思うのだが、美味しいご飯を食べて、思いがけず楽しい会話をして、気持ちは完全復活である。もうなにも怖くない。

昼過ぎに食事をとったが、この時のパスタが結構大量で、夕食がいらないくらい満腹になったのだった。

カロリーと幸せを充填し、翌日のローマ散策へ備えるのであった。

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