見出し画像

椎茸祭のつくりかた

こんばんは。椎茸祭の竹村です。
今日は椎茸祭のつくりかたを書きました。
もしかすると、日本や世界における椎茸の問題や今後の椎茸の可能性について感じていただけるのではないかと思ってます。

第一話:チームラボをやめて㈱椎茸祭を起業してみた
https://note.mu/shiitakemura/n/n036196aa14db


どうして椎茸で起業したのか?

一言でいうとしいたけが好き、ヤバい
としばしば安易に答えてしまうのですが、
人生の判断は、一つではなく、色々な想いが混ざり合っているもの。

自分の場合、一番の理由は当時の外国人の彼女(今の奥さん)が菜食主義で、肉や魚を食べることができなかったので、椎茸をキーに平和を実現していけるかもと思ったからです。

とはいえ、起業。
人間は不確実なものに対して不安を感じます。当時の自分も不安でいっぱいでした。
不安でいっぱいの当時の私が、こっちに進むと腹を決めるまでについて
自分が起業するまでに感じた不安 vs ビジネスとしての勝算、そして社会的な意義、自分がやる意味について、整理の意味を込めて書いてみました。

・・・・・

きっかけ: 菜食主義とキノコのうま味

もともとの種は、2011年に私がインドへ移り住んで、現地の会社に入社したことがきっかけです。インドでは人口の40%ほどの人が菜食主義で、なんとなく自分もやってみようかな、たまにならやれるなーという感じで菜食主義をやってました。(これを柔軟菜食主義、フレキシタリアンと呼ぶそうです)

画像1

一応、菜食主義(ベジタリアン)について説明しますと、菜食主義というのは野菜をめっちゃ食べる人という意味ではありません。
一般的に、菜食主義=ベジタリアン=オボラクト・ベジタリアンと呼ばれており、肉や魚、貝などを食べられない人のことを指します。野菜や穀物や果物は食べられますし、お酒を飲む人もいます。巷でよく聞くビーガンは卵や乳製品は食べられないのですが、オボラクト・ベジタリアンは食べてOKです。インドでは一般的なベジタリアン表記にも採用されていたりします。

この菜食主義を続けてみると、肉や魚を食べないので、なんとなく食べても食べても、食べた感が弱く感じます。(牛丼の肉抜きで代わりに大根の煮物を食べてるとかそういうイメージでしょうか)
つまりこれは、肉や魚に含まれるうまみが足りないわけです。そして肉を食べたくなる。とてもとてもとても食べたくなります。

そんなあるとき、イタリアンのお店でキノコとトマトのソテー的なものを食べて、自分はめちゃくちゃに感動しました。なんだこれは!!
その正体こそがキノコ(おそらく椎茸とマッシュルームと現地の謎のキノコ)でした。
キノコは肉を食べたい欲を解消する気がする!と思いました。それもそのはず。キノコ類には動物性のうま味に代わる菌類のうま味があるため、肉や魚の代わり相乗効果を生みます。
全身がうま味=アミノ酸を歓迎してるんですね。

画像2

うまみの相乗効果の図

個人的な話でいうと、私の台湾人の妻とその家族は菜食主義なので、肉や魚はおろか、五葷(ネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラ)を食べられません。そういった人と肉や魚も食べる人(私もです)が一緒に食事をするうえで、どちらもが美味しいと感じるものを作りたいなと思いました。そうすることで”同じ釜の飯を食う”、という平和的な価値観につながるかもと思っています。

・・・・・

未来を予想する。シンギュラリティ以後の余暇とは

まずはなんとなく個人的にやってみたいこと、可能性のありそうなことを見つけました。

そして次に世界全体がどうなっていくのか?という未来に対して想像してみました。

最近よく「AIの進化がめざましく、シンギュラリティを迎える」という話がでてきます。簡単にいうと技術がどんどん進化してコンピュータの処理速度が人間の脳を超える、という話ですね。

僕らが生きている時代にシンギュラリティを迎えられるかはわかりません。それでもテクノロジーが進化することでどんどん余暇が増えてきているというのは実感があるのではないでしょうか。

では、余暇が増えたひとは何をするのか?

個人の問題に置き換えて予想してみました。
例えば、お金も10億円くらいあったとして、仕事もしなくていい。毎日やるべきこともないくらい暇になったとしたら、なにをするのか?
いつもやりたいと薄々思いながら、なかなかできないことをしませんか?

個人的には、料理と農業は絶対にやるだろうと思っています。

それであれば、料理のコンテンツ化農業のコンテンツ化は今後どんどん流行っていくのではないかと思いました。

・・・・・

マーケティングの話: 世界人口と菜食主義

インドはご存知の通り、人口がめちゃくちゃ多いです。
中国は世界1位で13.9億人、インドが世界2位で13.6億人です。
中国は一人っ子政策もあったために人口分布が歪み、高齢化社会が待っているのですが、インドはめちゃくちゃ子供が多く3年後の2022年にはインドが世界1位になるとされています。

そして、彼らの40%ほどが菜食主義*だと仮定するととんでもないマーケットになるわけです。
*なお現在のインドでは菜食離れが進んでおり40%を下回ると思われます。
しかし世界全体でみると先進国では菜食主義の人が増えており、インドで再度、菜食主義が増える可能性も高いと思ってます。

さて、世界で菜食主義が増えると仮定した際に、日本の和食にはどういったものがあるでしょうか?
ラーメンやうどんやお蕎麦といったものから、煮物など、かなり多くの料理には鰹節などの動物性の出汁が使われています。(それそのものは問題ではないのですが、動物性か非動物性かについての記載がないため、言葉の通じない外国人にとっては極めて不便します)

しかし、美味しい植物性のだしがあれば、肉を食べる人も魚を食べる人も、菜食の人もみんなで同じものを食べられるようになります。
(同じものを食べて、これ美味しいね、と共有することは人間同士のコミュニケーションの根っこに近いのではないかと思ってます)

そもそも日本では歴史の長い、しいたけなどを用いた精進出汁がありますし、ひいては和食文化の保存においても椎茸の(精進)出汁には意義があると思っております。

・・・・・

日本におけるしいたけの歴史

しいたけやうまみ、そして大きな未来に対して、私なりに感じている可能性を書きました。

では、日本人である私がやる意義があるのか?というところについて、続きたいと思います。

日本の椎茸の輸出の歴史は中国への高僧の派遣、遣唐使の時代から続くようです。この時代に、お茶などとともに椎茸を持って帰ったという説があります。

そしてその後の鎌倉時代、日本で椎茸について初めて書物に残したのは、禅僧で曹洞宗の開祖である道元和尚です。
このあたりの時代背景をみるに、椎茸は高僧などの位の高い人への食品であり、位の高い人への捧げものとしての性質をもっていたと言われております。

椎茸が高級品、というのはその後も長く続き、 1697年に宮崎安貞・貝原楽軒編「農業全書」ではじめてシイタケ栽培の方法が記されます。
その後も技術革新が進み、1900年代に入ってようやく森本彦三郎の手によって菌床栽培の方法が確立し、生産量は拡大していったのです。
*原木栽培は簡単に言うと木に菌を打ち込んで森の中で栽培する方法。2年以上栽培に時間がかかる。菌床栽培は木を粉砕したオガ屑に菌を混ぜ込んで主にハウスで育てる栽培方法。6ヶ月〜ほどで収穫できる。

そもそもここまで技術革新が進んだのは、1960年代まで最高級きのこの一つであるマツタケよりも椎茸のほうが高かったことも重要な要素だったように思えます。

・・・・・

国産しいたけ栽培が抱える問題点と希望

翻って今の現状をみると、椎茸農家はどんどん高齢化することで廃業してしまい、同時に生産量もどんどん減ってきております。逆にそれによって原木しいたけはわずかに価格上昇をしてはいますが、菌床しいたけも原木しいたけも日本の小さなマーケットから出て海外でめちゃめちゃ売れる!ウハウハ〜!みたいなことはほとんど聞いたことがなく、未だに新規でしいたけの専業農家になるのはかなりリスクのある状況に思えます。
菌床しいたけも原木しいたけも日本の小さなマーケットから出ることはほとんどなく、新規でしいたけ専業農家になるのはかなりリスクのある状況です。(私が調べた際は原木椎茸の栽培から収穫までに2年かかり、うまく収穫できたとしても年収350万円ほどの予測値だったため、かなりのハードゲームに思えました)

さて、本当に現実はそこまで深刻な状況なのでしょうか?

下記に原木しいたけ農家の戸数と生産量の推移をまとめてみました。データをみるに、2005年から2017年の13年間で原木しいたけの農家数も生産量も半減しているのが現状です。
*ただし2007~2010年と2011年以降で椎茸の種別の扱いが変更されているため多少の誤差あり。

画像3

農水省 特用林産物生産統計調査より作成


国産しいたけの世界は確実に縮小してきているのですが、それでも個人的にはしいたけには希望があると思っております。

日本には前述の通り長きにわたる栽培の歴史がありますし、しいたけ消費大国の中国景気は上向きで、EUやアメリカでも、しいたけはShiitake Mushroomとしてスーパーなどで一般的に売られるほどの知名度になりました。
現状、海外のShiitake Mushroomは香りの弱い菌床栽培のものが多いので、日本の香りの強い品種(原木栽培でも菌床栽培であっても)を輸出できるようになれば、可能性はぐんと広がるのではないかと思うのです。

ちなみに、今の椎茸があまり輸出されていないのは、ほとんどが生産管理や認証の取得率が原因かと思われます。例えばほとんどすべてのしいたけは無農薬のはずなのに、オーガニック認証を取得していない、農家サイドでは生産管理がされていないことで輸出時の認証を取得できていない等の問題があります。しかし、これらはやればできるレベルのものが多く、輸出ハードルそのものが大きいとはあまり思っておりません。

・・・・・

しいたけのだしで実現したいこととは

私の仮説なのですが、気の短いひとは呼吸が浅くて早く、気の長いひとは呼吸が深い長いのではと思っております。(これは主述関係が逆もまた然りな気がしていて、呼吸が浅ければ気が短くなり、深くなれば気が長くなるのではと)

参考: ストレス活動と呼吸活動の変容に関して

もしもこれが正しいとしたら、深呼吸の機会が増えることで私達は気が長くなり、穏やかになるのではないかと私は考えました。


では、私達は一日のなかでいつ深呼吸する機会があるのでしょうか。

あたたかな湯船に入ること、
そして、あたたかい飲みもの(特にうまみがあるもの)をとるときに

はあ〜〜〜〜〜〜っと、深呼吸をしませんか?

もしも、海外などで、湯船に入る文化もおだしなども飲まない環境があるとしたら、深呼吸の機会はどこにも(受身形では)訪れることがないことになってしまいます。

それであるならば、常夏の暑い環境でも飲めるおだしを作ろう。例えば、常夏の国でも建物のなかは思いもよらぬ寒さだったりします。建物のなかでも気軽に飲めるようにすることで、より多くの環境におだしを届けよう。

人が意識的にでも無意識的にでも、おだしを飲む文化を世界に対して広げていけば、毎日の生活に深呼吸の機会が増え、みんながほっこりして世界平和の一助になるのではないかと私は思っています。

そしてその影の立役者になる中心作物こそが、日本のしいたけ、しいたけのおだしであると私は信じ、これからの人生をしいたけに懸けていこうと決めたのでした。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!!
ぜひとも応援のほど、どうぞ宜しくお願い致します〜!!


この記事が参加している募集

自己紹介

いつも応援ありがとうございます。皆さまのおかげで元気に記事をかけております!引き続き応援よろしくおねがいします〜!!すこしでもやさしい世の中になりますように🍄