見出し画像

包丁の種類

包丁の歴史

包丁の歴史は、日本刀にさかのぼります。日本人は、体系により、西洋人のように重い剣を振り回すには向かないため、日本刀は、剣の切れ味に重きを置いた作りになりました。明治時代の廃刀令によって、刀の職人たちは、日常生活で使う刃物の製造へシフトしていきます。そのため、和包丁は、日本刀由来の切れ味が特徴の包丁となっていきました。

片刃と両刃

片刃と両刃の違い
画像引用:名古屋刀剣ワールド

包丁には、片刃(かたは)と両刃(もろは)があります。刃物の有名産地である大阪府堺の鍛冶屋は、片刃作りが得意ですが、岐阜県関の鍛冶屋は両刃作りが得意。一般的に、片刃は「和包丁」で、両刃は「洋包丁」。片刃は、プロの料理人が使うことが多い包丁で、片刃であることからまっすぐ切るのが難しい反面、食材の断面をきれいに仕上げることができます。両刃は洋包丁に多く、ご家庭にある包丁の多くが、「三徳包丁」(さんとくぼうちょう)という洋包丁です。両刃は、両面に刃が付いていることから、バランス良く力が加わり食材を切りやすいのが特徴です。

和包丁と洋包丁の違い

和包丁は元来、鋼と軟鉄を組み合わせて作られています。柔らかい鉄と硬い鋼を合わせて、2つの金属の良い所が組み合わさることで、折れにくく、切れ味の良い包丁になります。最近では錆びにくく、扱いやすいため、ステンレス製の和包丁も多く扱われています。

和包丁は片刃

和包丁は両刃もありますが、基本的には片刃で、断面は「レ」のような形になっています。片刃のほうが切れ味がよく、食材の断面の組織を壊さずに切れるため、魚を捌いたり、飾り切りや薄切りに向いています。鋭い切れ味の分、刃こぼれしやく、手入れが必要です。

洋包丁は両刃

洋包丁は両刃。その断面図は「V」のような形です。洋包丁は、もともと「肉を切る」目的で作られているので、肉の繊維を切るのにしっかりと力が加わる「押し切り」が主です。いっぽうで和包丁の刺し身包丁などは手前に引く「引き切り」になっています。

和包丁の種類

出刃包丁(片刃)


出刃包丁
有次 包丁 出刃 特製 150 mm 白鋼2 築地 ARITSUGU 柄 名入れ
画像引用:Amazon.co.jp

和包丁の代表格、出刃包丁(でばぼうちょう)江戸時代の堺(現在の大阪府)が発祥。片刃で、刃が厚く、重さがあるのが特徴です。魚だけではなく、鳥や獣の骨など硬い物に対しても有用です。骨などの硬いものを切る、割るときは、刃元を使って包丁の重さを活かし、叩き切るように使います。魚の身を3枚におろす際には、薄く鋭い鋒・切先(どちらも「きっさき」)と鎬(しのぎ)を使います。


柳刃包丁(片刃)

KEENSUN 包丁 正夫 鏡面柳刃包丁 刃渡り300mm ステンレス鋼
画像引用:Amazon

柳刃包丁(やなぎばぼうちょう)は、魚の身を切ることに特化した刺身包丁のひとつ。切先まで全体を使って手前に引き切るため、切り口が美しくなります。

刺身包丁は、関東と関西では形が異なり、先端が尖っている関西型を柳刃包丁と呼びます。一方、関東型は「蛸引包丁」(たこひきぼうちょう)と呼ばれ、先端が四角い独特の形状をしています。柳刃包丁は、菖蒲の刃に形が似ていることから正夫(しょうぶ)と呼ばれることもあります。

蛸引包丁(片刃)

有次 包丁 先丸蛸引 別打 270 mm 青鋼2
画像引用:Amazon

蛸引包丁(たこびきぼうちょう)も、魚の身を切ることに特化した刺身包丁のひとつ。切っ先が四角。柳刃より刃の幅も細くなっています。また、関東型の刺身包丁とも呼ばれていてます。現在では、魚を刺身にする場合には、刃が鋭い柳刃包丁のほうが使いやすく便利なため、一般的には柳刃包丁が主流となっており、刺身包丁=柳刃包丁と考えて良いようです。

フグ引き包丁(片刃)

兼松作 特撰 ふぐ引庖丁 30cm
画像引用:Amazon

てっさ(ふぐの薄造り)を引く包丁。身を薄く引くために刃を薄く造り、食材と包丁の抵抗を減らしています。


船行包丁(片刃)

堺石藤 貞宗 舟行包丁 165mm 和包丁
画像引用:Amazon

船行包丁(ふなゆきぼうちょう)とは、漁師が船の上で魚を捌くことや、簡易的な調理をするのに、これ1本で済むようにと作られた包丁です。出刃を薄く、細くした形状。軽量で使い勝手に優れており、小魚を捌くことや野菜を切るなどの用途にも適している万能包丁です。


薄刃包丁(片刃)

兼松作 日本鋼 鎌型薄刃庖丁
画像引用:Amazon.co.jp

薄刃包丁(うすばぼうちょう)は、日本の伝統的な野菜用包丁です。薄刃包丁は、その名のとおり薄い刃の包丁で、片刃です。表が切刃となって傾斜し、刃の裏側は裏すきとなってえぐれています。薄刃包丁は、直線に近い刃線が特徴であり、先端の近くが少々反っているか、ほとんど直線でなっています。また、峰から刃までの刃幅が広く、まな板の上で刻み物をするときに大きくストロークを取りやすい。片刃なので右利き用と左利き用があります。

関東のものは方形で、切っ先が尖っておらず四角くなっていますが、関西のものは鎌形と呼ばれ、先端の峰側が円弧状になっており、切っ先が尖っており、そのため細かい作業ができるような造りです(上記の兼松の薄刃包丁)。薄刃な理由は、固い野菜を砕くことなく切るため。

薄刃包丁は、京都の料理人に特に人気であり、彼らは鎌型の薄刃包丁を多くの作業に使用します。京都は陸地に囲まれており、東京の料理人に比べ野菜を使うことが多く、このため薄刃包丁が京都の料理人の道具の真髄(しんずい:物事の最も大切で肝心な点)になっています。 しかし一般的には野菜を切るためや、桂剥きのような特殊な用途に使われる程度。



菜切り包丁(両刃)

菜切り包丁
関孫六 銀寿 本鋼 和包丁 菜切 (東型) 150mm AK-5211
画像引用:Amazon.co.jp

菜切り包丁(なきりぼうちょう)は、その名の通り、野菜専用の包丁です。レタスやキャベツなどの大きな野菜を切ることや、また大根の桂剥き(かつらむき)にも向いています。日本で生まれた和包丁ですが、両刃です。そのため、カボチャやスイカなど、堅い野菜をまっすぐに切るのにも優れています。


身卸包丁(片刃)

身卸包丁
画像引用:實光刃物

身卸(みおろし)包丁は、出刃と刺身の良いとこどりの包丁。この一本で1匹の魚をさばいて切り身にすることができます。魚のための万能包丁です。


切付け包丁(片刃)

切付け包丁
画像引用:藤原照康刃物工芸

切付け包丁は、薄刃包丁と柳刃包丁(刺身包丁)の両方の特性を合わせ持った包丁です。刃先が尖っているので、刺身・肉・野菜にも使用できる万能包丁です。


皮むき包丁

皮むき包丁
画像引用:藤原照康刃物工芸

野菜の飾り切り、へぐ、そぐ、皮むき、くり抜き、桂ムキ、面取りなどの細工作業専用の包丁です。


うなぎ裂き包丁

うなぎ裂き包丁
画像引用:藤原照康刃物工芸

うなぎの骨切り、開き、ヒレ取りなどのうなぎを切るのに特化した包丁です。


麺切包丁(蕎麦切包丁)

麺切包丁
画像引用:藤原照康刃物工芸

うどんや蕎麦などの麺生地を切ることに特化した包丁です。麺切り包丁は刃渡りが長く柄の下まで伸びているのが特徴です。


中華包丁

中華包丁
画像引用:藤原照康刃物工芸

中華料理を作る時に使用する包丁です。大きな刃の重みを使い、肉や魚、野菜を切ったり、食材を刃の平面で潰す、などの調理も行うことができます。


洋包丁の種類

洋包丁は、和包丁ほど用途別に特化しておらず、魚・鳥獣肉・野菜まで、様々な食材を切ることに使えるものが多い。洋包丁は、ひとつの包丁で多様な食材を切ることができるため、柄を鋲(びょう)で固定されているものが多い。

牛刀(両刃、片刃もあり)

堺孝行 ダマスカス 牛刀 包丁 210mm V金10号
画像引用:Amazon

「牛刀」(ぎゅうとう)は西洋で生まれた包丁の代表格です。シェフナイフやフレンチナイフと呼ばれることもあります。肉・魚・野菜に限らず、使用は多岐にわたる包丁です。牛刀はその名の通り、ブロック肉を切り分けることに優れています。
大きくわけると「ドイツ型」と「フランス型」があり、ドイツ型は軽量で刃が薄く細長い形状フランス型は重く刃が全体に厚く膨らみがあります。西洋の一般的な家庭には、必ず1本はある包丁です。


三徳包丁(さんとくぼうちょう)(両刃)

貝印 KAI 三徳包丁 関孫六 ダマスカス 165mm
画像引用:Amazon

三徳包丁は、戦後に西洋の牛刀出刃包丁菜切り包丁を参考に作られた日本生まれの洋包丁です。肉・魚・野菜の3つに対応できることから「三徳」の名が付けられました。


ペティナイフ

村工業 日本製 ヴェルダン ブラック ペティ ナイフ 125mm モリブデン バナジウム 鋼 食洗機 対応 OVB-103 新潟 燕三条製
画像引用:Amazon.co.jp

「ペティ」とはフランス語で「小さな」という意味。牛刀包丁の小型版です。主に果物や野菜の皮むきなどの細かい作業に向いています。肉や魚、野菜のカットも可能ですが、野菜の皮むきにとても便利。小ぶりのナイフに「果物ナイフ」もありますが、果物ナイフの方が刃が厚くなっているものが多いです。


筋引き包丁(両刃)

堺孝行 黒影 包丁 青木刃物製作所 (筋引 240mm)
画像引用:Amazon.co.jp

筋引き包丁(すじひきぼうちょう)は、肉の筋を切ることに特化した包丁です。牛や豚を解体するときには、牛刀、骨すき包丁、皮はぎ包丁などと合わせて必要不可欠な包丁です。牛刀と似た形をしていますが、牛刀より細長いのが特徴です。


カービングナイフ

カービングナイフ
画像引用:Amazon.co.jp

カービングナイフとはフルーツや野菜、石けんなどに彫刻を施すことができるナイフ。カービング(Carving)とは「彫る」という意味。王宮などの食事を華やかに飾りたてるために野菜やフルーツに細かく彫刻を施すカービングは、もともとはタイの伝統文化でした。その際に使われるのが、カービングナイフです。通常のナイフと違う点は、細かい作業がしやすいように細長くなっている点。また、カーブしたものや尖ったものもあり、施す彫刻に合わせて刃の形を選んでいきます。

パテントナイフ(両刃)

パテントナイフ
画像引用:Amazon

パテントナイフは、側面にくぼみがあり、切った物が刃に吸い付かないという特徴があります。そのため、ハムやスモークサーモンを切るのに適しています。

パン切り包丁(両刃)

庖丁工房タダフサのパン切り包丁
画像引用:Amazon.co.jp

パン切り包丁は、やわらかなパンが切りやすい波型の刃が特徴です。他の包丁とは違い、長期間使用しても切れ味はあまり落ちません。


青鋼と白鋼

金属の世界で特に刃物の材料で使われる青鋼や白鋼というのは、日立金属の開発した刃物鋼の一種である青紙シリーズ、白紙シリーズのことを意味しています。同社のYSS高級刃物鋼は、ヤスキハガネの名称でも知られ、日本伝統の和鋼である安来鋼をルーツに持つ鋼材です。

これらは高品質な刃物で使われている有名な刃物鋼です。青紙1号、青紙2号、青紙スーパーが青紙シリーズで、白紙1号、白紙2号、白紙3号、白紙鋸材が白紙シリーズとなります。

白紙=白鋼

SK材(工具鋼)をベースにした高炭素鋼。JISでいう工具鋼は、炭素含有比率が0.6から1.5%となり、硬さ、耐摩耗性、耐衝撃性に優れた鋼です。0.6%を下回ると、S45C, S55Cに代表されるような機械構造用の炭素鋼ということになります。ただし硬いということは脆い性質もあります。工具鋼の硬さというのは熱にはあまり強くありませんので、ナイフや包丁をはじめとする機械加工に用いない手工具には向いています

青紙=青鋼

白紙に合金元素を添加して切れ味と耐久性を向上させた合金鋼。クロムとタングステン、鋼種によってはバナジウムを添加した合金鋼となります。

ダマスカス鋼/ウーツ鋼

ダマスカス鋼を用いたナイフ
CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1386837

ダマスカス鋼(ダマスカスこう、英: Damascus steel)とは、木目状の模様を特徴とする鋼であり、古代インドで開発されたるつぼ鋼であるウーツ鋼の別称です。ダマスカス鋼の名は、シリアのダマスカスで製造されていた刀剣などの製品にウーツ鋼が用いられていたことに由来しています。現在は異種の金属を積層鍛造して模様を浮かび上がらせた鋼材もダマスカス鋼と呼ばれていますが、本来のダマスカス鋼の模様はるつぼによる製鋼における内部結晶作用に起因するもの

外観だけでは違いや見分けはつかない

「青紙=青鋼」と「白紙=白鋼」の違いは見た目では区別がつきませんので、見分け方は、販売者がつけるマークや鋼材の刻印等に頼るほかありません。したがって、使用する際には材料置き場をしっかり分ける、識別のマークをつけておく等工夫が必要です。材料を表示する部分が加工中に消えてしまうこともあるため、使用時には置き場を分ける、混ぜて使わない、加工しない部位にも識別をつけておく等気をつけたいところです。




日本三大刃物産地

日本三大刃物産地は、大阪府堺市新潟県三条市岐阜県関市

大阪府堺市

大阪府堺市の包丁の起源は5世紀の古墳造営の時期にまで遡ります。堺市周辺には、日本最大の前方後円墳の仁徳天皇陵など数多くの古墳がありますが、当時古墳を作るための道具の製造のために鍛鉄(たんてつ)技術が発達しました。その技術は、平安時代末期から刀製造として引き継がれていきました。1543年にポルトガル人によって南蛮渡来品が日本に伝わりますが、大阪府堺市は、その後国内で生産される鉄砲の産地としても名を馳せていきました。織田信長ら為政者たちにも注目され、江戸時代には徳川幕府が品質の高さを評価して、他の産地と区別するために極印として「堺極(さかいきわめ)」を附して専売しました。そのため大阪府堺市で製造される「堺打刃物(さかいうちはもの)」は全国に普及していきました。

大阪府堺市の刃物の特徴
刃物には手仕事で作られる「打刃物」機械生産のものがありますが、堺が得意とするのは打刃物。大阪府堺市で製造される「堺打刃物」は全国的にも高いシェアを締めており、本職用の包丁では90%近い国内シェアを占めています。そんな堺打刃物の特徴は、片刃で鋼を使っているところ。

大阪府堺の刃物の特徴は、片刃で鋼を使っている打刃であること
画像引用:BECOS 「日本三大刃物産地とは?産地ごとの包丁の特徴を紹介」


新潟県三条市

新潟県三条(さんじょう)市では、おもに農業に必要な道具として中世のころから鎌や鍬(すき)などの製造が行われていました。閑散期の農家の副業としてはじめられた和釘作りを経て、その後包丁など多くの種類の打刃物が製造されるようになっていきます。そして新潟の三条は、次第に鍛冶職人の集まる地になっていきました。新潟県三条市で製造される打刃物は「越後三条打刃物(えちごさんじょううちはもの)」と呼ばれ、現在では国の伝統的工芸品に指定されています。打刃物の製造に必要な道具「ヤットコ(鉄ハシ)」なども鍛冶職人が自分たちで製造でき、製品からそれを作るための道具や用具まで一貫して作る技術が今でも引き継がれています。

新潟県三条市で製造される越後三条打刃物は、日本古来の技法を使い、金属を叩いて製造する刃物。農工具を作る技術を応用して包丁が作られています。そのため、高度な鍛造(たんぞう)技術を駆使して作らえています。高温に熱した金属を叩いて形状を整え、冷やして固める作業によって作られ、これによって成形するだけでなく金属内部の隙間をつぶして強度を高め、摩耗に強い包丁に仕上げてあります。一見シンプルな工程ですが技の習得には長い年月を要し熟練の技が必要です。また部位によって形状や材質を変化させていることもその特徴のひとつ。越後三条打刃物では、ひとつの包丁を作るのにさまざまな工夫が施されています。使用分野ごとに特化した形状や材質を用いて製造しています。そのため扱いやすく、切れ味にすぐれ、長く使える耐久性の高い包丁が製造されています。

岐阜県関市

3つ目の日本三大刃物産地は岐阜県関市。

関市の刃物の歴史のはじまりは鎌倉時代(1185年 – 1333年。関鍛冶の刀祖とされる元重が関の地に移り住み、刀鍛冶をはじめたのがルーツとされています。元重(もとしげ)は、貞宗(さだむね)の弟子とされ、貞宗三哲(さだむねさんてつ)のひとりに数えられます。元重は、切れ味にも定評があり、山田浅右衛門(やまだ あさえもん:江戸時代に御様御用(おためしごよう)という刀剣の試し斬り役を務めていた山田家の当主が代々名乗った名称。ただし、歴代当主には「朝右衛門」を名乗った人物もいます。死刑執行人も兼ね、首切り浅右衛門、人斬り浅右衛門とも呼ばれていました。)が刀匠ごとに切れ味を分類した懐宝剣尺(かいほうけんじゃく)に、最も切れ味が良いとされる最上大業物(さいじょうおおわざもの)のひとりとして挙げられています。

良質な焼刃土と炉に使用する松炭、長良川(ながらがわ)と津保川(つぼがわ)の良質な水があるという刀鍛冶にとって理想的な風土条件が整っていたことから、多くの刀匠が関に移り住みました。

室町時代(1336年 – 1573年)には刀匠が300人を超え、多くの刀が製造されるように。そして、「折れず、曲がらず、よく切れる」と評価されていた関の刀はその名を全国に広めていきました。その刀作りの伝統と技を活かし、関市では魅力ある包丁が今も多く製造されています。

岐阜県関市は日本三大刃物産地であると同時に、「世界三大刃物産地」としてドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェリンガムと肩を並べる存在で、世界的にも注目されています。

その特徴は、切れ味がよく刃こぼれがしにくいこと、そして芯が強いこと。そして、細分化された分業体制で製造されていること。

刃物の工程のひとつ「焼入れ」
画像引用:https://standardproducts.jp/blogs/no-01-02/岐阜県関市の包丁


世界三大刃物産地

岐阜県関市、ドイツのゾーリンゲン(Solingen)、イギリスのシェリンガム(Sheffield)は、「3S」と呼ばれる世界三大刃物産地。

シェフィールド(イギリス)

シェフィールド(Sheffield)は、イギリス中部にある工業都市です。

なかでもステンレス製品、特にナイフやフォークなどの刃物産地として、19世紀にはシェフィールドで生産されたうちの80%以上を輸出していた歴史を持ち、現在も数多くの刃物工場が存在します。シェフィールド産の刃物の特徴は、ブレードをハンドルに収納できる「フォールディングナイフ」や、缶切りなどが付いた各種ツールナイフなど。グリップアングルや機能美に優れ、シェフィールド製品は日常生活で使用するのに最適なナイフのひとつとして、抜群の実用性をかね備えているため、高い人気を誇っています。

Sheffield 12870 Moab 3.5 Inch Emergency Folding Knife
source: Amazon.com


ゾーリンゲン(ドイツ)

「ゾーリンゲン」(Solingen)は、ドイツ中西部にある刃物の町です。

ライン川の支流ブッパー川(The Wupper river)の水力、豊富な森林、そして隣接地で産出される鉄鉱石などに恵まれていたことから、13世紀より刀剣の生産が行なわれ、1600年頃には、ゾーリンゲンの刀剣鍛冶がヨーロッパ一帯にその名を馳せていました。その伝統を活かし、現在ではナイフやハサミをはじめとして、剃刀などの理髪用品、さらには高い完成度が求められる手術用ナイフなど、あらゆる種類の刃物を製造する町として世界的に有名です。

ゾーリンゲンの包丁で有名なのは、老舗キッチン用具メーカー「ツヴィリング J.A. ヘンケルス」。カジュアルラインのヘンケルス(HENCKELS)と、高級ラインのツヴィリング(ZWILLING)の2つのブランドがあります。創業時より、鋼などの素材の厳選から最終的な製品のフィッティングまで一貫して取り組み、また国が認定した熟練工、マイスター制度を導入し、クオリティを追求した製品づくりが行なわれているのが特徴です。

Zwilling J. A. Henckels (ツヴィリング・J.A.・ヘンケルス)

ヘンケルス 三徳包丁(3,330円)
画像引用:jp.zwilling-shop.com
ツヴィリング 三徳包丁 160 mm(7,150円)
画像引用:jp.zwilling-shop.com




和包丁のブランド

築地有次(つきじありつぐ)

大正7年に日本橋で創業、大正12年に築地に移転し、現在に至る和包丁ブランド。刀鍛冶(かたなかじ)、藤原有次を祖とします。

純日本鋼本焼鱧切白二鋼 ¥155,000(税別)
画像引用:有次

佐治武士(福井県 越前市(武生))

佐治 武士 SRS13 鎚目 三徳包丁 和包丁 180mm 赤合板柄
画像引用:清助刃物

佐治武士(さじ たけし)は、打ち刃物の産地・福井県武生市において、44歳の若さで伝統工芸士の認定を受けた、鍛冶三代目の当主。 30年以上にわたる打刃物業の経験から、多品目の包丁やナイフを製作しています。ハンティングナイフに見られる、アイアンウッド、牛骨などカスタムハンドルをあしらった変わった包丁や、有色ダマスカスと呼ばれる独特の虹色模様の包丁など、包丁の見た目にもこだわりった鍛冶。

實光刃物

大阪堺の實光刃物(じっこうはもの)は、1901年創業。實光刃物は、そのユニークで美しいい刃を持つ包丁で知られています。

【左利き 白二】刺身包丁 (43,725円)
画像引用:實光刃物


柳宗理

日本を代表するプロダクトデザイナー柳宗理氏デザインの包丁。

柳宗理 日本製 キッチンナイフ 刃渡り18cm 包丁 ステンレス シルバー
画像引用:Amazon.co.jp


GLOBAL(グローバル)/吉田金属工業

グローバル 三徳 刃渡り 18cm
画像引用:Amazon.co.jp

金属加工の街、新潟・燕三条地区にある吉田金属工業。こちらの包丁ブランド「GLOBAL(グローバル)」は、オールステンレスが特徴です。持ち手のドットがトレードマークで、その美しいデザインにより、グッドデザイン賞も受賞しています。

庖丁工房タダフサ

新潟県は三条に工房をかまえる包丁工房タダフサ。薄く繊細に研ぎ上げている点に特徴。芯材(合材)に青紙鋼やSLD鋼(ダイス鋼)といった強靭な合金鋼を用いており、芯の両サイドをステンレスで包む複合材を主に使用。

万能170mm三徳 11,000円(税別)
画像引用:タダフサ


Misono(ミソノ)

日本三大刃物産地のひとつ、岐阜県関市。この地でプロ用包丁を作り続けているメーカー「Misono(ミソノ)」。 メーカー最上級モデルの「MISONO UX10」は、ハガネ包丁なみの鋭い切れ味と研ぎやすさが特徴。ステンレス包丁の最高峰。

Misono(ミソノ) UX10 ペティーナイフ No.733/15cm
画像引用:Amazon.co.jp



堺刀司

正重作 筋引 (14,850円〜)
画像引用:堺刀司

堺刃物を製造する包丁メーカー。堺刃物は600年の伝統を持つ伝統の調理器具。包丁の種類は一通り揃い、鋼材のバリエーションも豊富。プロの料理人からも信頼が厚い


下村工業

新潟県三条市にある調理・精密刃物メーカー。140年以上前から続く三条刃物鍛冶としての創業の歴史を持つ。職人の手による水研ぎ刃付け、オールステンレスのヴェルダンや、本研ぎ水砥刃付の角馬、コバルトを配合した高品質刃物鋼V金10号を使用し軟質と硬質のステンレスを交互に鍛造したダマスカス紋様を持つUN-RYU等の包丁のラインナップがある。

河村刃物

創業1926年の大阪堺の包丁メーカーで、菊月と重陽シリーズを展開。プロの料理人の声を細部にまで反映し使いやすさを追求、火造りから研ぎまで一流の職人が丹精込めて作り上げています。

重陽 柳刃
画像引用:河村刃物


龍泉刃物

越前打刃物で知られる福井県越前市の刃物メーカー。越前打刃物は、1337年(南北朝時代)京都の刀匠千代鶴国安が刀剣制作に適した地を求め、府中(現越前市)に来住したことを契機に根付いたとされ、長い歴史を持つ。


パール金属

新潟県三条市に本社を構える1967年の設立のキッチン用品メーカー。広範なハウスウェアをラインナップに持つが、包丁としてはダマスカス調からオールステンレスまで毘光、毘剣、毘響、毘雄、毘嵐といったシリーズがあります。


貝印

貝印 KAI 三徳包丁 関孫六 ダマスカス 165mm
画像引用:Amazon.co.jp

岐阜県関市で創業したナイフメーカーをルーツに持ち、キッチン用品、菓子用品等も手がける総合刃物メーカー。全世界で500万本以上売り上げた「旬」や、刀匠 金子孫六氏による「関孫六」といった高級ラインの包丁を上市。


スミカマ

スミカマ (SUMIKAMA) 霞(KASUMI) チタニウム 三徳包丁 18cm
画像引用:Amazon.co.jp

岐阜県関市の包丁メーカー。霞KASUMIブランドで、ダマスカス鋼やチタンコーティング、VG10を無垢材として刀身に100%用いたVG-10 PROシリーズ等を展開。斬新なデザイン・色合いの包丁も上市。


藤次郎

藤次郎 三徳 170mm 日本製 コバルト合金鋼 両刃
画像引用:Amazon.co.jp

新潟県燕市の包丁メーカーで、「抜き刃物」の技術に特徴。日本でも数少ない一貫製造の包丁メーカー。使用する鋼材も豊富で、ラインナップは多岐にわたる。芯材にコバルト合金鋼を用い、側面を耐食性に優れたステンレス鋼で挟む複合材を使用したラインナップが多い。



土佐刃物流通センター

400年にも及ぶ歴史のある高知県の土佐打刃物。柳刃包丁や出刃包丁で定評がある。土佐刃物は素材・製法において条件を満たす必要がある。鉄、炭素鋼を素材とし、鎚打ちにより打ち延ばし及び打ち広げをすることにより行うことを旨とする。鎌、包丁、鉈及び柄鎌の焼入れは、「泥塗り」を行い急冷するといった伝統製法。歪取り、刃付け、研ぎ、仕上げは、手作業。柄は木製。


三寿ゞ刃物製作所

創業昭和21年以来、兵庫県三木市で本職も納得する最上級の切れ味と価格を両立させた庖丁を製造。播州三木打刃物の発祥は、5世紀の百済からの技術渡来にまで遡るとされます。


参照



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?