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月と思しき

もう梅雨かと思うほどしとしとと6月らしいそれがふり、僕は傘など持たぬのでアウターの帽子をひとしきり被りコンビニに寄っては暇をつぶすという変わらぬことをやっていた。それでも生きていれば腹はへり、少し遅れた午後2時二サンドウィッチを頬張り、まだやまぬ雨を睨んでは、ついニヤリと笑ってしまった今日も惨敗の僕である。

鹿田です、よろしくね。
休肝日であることと、またMリーグ観戦のまた暇を縫う記事であるので僕はただ執筆欲のまま制限時間内にせかせか執筆するのみで、乱文は必至である。
と言いつつMリーグが白熱しすぎてここからはMリーグ終了後に飛ぶ!

カエルが鳴き、上がった雨の残る道路を走る車も心地よい音を奏でる。なにより寒くないので僕は執筆の無限機構とさえなり得る。この心地よさは何モノにも代えがたい。旱天にひび割れた畑の土も、共に鳴いて喜んでいるに違いない。僕もそうしよう。

シュレーゲルを肩に乗せ、久方ぶりにぬかるんだ土に裸足で浸かり、怪しき初夏の夜に潜り込んではそんな動植物たちと共に体を濡らし響き合いたい。名も知らぬ星たちに不安になることもなく、デネブのついばむきのみにそっと隠れては鳥の目になって僕らの町を見下ろす。田舎の僕の街はすでに寝静まり、ところどころに灯火が灯るだけ。月は隣に来て淡く僕らを照らし、そしてぬるい、風を運んだ。

この頃調子が悪くてさ、そういう月はまるで昔の電気みたいにチカチカ光ってはジジジと時折黒ずむ。君は本当に月なのか、つくづく怪しいねぇなんて少し意地悪く問えば(君がその気なら僕もその気だ)と短期な月は顔を隠して太陽から逃げてしまう。僕は新月がきらいだから慌てて弁解すると、やはり月は上手で(そうだろう)と憎らしい笑みでONする。(まあね、中が空洞かどうかなんて、大した問題じゃないんだよ)と陽気にいうとどこからか缶ビールを2つ出してきて、その一つを僕に渡した。

ありがとうといいつつ、僕はプルタブを勢いよくあける。単なる照れ隠しだが大いに有効だったりもする。(まあまあ慌てて、でもキンキンに冷やしてあるから問題ないよ、とびきりキンキンにね)と月はまるで僕をすべて把握している。けれどもキンキンにするには、もう少しはやいんじゃないかなあなんて、再び僕が憎まれ口を叩くと(そのほうがね、うん、ゆっくりのめる)なんて宣うのよ、お月さん、お月さま。

ところで僕も、うまく鳴ける方だよ、なんて月はプライバシーなんて言葉をしらないから僕がついさっきまで浮かんでいた夏の酔いのネタをバラす。白けるね、大いに白けるねお月さん。ケロケロ。(だって君、まだ肩にシュレーゲルをのせたままなのだから)僕は鹿田なく儀式的に左後頭部を掻いてみせては、やはりまだキンキンのままのビールをゆっくり喉に流し込んだ。月も隣で静かにビールを飲んでいる。

夏かぁ。なんでこうも馬鹿みたいに、夏が来るだけでわくわく・・・・
してしまうんだろうねぇ。(君は、そういう星の下に生まれたのだよ)なんだか哲学なことを行ってくれるじゃないか、月。じゃあ聞くけど、その星ってなにさ?
(そりゃあ自分で考えなさいよ)まあ、哲学だもんな、仕方ないか。
ところでさ、月、今の仕方は鹿田にしたほうが良かったかな、あえて、故意に。
(そんなネタバレ食らわせんのは、ナンセンスだよ、シラけた、やんなっちゃうぜぇ)

ああ、シラけたシラケた。
精一杯シラケた。
では、寝るか、となった。

しかし素敵な夏は夜中広がる。


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