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飲食店を開業してよかったこと。

こんにちは、ばるじぇのの太い方です。

久しぶりの投稿になりますが、お店も潰れずに何とか生きています。

この記事自体は昨年末から下書きしているのですが、なにぶん貧乏暇なしでして、非常に遅筆になってしまいました。

さて、2024年1月より、
ランチ&ディナーのグランドオープン!

ところが、閑散期の1月、北陸の荒れた天候、地震による自粛ムードをはじめとする多様な要因も重なり(主には実力不足だが)かなり苦戦。

一転、2月。
ご新規さんも増え、徐々に客足も回復し、開店後の月売としては最高となりました。

そして、3月。
毎日ボロ雑巾を絞るかの如くクタクタになりながらも、少しずつ営業が形になってきました。

ランチをはじめてはや半年。
ディナータイムをはじめて3ヶ月。

会社員が飲食店開業して何がよかった?を、
超個人的な視点からお伝えしてみます。

大きく分けると9コあります。

1.売上が上がると嬉しい

第一に、意外と売上が上がると嬉しいです。

数ある飲食店の中から、選んでいただくこと。
料理を口にしていただくこと。
ばるじぇのという空間で過ごしていただくこと。
そして、サービスの対価としてお金を支払っていただくこと。

本当に感謝です。

勘違いしてほしくないのは、
決して、「売上=お金儲け」ではないこと。

売上=お客さんとの出会いの数×価値のある時間
だと、ぼくは感じています。

売上を積み上げることに、
お店としての存在意義を噛みしめるのです。

「存在意義」とは間違いなく、ぼくの人生の第一義であるので、コレを可視化してくれる「売上」はやはり大切な位置づけになるでしょう。

とはいえ、「売上を上げるために」という思考では万事を進めていません。あくまで売上は結果論(成績表みたいなもんですね)として捉えています。

2.多様な価値観の人々とお話できる

当店のような、「会話型飲食店」の場合、コレが一番の醍醐味かと思います。

前職でも、かなり幅広い職種の方とお話はしてきましたが、そもそも、仕事における商談なんて、雑談の中にも緊張感があったりして、あまり腹を割って話せなかったりしますよね。

マスターをしていると、本当に多彩なバックグラウンドのお客さんと話す機会が多いです。

90歳のおじいさんの俳句解説、アメリカ人投資家のギャンブル理論、学校教員の裏話、企業人の業界あるある、大学生の長期休みの土産話…etc。

時には、まるで壮大なドキュメンタリー映画を観るかのように、こちらも感慨に耽るのです。

これはあくまでぼくの考えですけど、人間というのは本質的な欲求として、「誰かに話したい。伝えたい」という欲があると思っています。

そして、単なる世間話でも、過去の栄光でも、個人的な悩みでも、とにかく話すことで、日々の暮らしに潤いを感じられる場があってもいいのではと思います。

「誰かに何かを聞いてほしい!」
という内なる声を秘めた方、ぼくは大歓迎です。

3.懐かしい人に会える

これはどこかの記事でも書きましたが、一生交わることのないと思っていた旧友等に会えるのも喜びのひとつです。

10年ぶり、20年ぶりの再会はザラです。
約30年ぶりの再会もありました。

ある種、日常的に同窓会が開かれる感覚です。

これは「お店」という媒介物がなければ決して起こり得なかったことだと思っています。
(ぼく単体では会わないけど、「お店に行く」という大義名分があるからこそ会える)

こうして復活した縁もこれから大切にしていきたいと思うようになりました。

みんな来てくれてありがとう。

4.時間を大切に使える

仮にも飲食店。
飲食店は時間との闘いです。

開店前、開店中だけではなく、買い出しや仕込みもダラダラとできません。

常に逆算して分刻みのスケジュールを脳内で組み立て、こなしていかねばなりません。

10:45までにネギを刻んで、
10:55までに机を拭き上げて、
11:00までにカトラリーを整える…みたいな。

だらだらゴロゴロと過ごすことが大好きだったのに、今では大幅に減ったように思います。

さらに、当店は週休二日制ですが、定休日も買い出し仕込みなどが発生するため、もはや休日まで分刻みの意識をもつようになりました。

時間に追われるというと都会的でしんどくもありますが、大切に使えるようになったともいえるかも。

5.新しいお店を開拓するようになった

もともと出不精のデブですが、時間を大切にするようになってからは、スキマ時間に外に出るようになりました。

特に、同業である飲食店に行くことが増えました。

勉強や営業的な要素がないわけでもないのですが、ぼくが望んで訪問するのは同じ「ワンオペ」もしくは「ツーオペ」のお店が多いです。

そういうお店は忙しい時間帯でなければ店主さんとお話しやすく、お店のヒストリーを伺ったり、苦労話をしたり…、そんな時間がささやかな癒やしとなるのです。

ちなみに、「同業他社ってギスギスしないの?」と開業前は疑問に思ってました。

だって『神の雫』や『将太の寿司』など飲食に関わる漫画は大抵ライバル店との激しい競争に巻き込まれて対立するじゃないですか。

ぼくの知る限りでは、意外とそうでもないです。

立地や業態、ターゲットが異なるというのもありますが、少なくともぼくは「同じ苦労や喜びを知る仲間意識」を強く感じています。

6.コミュ力が上がった

正確には「気がする」だけなのですが、日々お店の内外で新しい人々との会話が多くなっているので、対人コミュニケーションに抵抗感がなくなったとも言えるでしょう。

おとなしい、シャイ、人見知りする…

そう言われた性格が変わりつつあります。

逆に、今の悩みは余計なことをベラベラ話してしまっている気がすることです。

もう少しお淑やかに、謙虚に、相手との距離感を測りながら会話をするように心がけたいと思います。

↑そういったこともワンオペ店やバーに行くことで少しずつ勉強にしています。長年客商売をやられている方はこのへんの感覚が絶妙にうまいのです。

7.痩せた

ダイエットは全く意識せず、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んでいるのですが、太らなくなりました。

恐らく消費エネルギーが以上に大きくなったのだと思います。圧倒的に立っている時間が長いから。

会社員時代はデスクワークだったので、普通に生きていると体重が増え続けていましたが。

飲食店で働く…ダイエットにはいい職種ですね。

ただ、この仕事を50歳以降も続けられるのか?という体力的な危惧は既にあります。

8.いろいろな情報が入ってくる

お客さんはご近所の方が中心なので、「近所」の情報が入ってきます。

話が逸れるのですが、
金沢は「町会」の文化が根強い町です。

「町」の中に幾つかの「町会」という自治組織が存在し、毎年住民からの「町会費」を元手に様々な運営をしています。

例えば、ゴミの集荷場のネット・カゴの設置、清掃活動、除雪といった日常生活に関わることから、お祭り、バス旅行など余暇に関することまで、町会で企てて役割分担し、実行していくのです。

そんな町会内の情報がたくさん入ってくるのはありがたいです。

「〇〇さんに聞けばこの辺のことは分かるよ」
「〇〇さん(お店)はすごく良いよ」
「この辺の暗黙のルールはこんなことがあるよ」

ネットには出てこない情報の方が多い小地域で、多様な情報や口コミがコロコロと集まってきます。

特に、「町会」というのは新参者(県外からだと尚)には易しくない情報も多いかもしれません。

仮に、飲食店をやらずに、単なる引越しで今の地域に来たとしたら、情報収集は難しかったのではないかと思います。

(例えば、「町会の新年会・総会には出席しなければならないのか?」をわざわざお隣さんにピンポンして聞くのはハードルが高いでしょう)

だからこそ、当店が情報のターミナルとして、地域住民の情報交換の場になっていけば面白いなと思っています。

9.組織の煩わしさがゼロ

まず、ワンオペ店だから言えることですが、
組織の人間関係の悩みが全くありません。

同僚との飲み会って、多くは「誰かの悪口」が盛り上がるものかと思います(ぼくはそうでした、すみません)。

で、盛り上がるんですけど、結局、その悪口の対象となる人間に対して苦労やら悩みやら憤りを感じているわけで。

それが一切合切なくなったのは、人生におけるストレスの半分がなくなったに値するんじゃないかと思います。

また、自分自身の仕事内容も量も時間もすべて自分で決める「完全裁量」なので、責任は伴いますが、好きなことができるのは楽しいです。

会社では、時には自分の哲学に反する業務に従事することもあるかと思いますが、そういったストレスもなくなりました。


以上、開業して良かったことを挙げました。

もちろん、良いことばかりではなく、大変なことも多々あります。

それでも毎日が楽しく過ごせることに感謝し、今後もより素敵な店づくりを目指していきます。

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