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「お姫様」の現実

「王妃マルゴ」にハマってからしばらくの間、毎日のように中世ヨーロッパ関連の資料をネットで漁っておりました。

学生時代はつまらない印象しかなかった中世が、こんな面白いネタの宝庫だったとは。
しかしその中でもやはりフランス宮廷史は別格ですね。エロもグロも含めて仰天エピソードだらけです。
気がつけば深夜まで読みふけり、1週間ぐらい寝不足気味でした😅

あれ?この感覚、どこかで。。と思ったら、そうか韓流時代劇にハマり始めた時と同じです。その時も朝鮮半島を含む東アジアの歴史を調べまくったなあ。

どなたかが「自分の頭の中でバラバラだった歴史のピースがパズルのように嵌っていって通史になる」とコメントしておられましたが、うんうん、それわかります。国ごとにバラバラの知識しかなかった中世ヨーロッパの国際情勢が漫画のおかげで俯瞰出来るようになるんですよね。

キングダムもそう。教科書では覚えられない戦国の七雄の位置関係が、漫画だと一発で頭に入りますもん。

さてさて、のっけから脱線してしまいましたが、歴史を知れば知るほど、お姫様になんてなるもんじゃないと思ってしまいます。(いや、なろうと思ってなれるもんでもないですけど💦)

この先「王妃マルゴ」のネタバレあり

古今東西どの時代であれ、蝶よ花よと育てられても往々にして王家の娘は政略結婚の駒でしかありません。(あ、これ、「コウラン伝」でのシラのセリフだわ)
14や15歳で言葉も分からない遠い異国の王室に嫁がされ、その華やかな宮廷も影では陰謀と嫉妬が渦巻く。。
運良く世継ぎに恵まれれば、母后となって権力を振るうことも出来るけど、下手したら政争に巻き込まれ、負けてしまえば良くて幽閉、悪ければ。。。💦

主人公のマルゴも例外でなく、異教徒の王太子(ナヴァル=後のアンリ4世)と政略結婚させられた上に、数日後にはかの有名な「サン・バルテルミの虐殺」が勃発。自分の結婚式がプロテスタント達を呼び寄せる罠だったことを知るのです。最悪ですね。。

月日を重ねナヴァルを愛するようになっても、彼は女好きの多情な男で(史実でもナヴァルは生涯で50人以上の愛人がいたらしい)、6巻以降はマルゴの孤独感がいたたまれず、読んでてちょっと辛かったです。

ただ、虐殺事件はともかくとして、この時代に王女が好いた相手と結婚できるはずはなく(例外中の例外:マリア・テレジア)、ギーズとマルゴを引き裂いた母后カトリーヌ自身も14歳でイタリアのフィレンツエから嫁ぎ、10人もの子供を産んだのに夫(アンリ2世)の心は愛妾ディアーヌのものでした。しかも漫画には出てこない話ですが、なんとカトリーヌも恋愛関係にあった男性との仲を引き裂かれているというのです。なんたる運命の皮肉でしょうか。
そしてその悲しい運命はナヴァル(アンリ4世)の二人目の王妃マリー(もちろん政略結婚。それも彼女の持参金目当ての)にも受け継がれていくのです。

「お姫様」に夢もへったくれもありゃしませんね。┐(´д`)┌
もちろん庶民も庶民で大変だったでしょうけど。

余談ですが、「REIGN/クイーンメアリー」は、「王妃マルゴ」にも登場するメアリー・スチュワートを描いたドラマです。

ドラマ自体は設定やトピックスだけ歴史から借りてきて自由に創作するフュージョン時代劇です。そのため史実からの大きな逸脱や現代的すぎる表現が多かったりしてあまり好みでなかったのですが、後世の人々の創作意欲を掻き立てるのに十分な、メアリー・スチュワートの波乱万丈な人生もまた「お姫様の現実」ですね。

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