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■「うさぎとカメの物語」令和ver.



ぼくは、うさぎ。

ぼくの友達は、これまで
うさぎ仲間ばかりだったけど、

ある日、カメくんと
友達になった。

カメくんは
ぼくの知らない話をたくさん知っていて
本当におもしろい。

ぼくはカメくんのことが
すぐに好きになった。


だけど
仲良くしているうちに
どうしてかわからないけど
ぼくはカメくんと一緒にいると
イライラするようになってしまった。


カメくんは
歩くのがめちゃくちゃ
遅い。


いつも
ゆっくりゆっくり
歩いている。


それを見ると
ぼくはなぜだか
イライラして
カメくんに
いじわるを
言いたくなってしまうんだ。


「もうっどうして
そんなに遅いの?
イライラして
待ってられないよ」


ある日、ぼくは
競争をしようと持ちかけた。


「あの向こうに見える建物まで
はやく辿り着いたほうが勝ちだよ」


カメくんは
あまり乗り気ではなかったけど
ぼくは無理やり
競争をスタートした。



よーーーい。どん!!!



カメくんは
相変わらず
ゆっくりゆっくり
目的の建物を目指す。


競争だよって言ってるのに
ちっとも走っているように
見えない。


ばくは
イライラを通りこして
腹が立ってきた。


もうゴール直前まで
走ってきてはいたけれど
あまりにも
腹が立って
カメくんの位置まで
戻ることにした。


ぼくは
カメくんに向かって
これまで我慢していた言葉を
ぜんぶ吐き出した。


「なんで
もっとはやく走らないんだ?

ぼくがはやく走ろうって
こんなに言ってるのに!!!

いつもいつも
どうして
そんなにゆっくりなんだっ?

どうしてぼくを
無視するんだよっっっ!!!」


カメくんは
びっくりして
ぼくを見た。


「うさぎくん、
どうして怒っているの?

ぼくは
うさぎくんを
無視してなんか
いないよ。

ぼくはぼくの
精一杯で
いま、走っているよ。

でもぼくは
うさぎくんみたいに
ぴょんぴょん身軽に
飛び跳ねられる
体じゃないんだ。

うさぎくんは
とても走るのがはやいね。

すごくカッコいい。
うらやましいよ」

ぼくは
それを聞いて
ますます腹が立った。


「ぼくは
はやくなんてないっ。

ぼくはいつも
ママにもパパにも
友達にも
走るのが遅いって
バカにされているんだ。

だから、
もっとはやく走らなくちゃ
いけないんだ。

カメくんみたいに
ゆっくりしてたら
ぼくはもっともっと
みじめになってしまうんだっっ」


あまりに
腹が立って
泣けてきた。

そんなぼくを見て
カメくんは言った。


「うさぎくんが
みじめだって??

とんでもない。

うさぎくんは
うさぎくんのペースで
いいじゃないか。

はやいほうが
えらいだなんて
誰が決めたの?

ぼくは
いつも楽しそうに走る
うさぎくんを見ているのが
楽しいよ。

ぼくは
うさぎくんが
うさぎくんだから
大好きなんだよ。

うさぎくんは
もう十分に
走るのが得意だし
カッコいいよ」


ぼくは
うえーーーーーーん
と泣いた。


そして
カメくんに
謝った。


「カメくん、
ごめん。

ぼく、カメくんのことが
うらやましかった。

だって
ゆっくりゆっくり歩いても
誰にも怒られないし
バカにされないし

カメくんは
いつも堂々としてる。

いつも友達に囲まれて
楽しそう。

だから
カメくんに
腹が立っちゃった。

カメくんだけ
はやく走れ!!って
怒られないの
ずるいっ!!
って思っちゃった。

ぼくだって
ママやパパの言うことを
無視してるわけじゃないんだ。

いつも一生懸命に
走っているけど
パパやママや友達みたいには
はやく走れないんだよーーーー。

うえーーーーん」


たくさん
たくさん泣いている間
カメくんは
動けなくなったぼくのことを
ずっと待ってくれていた。


カメくんのことを
待っていられなくて
イライラしていたぼくが

その日は
カメくんに
ずっとずっと
待ってもらった。


カメくんが
教えてくれたこと。


ぼくはぼくのペースでいい。

ぼくは走るのが得意。
ぼくは走るのが好き。

ママよりもパパよりも
友達の誰よりも
はやく走れないけど

それでも
走るのが得意で好きでいい。

だって
ぼくは
ぼくだから。


ぼくは走るのが楽しくなって
ぼくはカメくんと遊ぶのが
ますます楽しくなった。


カメくんは
今日も
ゆっくり堂々と歩く。


ぼくは
今日も
ぴょんぴょん走る。


やべえ。
ちょー楽しい!!



おわり。

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