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夢を持つことから未来は生まれる/デザイン研究者・パーソンズ美術大学非常勤講師

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第2回の講義noteです。

岩渕 正樹(イワブチ マサキ)さんについて

■プロフィール:NY在住のデザイン研究者。パーソンズ美術大学非常勤講師、東北大学工学部客員准教授。東京大学工学部、同大学院学際情報学府修了後、IBMDesignでの社会人経験を経て、2018年より渡米し、2020年5月にパーソンズ美術大学修了(MFA/Design&Technology)。現在はNYを拠点に、Transition Design等の社会規模の文化・ビジョンのデザインに向けた学際的な研究・論文発表(Pivot Conf., 2020)の他、パーソンズ美術大学非常勤講師、Teknikio(ブルックリン)サービスデザイナー、Artrigger(東京)CXO等、研究者・実践者・教育者として日米で最新デザイン理論と実践の橋渡しに従事。近年の受賞にCore77デザインアワード(Speculative Design部門・2020)、KYOTO Design Labデザインリサーチャー・イン・レジデンス(2019)など。
Twitter: @powergradation


新しい未来を提示するスペキュラティブデザイン

岩渕さんは、IBMでユーザー中心設計の手法に則りサービスをデザインされていました。ほどなくして、その分野では「やりきった」と考え、次世代のデザイン分野である「スペキュラティブデザイン」に関心を持たれます。そして、スペキュラティブデザインの第一人者、ダン&レイビーのいるパーソンズ大学に入学。

※スペキュラティブデザインとは:「スペキュラティブ」とは日本語で「思索する・推測する」という意味で、「スペキュラティブデザイン」と言うと「(未来)投機的なデザイン」と訳されることが多いです。例えば資本主義のような現代社会の現実とは別の、オルタナティブな未来の世界観を提示し、人々により良い未来を考えさせるのがスペキュラティブデザインです。
https://goworkship.com/magazine/iwabuchi-speculative-design/amp/


実際に、「人とものとの関係性を問い直す」様々な作品を作流ことで、未来の世界観を提示されています。
例えば、「Lamppoets」は、電柱が見ている景色を写真で撮り、その写真を基にAIで詩を作るプロジェクトです。「People in Japan 2050」は、機械が労働を代替したときに人々は何をするのか?人々は何に生きがいを見出すのか?と言ったことを投げかける映像作品です。

また作品をつくるだけでなく、現在は「teknikio」というスタートアップでSTEM教育のための子ども向け、制作キットなどを開発されています。「teknikio」では、「STEM should be more Gender Neutral」というビジョンを掲げ、従来、男の子が興味が持ちやすい製品が多かったメカニック系に対し、女の子も興味が持てるフェルトのキットなど、ジェンダーニュートラルな製品を販売されています。


Have a dream.(みんな夢を持とう)

このように幅広い取り組みをされている岩渕さんですが、お話のなかで何より響いたのが、「みんな夢を持とう」とおっしゃられていたこと。前提として、本当の夢やビジョンというのは、「絶滅しないように」「食べ物に困ることのないように」といった課題ベースの「希望」ではなく、ライト兄弟のように「空を飛びたい」と言ったPassionから来るものだとおっしゃられていました。


私も、ひとりひとりが自分の夢を持ち、その実現のために自由にプロジェクトを立ち上げる世界がいいな〜と思い、武蔵美の授業内で発表したことがあります。(重ね合わせるのは僭越ですが・・・)

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かく言う私自身、社会人2-3年目のころまで、全く自分の夢なんて持っていませんでした。会社で将来のビジョンを尋ねられても、「このまま順調に会社で評価されて昇進し、結婚して子供を産み、戸建てに住むのかな?」といった、全くときめかないけど、何となく社会的に正解とされるようなものしか思い描けませんでした。
他者からの期待に応えたり、決められた基準を超えることが何より大切で、自分の夢なんて長らく描いていなかったのです。加えて、会社に所属する年げつが長くなればなるほど、「会社(組織)の描くビジョン=自分のビジョン」のような気になっていました。

でも社会人3年目頃から、今回の岩渕さんのように、自分の夢を掲げる人たちの話を自分から聞きにいくようになり、夢のない自分の生き方に、「このままでいいのか?」と疑問を持ち始めました。
私がお会いした自分の夢を語る人は、とてもかっこよくて、自分の人生を謳歌しているように見えましたし、「人生の主人公み」を感じたので、「自分も夢を持ちたい」と強く思うようになりました。
その日から、何度も何度も「自分がワクワクできる未来ってどういうものだろう?」と自問自答し、小さな理想から、少しずつ自分の夢を膨らませてきました。


そしていま私は、「誰もがありのままの自分らしく生きられる世界」をつくりたいと思っています。ひとりひとりが自分らしさを愛して、お互いがその人らしさを受容できたら、最高だな〜!という思いがあります。
これはまだまだ、岩淵さんの定義でいうと夢ではなく、希望の範疇を出ていないかもしれません。けれども、描き続けることで、昇華されるものだと思いますし、一旦今の私が描ける夢はこれだと思っています。


もしこの拙いnoteを読んでくださった方で、「夢を持ちたいな。でもどうすれば?」という方がいらっしゃれば、まずはいろいろな人の夢を聞くところから始めてみるのが、いいのかな?と個人的な経験を踏まえて思っています。話の中から、自分の心惹かれた部分をメモして、その集積を見返したときに、最初の夢が見えてくるかもしれません

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