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ダメダメな面接

来年度に向けての面接とデモレッスンが毎週のようにある季節が来た。

私の学部でも正規のフルタイムをひとりとインターン生をひとり雇うことになり、今日はフルタイムに応募してきた女性を面接+レッスン見学をした。(*アメリカの私立校で教師をしています)

彼女はかの有名なC大学Teachers College大学院をもうすぐ卒業する。嫌味なことは言いたくないけれど、超有名校であり優秀な学生で溢れていると思われる大学の大学院だが、ここからの候補者でこれまでに素晴らしいデモレッスンが出来た人を見たことがない。この何年間で、もうざっと20人は面接しているけれど、そろったように全員が基本のできていないダメ以下のダメだった。

超有名大学は何を教えているんだろう、と不思議になる。

面接の受け答えや授業のテクニックなどは個人差があるとは思うが、これほどまでにみなさんダメダメだとこちらも非常に辛い。もうC大学院の人は面接にも呼ばれない可能性すら出てくる(現に次のいくつかの履歴書を見ながら、大学名を確認してしまう)。

それとは対照的にN大学の大学院からの候補者は驚くほど素晴らしいレッスンプランを持ってくる。残念ながら彼らは有名中高校に就職が決まるのでうちにはなかなかやってこない(笑)。どちらも超有名校なのにどうしてこんなに差がついてしまうのかを探りに行きたいほどだ。C大学院からはとびきり出来が悪い人ばっかりがうちに面接に来てるのだろうか・・・・だたしたらそれも辛くて傷つく(笑)。

みなさん書類上では優秀で技術も高く教養と知性と意欲と希望に満ち溢れており、素晴らしい人たちなのだが、その真偽は会ってみないとわからない。

今日来たC大学の彼女は、何もかもが ”これはいかん” という見本のような人であった。

教育は金儲けになる、という主張をした。校長との面接について後から聞くと彼女は饒舌に”ビジネスとしての教育”について自論を繰り広げたらしい。うちは私立だけれど、金儲けの対象として生徒に接してほしくない・・・それをやんわりと告げても ”今がビジネスとして飛躍のチャンス!” と我が校の売り上げに彼女が貢献できることを捲し立てたらしい。校長先生はデモレッスンに顔も出さなかった。

服装がえらいことカジュアルだった。スーツを着た方がいいとは言わないが、やはり第一印象は良い方がいいのでせめてジャケットやブラウスにきちんとプレスされたボトムス、磨いた靴、が望ましい。うちの学校はカジュアルな方だけれど、それでも浮くくらいカジュアルだった。上はダボっとした毛玉がたくさんついたセーター、下は黒いスパッツ、そして編み上げのドックマーチンのブーツを履いていた。レッスンを見学した教師の3人は(私含め)、彼女が来るという理由で今日はジャケットを着ていた。プロとしての敬意を見せるためだ。

給料の額を聞かれた。私だけでなく、ランチで一緒だった向こう3人両隣にも聞いた。アメリカでは給料の話はタブー中のタブーだ。面接で給料を聞く人はあまりいない。そこにいた全員がかなり居心地悪い様子だったのも悟れないようだった。ランチの席ではとにかく金の話ばかりで、家を買うといくらか、ガソリンは高いのか、近所のレストランのランチはどのくらいなのか・・・そして”C大学院は学費が高いからそれに見合う給料が欲しい”と言って笑った。げんなり。

授業はインターネットの丸写しだった。かなり有名な独学サイトの内容、スライド、ビデオを全てまるパクリ(授業中にサクッと検索したらすぐ見つかった)で彼女が自分が話していることを理解していないことはすぐにわかった。生徒の ”このGalenという人は誰?” という質問に、なんと彼女は ”歴史上の有名な人よ笑” と答えた。

当たり前やろ!歴史の授業やぞ!無名な人間の話はせんわ!ガレンも知らんで中世の科学の話をすんな!アホ、ボケ、帰れ!(心の中でツッコミ)

更には、”来週末までに合否を連絡しますね” と事務的にサヨナラを言う私に、何度も何度も "早く連絡をくれないと他の学校も面接があるんですよ” とまるで引く手あまたなので早く私を雇うことを決めなはれ!と言わんばかりに帰らない!!!

最後には”あと2分で授業が始まるので教室から出てください” と追い出す形になってしまった。

今日の彼女は特殊なケースだったろうと思う。だけど次に面接をするときにCの人が来たら流石に身構える。出来るならもう応募してこないで欲しいとさえ思っている。

だって疲れるんよ、ダメダメな面接って魂吸い取られるくらい疲れるんよ。はぁーーーー。

シマフィー 

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