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高見沢さんの霧雨

夜中の1時半過ぎにJFKを出た飛行機は翌日の早朝4時過ぎに羽田に到着した。
そこからバタバタとあちらこちらを行ったり来たりして、私が羽田を出たのは午前10時半。初っ端から日本のアレコレの仕様がわからず途方にくれた話はまた次の機会に。 とにかく私は無事帰国した!

そしてメインのイベント、今日帰ってこなければならなかった理由は夜行われるTHE ALFEEのライブであり、そのために私は初めて埼玉県の地を踏んだ。
その時点からライブまでの5時間余りも感動や戸惑いや恥ずかしさやなんかが入り混じった濃い時間と素晴らしい体験があった。でもそれもまた次回に。

忘れないうちに今日のライブの感想を残しておきたい。
忘れる、というよりは上書きされる前に、誰かの感想や所々しかない自分の不確かな反芻を元にして新しい記憶が足される前に残しておきたい。

*セトリに触れる文章が出てきますので、NGなお方はここでストップ!!

感想1:震え
私は拳をあげたりキャーキャー叫んだりすることはほぼなかった、でも全身全霊でアルフィーの音、声、光、笑い、愛情表現なんかを吸収していた。
最初の3曲は全身の細胞がザワザワとジンジンと震え動くのを感じ、両手を固く握っていないとガタガタ震えてしまうのではないかと危惧するほどだった。
中盤は手を頬に当てていないと唇が小刻みに震え顔の筋肉がひきつるような、後半は細胞から搾り出された私の震えが涙に変わってサラサラと流れるような感じだった。
一言に感動とか最高とか表現出来ないほどの細かな、細胞一つ一つが舞台に反応しているような震えだった

感想2:The AGES
イントロからじわじわと涙が溜まってきていた。
アルバム”AGES "(1986年リリース)は私が高校生だった35年前、いつもいつも聴いていた。個人的にすごく”アメリカっぽい”音が大好きで留学先に持ってきていた3枚のうちの一枚だったとも思う。

”星屑の英雄たち その伝説が蘇る あの時代追いかけてた 夢が再び蘇る
AGES 再び蘇る!”

最後のフレーズを歌う3人を交互に見た時に、今日、この日に私のとっての伝説が、夢が、英雄が、蘇ったのだと涙が止まらなかった。
出戻ってから配信やラジオやテレビでも、私の中のアルフィーは蘇っていたけれども、ライブを見てようやく本当に彼らが全方向からの力を帯びて蘇った、と感じた。

感想3:美しいシーズン〜人間だから悲しいんだ
ただただ高見沢さんが美しかった。ふんわりと抱えるギターに寄り添うように透き通った声と音色、”静”を感じさせつつも情熱いっぱいの”美しいシーズン”。
正反対に、アコギを力任せにダイナミックに、まるで戦いの場で切って切って切りまくる剣士のように、”動”よりも大きく空気を震わすギターの音色とオーラが凛々しく美しく、これぞ高見沢俊彦だとジーンときた。

感想4:Sweat & Tears
照明は全編素晴らしかったけれどこの曲で気づいたことが二つ。
歌詞に呼応するように深いオレンジの赤>スカイブルー>深いオレンジに変わる照明がまるで、夜明け>澄んだ青い空>夕焼けのようで、永遠に終わりのない青春の象徴のようだった。
そして花道に出てきた御三方にあたる照明はピンウィールPinwheelの白黒でまるで箱にかけられたリボンのよう、そしてその中央でそれぞれがスポットにあたりまるでプレゼントの箱の中で弾き歌うように見えた。
最後は天井部にもピンウィールが映し出され、オーディエンスも含めた全体がプレゼントのようでここにいるみんなでライブを作るのだなぁと感動した。
*ピンウィールってこんなの↓

感想5:See You Again
歌詞も歌唱もオーディエンスの歌唱も、全てが合わさった化学反応にやっぱり涙が止まらなかった。どの部分がとか誰のパートが、とかではなく、”全体”に頭から最後のリフレインまでぎゅっと掴まれた心臓の中心で私は ”高見沢さん、ごめんね”と思っていた。
35年という長すぎるブランクを与えてはいけない人だった。
この人はずっとずっとずっと愛されていなくてはいけない。
それをやめた私がまた出会った高見沢さんに向けて "See you again サヨナラは言わない” と歌うのが苦しいような気持ちだった。

全てが終わり外に出ると冷たい空気と霧のような雨。
私の復帰を見守るのは満月でも、満天の星でも、豪雨でもない、霧雨。
色んな感情と感触が入り混じり、見えないほどの雨粒は私の肌に染みてゆく。
高見沢さんを思う霧雨。

シマフィー


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