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人生の幸せを再定義しよう

今回は、皆さんに三つの問いについて考えてもらいたいと思います。

  • 幸せな人生を送りたいですか?

  • 今、幸せですか?

  • 自分の幸せが何か理解していますか?

統計的なデータが手元にあるわけではありませんが、多くの人が最初の質問には「はい」、あとの二つには「いいえ」と答えるのではないでしょうか。そこで考えていただきたいのです。それでいいのでしょうか?自分の幸せとは何かを理解せずに、幸せな人生を送れるでしょうか?なぜ学校は何もせず、大人はこの重要な問いに答えられないのでしょうか?

幸せをつかむという行為は、ある意味、おいしい料理を作ることに似ていると思うことがあります。例えば、お寿司でも、ラーメンでも、フランス料理のフルコースでも、スイーツでも、どんな料理でも構わないので、あなたの好きな料理を何か一つ頭に思い描いてみてください。でも、それは誰かが届けてくれるものではありません。自分で作ったこともありません。けれども、自分で作るのです。人生の幸せとは、そのような自分の好きな料理を想像しつつ、自分に合った食材や調理法(プロセス)を模索し、それを信じて料理することに似てると思います。食材は必ずしもマグロや牛肉のようなメイン食材が重要とは限りません。シナモンやパクチーなど、ある意味脇役的な食材があなたの人生にとって重要かもしれません。また、途中経過からは、出来上がりを想像するのが難しいこともあります。しかし、自分が見つけた食材と調理法を信じて、その困難な過程も楽しみつつ、それをやり遂げることが大切なのです。

例えば、日本に住んでいるあなたは、とても重要な食材の一つを既に手に入れていると言えると思います。とても幸せなことです。自分にとっての大切な食材は「家族」だと感じる人もいるかもしれません。とても良い気づきだと思います。今回は、この人生の重要な問いに関して TED の動画などを参照しながら理解を深めたいと思います。動画を見る際には日本語の字幕を活用してください。


幸せな人生を導く四つの行動

この動画では、幸せに関連する研究によって明らかになった、幸せな人生を送るための四つの行動を教えてくれます。必ずしもあなたにとって一番重要なことではないかもしれませんが、それらを知ることで、より良い人生を送るヒントになることでしょう。

大切な人と多くの時間を過ごす

人とのつながりは、人生の幸せの大切な要素です。良い家族、良い友人を見つけ、その人たちと過ごす時間を大切にしましょう。

良く寝る

良質な睡眠は、脳の健康を保ち、ストレスを軽減するために必要です。

週4回以上運動する

運動は体重維持など身体的な健康だけでなく、ストレス解消など精神的な健康にも効果的です。

意味のある仕事をする

仕事とは人とのつながりです。仕事は、普段の生活では出会うことのない人と出会う機会を与えてくれます。お客さまに意味のあるサービスを仲間と共に提供し、結果を出すことは、お客さまの幸せや仲間の幸せに貢献するという観点から、自分の人生に意味を与えてくれます。

所有しているものを欲しがる方法を学ぶ

この動画では、ハーバード・ビジネス・スクールで幸せについて研究している教授が、幸せに関連する二つの重要な方程式を説明しています。ビジネス・スクールの最高峰で、幸せの授業があることは、とても興味深いことだと思います。一つ目の方程式は、先ほどの TED の動画と重なる部分が多いので、ここでは二つ目の満足に関する方程式に焦点を当てたいと思います。

Happiness = Enjoyment + Purpose + Satisfaction
   幸せ      =    楽しみ    +    目的    +    満足

Satisfaction = Haves / Wants
   満足        =  所有  /   欲求

The art and science of happiness | Arthur Brooks | TEDxKC

二つ目の満足に関する方程式は分数になっており、その解釈から興味深い示唆が得られます。

欲しいものを手に入れる

一つ目の解釈は、幸せにつながる満足を得るためには、少なくとも欲求が必要だということです。つまり、欲しくないものを手に入れても、満足は得られないということです。この状態は、分母である欲求がゼロの状態であり、解は無い状態に相当すると考えることができます。

同様に、所有した途端に欲求がなくなるものも、幸せにつながる満足感を与えてくれません。例えば、車を手に入れた途端に欲しくなくなるものですが、そのような物(物欲)は、人生の幸せとは無縁である可能性を暗示しています。

欲求を抑える

二つ目の解釈は、幸せにつながる満足を得るためには、欲求を抑えることが必要だということです。つまり、分母である欲求が大きすぎると、いくら所有しても満足を得られない状態に陥る可能性があるということです。

そして、ここには大きな罠があります。それは、分子である所有が大きくなればなるほど、分母である欲求がそれを上回るスピードで大きくなっていくものが存在するのです。このような状態は、決して満たされることがないにもかかわらず、さらにそれを欲するという依存症 (Addiction) の状態につながります。「お金 (Money)」、「権力 (Power)」、「快楽 (Pleasure)」、「名声 (Fame)」 などはこのような依存症を引き起こすことで知られており、人生の幸せとは無関係かもしれません。

所有と欲求のバランスが大切

つまり、幸せにつながる満足を得るためには、所有しつつも、欲求が湧いてきて、かつ、その二つのバランスを持続的に保つことができるものが適切かつ最適であるということです。とても興味深い示唆だと思います。また、それに関連して、動画の中ではとても大切な教えを共有しています。

We need to learn how to want what we have, not to have what we want in order to get steady and stable happiness.
安定した幸せを得るためには、欲しいものを所有するのではなく、所有しているものを欲しがる方法を学ぶ必要があります。

ダライ・ラマ14世 - テンジン・ギャツォ

「所有しているものを欲しがる」という表現は、哲学的な響きがあるため、難しく聞こえるかもしれません。この解釈にはいくつかの可能性があり、皆さんも自分なりの解釈を見つけてください。ここでは、解釈の可能性の一つを紹介することで、お手伝いが出来ればと考えています。

所有とは今であり、欲求とは未来

  • 今、幸せですか?

これは冒頭で皆さんに投げかけた三つの問いのうちのひとつですが、この問いをよく噛みしめてほしいのです。瞑想し、自己管理能力を最大限に発揮し、自分の「今」を再認識してほしいのです。 そして、もう一度自分自身に問いかけてみてほしいのです。今、幸せではないですか?

もし「今」のあなたが幸せだとは感じられないとしたら、先ほど述べたような依存症に陥っている可能性を疑ってみると、何か気づきが得られるかもしれません。「お金」「権力」「快楽」「名声」などの依存症を引き起こす問題を抱えている場合、人生の幸せから遠ざかっている可能性があります。例えば、今の状況がある種の自己犠牲の上に成り立っていると感じている場合は、何らかの依存症の問題を抱えているのかもしれません。

感情知能の向上に伴う高度な自己管理リーダーシップの能力は、人生における幸せといった重要な問いについても、自分自身を導くことができます。リーダーシップの本質とは、他者を巻き込むことではなく、他者に共感されるような自分自身へ導く能力なのです。


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