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オリンピックもあっという間に終わってしまいましたね。
今回のオリンピックは陰の部分と陽の部分が見え隠れしてしまった部分もありましたが、随所に見どころ満載でした。

その中でも、最後の最後までもりあがったのが、カーリング。今回出場できたのが、女子チームだけだったのですが予選リーグから準決勝、決勝と手に汗握りながら一生懸命応援しました。

カーリングというと、長野オリンピックで男子のカーリングの試合をテレビで見たということをうっすら覚えていたのですが、前回のオリンピックあたりから「カーリングってこんなに見ていて面白い競技だったんだ」と思うようになり、今回は全試合最初から最後まで録画もばっちりで何度も見ました(笑)

彼女たちの姿をみていると、こちらまで楽しくなり、なぜか一緒になって試合をしているような感覚になってしまいます。

今日はそんな彼女たちの魅力をひもといていきたいと思います。

ゼロからの積み上げ

現在ロコ・ソラーレの代表理事をしている本橋麻里選手。

彼女は過去2回、オリンピックに代表選手として出て、アイドルみたいな人気を博していた選手。そんなスター選手がいきなりチームを離れて故郷に戻り、なにもない状態からチームを作るという傍からみたら無謀なことを実行に移しました。

メンバーを集めるだけでも大変なのに、スポンサー集めやメンバーの就職先なども探したという芯の強さは尊敬しかありません。

強い思いを持つ、ということは多くの方にできることだと思います。でも、それを実行に移す、ということがどれだけ怖いことでどれだけ大変なことか。

私自身も、いまその課題に直面しているところなので、彼女の勇気と愛溢れる行動力は本当に見習わなければならないところです。

できない理由を考えない。できることを実行に移す

本橋選手を見て見習わなければならないのは、行動力だけでなく、姿勢だと思います。プライベートでは2人のお子様を持つママさんアスリート。それをできない理由にしないところがまたカッコイイところです。
「子は親を見て育つ」といいますが、おやじの背中を見たり、頑張っている母親の姿をみて「ぼくも、私も頑張ろう」という気持ちになることもあります。

「わたしにできることはあまりないけれど、私にでもできることを、できる範囲でやります」という言葉をよく口にする知人が私の周りにもいるのですが、まさにその通り。ただ、「私はどうだろう?」と思った時に、まだまだできていない自分がいるので、私自身、戒めにして、大いに見習いたいと思います。

強豪チームからの引き抜きはしない

強いチームを作りたい、と思った時にまず考えるのは、強豪チームからの引き抜き。でも、本橋さんは決してそのようなことはしなかったのだそうです。
有力な選手は、就職時に引き抜きにあい、地元には残っていなかったのだそうです。とはいえ、そんな中、吉田夕梨花選手、鈴木夕湖選手が残っていたのは超ラッキーでした。地元に残っている有力選手を的確に見つけて声掛けをした本橋選手はやっぱり見る目があるなぁと感心しきりです。その後、ラッキーが重なって、のちに吉田知那美選手、藤澤五月選手も加わり、今のチームが完成しました。

一度挫折を味わった人たち

華やかなイメージしかないロコ・ソラーレの選手たちではありますが、改めて経歴を調べてみたところ、必ずしも順風満帆ではない4人だということがわかりました。

吉田夕梨花選手と鈴木夕湖選手はいわゆる引き抜きには合わなかった選手。鈴木選手に至っては本橋選手に声をかけてもらっていなかったら辞めていたといっているくらいなので、人生なにがあるかわかりませんよね。吉田知那美選手もソチオリンピックの最終戦が終わった後戦力外通告を受けてとりあえず地元に戻った感じですし、藤澤選手も中部電力という強豪チームにいながら勝てないというジレンマに陥り、地元に戻ったとのこと。バラバラだった4人が1つのチームにまとまり、輝きを増したというところでしょうか。

「捨てる神あれば、拾う神あり」本当に良いタイミングで良い出会いがあったんだな、と思います。

とにかく明るい

本当に、このチームの特長は「とにかく明るい」ところにつきますよね。どん底を見たことがあるからこそ、時には自分を奮い立たせ、時には仲間を安心させるために、どんな劣勢に立っても常に前向きな言葉をかけあう。これがチームプレーの良いところだと思います。タイムアウトの時や、5エンド終了後の「もぐもぐタイム」時にイケメンコーチの動向も見ていたのですが、彼もまた必ず前向きな言葉をかけていました。

前向きな言葉をかける、というのは本当に大切なことで、これは子育ての世界でも同じことがいえます。

一生懸命頑張ったけれど成績が伴わなかった、ということはよくある話です。その時に、どうしても目先の数字だけで判断してしまうとついつい厳しい言葉かけになってしまいます。

確かに、その先の選択肢を狭めたくない、という親心もあるかもしれませんが、その言葉をちょっと飲み込んで、一生懸命頑張ったというプロセスに対し、ねぎらいの言葉をかけることで、お子さんは救われた気持ちになります。

相手のことを常に考えて、前向きな言葉に置き換えて、それを言葉に出す。私自身も心がけたいと思います。

アイディアが豊富

今回の大会で、シンキングタイムといわれる時間は1試合につき38分でした。
これを多いと感じるのか、少ないと感じるのか。

私は10エンドという長丁場で38分って意外と短いな、と感じました。

その短い持ち時間の中でも、常に情報交換をしあい、先に投げた人にアイスコンディションを聞いてみたり、ストーンの置き方ひとつとっても、自分たちの投げた次の一手で相手がどう出るのかというところまでをきちんと予測したうえで、Aプラン、Bプランなど様々なプランをみんなで考えてアイディアを出し合って、みんなで答えをだす、というところが素晴らしいところです。4人で意見を出し合うことで、いろいろな視点から可能性を探ることもできます。

20キロのストーンを、ミリ単位の位置にコントロールするだけでも大変なのに、緻密な計算と予測とこれまでの経験から答えを割り出すのに情報の共有は必須なんだなと思いました。

ミスをみんなでカバーする

これも、前向きな言葉をかけたり、情報を共有することと似ています。

一見ミスショットだったかも、というショットをしたとしても、鬼スイープで伸ばしてことなきを得て、「これはこれでいいよね」という状態を作り上げる。

ミスをミスにみせないカバー力が世界の他のチームと比べても優れているようにみえました。

強烈な5つの個性が1か所に集まる

くせのあるストーンを容易くコントロールしてゲームメイクをする吉田夕梨花選手。
いわゆる「リケジョ」といわれる頭脳と、強力なスイープ力を発揮する鈴木選手。
明るい笑顔と前向きな言葉かけ、語学堪能な吉田知那美選手。
勝負勘が強い藤澤選手。
心温まる声掛けと縁の下の力持ち的な存在の石崎選手。

特長のある5つの強烈な個性がひとつの場所に集まって、確実に10倍力、20倍力になっていました。


おわりに

今回のオリンピックを通して感じたのは、小集団ながらもこういうのが、私が普段からいっている「インクルーシブ」な状態だということでした。

個性が刺激し合い、融合しあい、協力しあうことでひとつの答えを導き出す。
そのプロセスの積み重ねが成功につながる。

これを今の時代を生きる人たちにあてはめると、一人ひとりがそれぞれ違った個性、特長を持っており、誰一人として標準という枠には当てはまらない人間同士が仲間として1か所に集まって、その中でいろいろな思い、考えを出し合いながら、新たなものを導き出す、ということになります。

今回のロコ・ソラーレのケースは、1か所に集まったのがうまくはまった例であり、必ずしも1か所に集まることにより新たな良いものが生まれたりすることにはつながらないかもしれません。

ただ、もしうまくいかなかった場合は、合いそうな別の場所に移動して、そこで同じプロセスを試行してみれば良いのではないかと私は思います。

今回のオリンピックで金メダルを獲ったイギリスチームのスキップの選手が、「最後に日本と戦うことができて嬉しかった。カーリングを楽しみながらやっているからこっちも楽しくカーリングをプレーすることができる」と言っていました。

カーリングの選手やスノーボードの選手が素晴らしいと思ったのは、敵味方関係なく相手を心からリスペクトし合い、一緒に喜び合う姿です。この姿をいろいろなところで見れる日がくるといいなと思いました。


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