Shimizulab:清水勝彦研究室

慶應ビジネススクール教授 BCGの内定を辞退し創業2か月のCDIに新卒で参画。 1…

Shimizulab:清水勝彦研究室

慶應ビジネススクール教授 BCGの内定を辞退し創業2か月のCDIに新卒で参画。 10年間の戦略コンサル、テキサス大学准教授(テニュア取得)を経て、2010年より現職。 国際学術誌4誌の編集委員。 ドリコム取締役監査等。 ダートマス大学MBA、テキサスA&M大学Ph.D.。

最近の記事

スキーと大相撲(清水勝彦研究室ブログ)

GWなので、ちょっと号外的に。ダートマス大学の女性新学長が来日するパーティが4/25に開かれた。イスラエルがらみのデモのせいで来日は直前で中止になったが、パーティは決行。大学、大学院(私はここ)の卒業生、9月からの新入生、そして在校生の両親など50人くらい集まった。 弱いつながりの重要性( Granovettor教授のネットワーク理論)はどこかで聞いたことがあるかもしれない。一言でいえば、親しい友人よりもあまりコンタクトがない、親しくない人のほうが「新しい」情報やチャンスを

    • 定義をバカにするな(清水勝彦研究室ブログ)

      「わかりやすく伝える」秘訣伝授という触れ込みのYoutube番組で、元TVアナウンサーが「大学の先生とかは長いんですよ。まず定義から始まったりして」というのを聞いて驚いた。まどろっこしいのや偉そうなのはNGだが、それと定義とは別の話だ。 かと思うと、先日の奈良教育大学附属小学校のいじめ問題に対して、学長は「定義が違った」と述べている。 定義というと堅苦しいが、要は前提であり、さらに言えば無意識の「思い込み」の事である。定義がはっきりしない話は「わかったつもり」にはなるかも

      • 不正問題議論の不毛(清水勝彦研究室ブログ)

        前回で終わりにしようと思ったのだが、新聞(4/5日経朝刊)の記事が気にかかりもう1回。問題自体は「品質不正が相次いでいる」という深刻なものだ。 「声を上げたら左遷、恐怖人事に委縮」、だから「風土改善を」という指摘に卒倒しそうになった。これが真実ならば単なる犯罪組織で、風土どころの話ではない。「よくある話」ですませられるのだろうか? また「挑戦よりも社内評価を意識する」というのも舌足らずだ。社員がそんなに保守的でリスクを取らないのであれば、なぜ「不正」という大きなリスクを冒

        • 「夢を持て」という勘違い:(清水勝彦研究室ブログ)

          4月1日の日経新聞の1面は「夢」という言葉であふれていた。5面には「夢は成長の原動力」と在り、2面の社説は「新入社員の意欲と挑戦引き出す企業に」とある。なんか変な気がして考えた。 自分の行状を棚に上げて言うのだが、こうした「夢」の議論の背景には、どこかで「しなくてはならない」という上から目線が感じられるからではないか? 大きなお世話である。しなくてはならないから夢を持つのではなく、他人から何と言われようが持ってしまうのが夢ではないのか?でなければ原動力になるわけはない。

        スキーと大相撲(清水勝彦研究室ブログ)

          2024年4月始まる(清水勝彦研究室ブログ)

          都心では桜とともに4月が始まった。人によって何も変わらないかもしれないが、区切りはきっかけとして大切なので新年と同じように振り返って自分をリセットすることは悪くない。 1年前のブログでは「DXという言葉を使うのをやめよう」と言ったが、知らないうちにあまり聞かなくなった。5年前には「仕事をしないすすめ」をした。これは今でもそう思う。 私はというと、気持ちは日本に帰ってきた40代のままだがこれも知らないうちに還暦を迎えてしまった。恐ろしいことである。自分で気づくのは時々人の名

          2024年4月始まる(清水勝彦研究室ブログ)

          南京大学EMBA生を迎えて(清水勝彦研究室ブログ)

          3/14,15と南京大学のEMBA生、平均年齢約39歳の約40人がやってきた。1月に急に依頼があってドタバタしたが、企業訪問とケースディスカッションでとても喜んでいただけたようだ。慶應の写真もいっぱい撮っていた(それで2人バスに乗り遅れそうになった)。当初は英語でということだったが実際は通訳(英語↔中国語)の2人が大活躍していた。 へー、と思ったことを3つばかり。 1.こちらからは名刺を渡したが、中国ではすべてスマホ完結なのでみんな名刺は持っていない。現金やクレジットカー

          南京大学EMBA生を迎えて(清水勝彦研究室ブログ)

          後づけの蔓延(清水勝彦研究室ブログ)

          今から50年以上も前、行動経済学のメッカであるカーネギーメロン大学で組織の意思決定に関してgarbage can model (ゴミ箱モデル)が提唱された。超単純に言うと、問題があって解決策を考えるのが普通(合理的)だが、現実的には先に解決策があって問題を見つけることも多いというのである。 え、と思うかもしれないが、そうした経験をしている人は多いと思う。先に答えが決まっている会議、社長がしたいからそのための理由を探す、などなど。 新聞などを見ていても未だに同じようなことが

          後づけの蔓延(清水勝彦研究室ブログ)

          スキー場から見える世界2024(清水勝彦研究室ブログ)

          ちょっと暗い話が続いたので、一休み。スキー場(正確にはリフトの上)で聞いた「世界」の話である。暇だからということに尽きるが、一生懸命話しかけて得た今シーズンの収穫(?)をいくつか。 イギリス人のインストラクター「先週はアメリカ人が結構来ていた。彼らが話しかけてくるので答えると、スルー。しばらくするとまた別の話題で話しかけてくる。deafなんじゃないか」(やっぱイギリス人はアメリカ人のがさつさが嫌いなのね) 香港からというお金持ちそうな化粧バッチリの長身の女性「I am d

          スキー場から見える世界2024(清水勝彦研究室ブログ)

          縛るな、誇りだ!(清水勝彦研究室ブログ)

          以前「管理職」は誤訳だというコラムを書いたが、その思いは変わらないどころかますます強くなっている。「人を育てることが上司の仕事」であるのに、実際にやっているのはチェック=管理に過ぎないことが多いからである。その管理も自らの意見や見識を持って行うのではなく、これまでやってきたからとか、みんなやっているからとかいう、有形無形のルール頼みになっている。 前回取り上げた2017年の記事でも「現場の意欲の低下」が指摘されていたが、上から管理されるだけ(しかも上は何をしているのかわからな

          縛るな、誇りだ!(清水勝彦研究室ブログ)

          問題を裏返しても答えにならない(清水勝彦研究室ブログ)

          「産業界は品質不正問題に揺れた」「損失は一兆円」。ダイハツなどルール違反が連発する最近の見出しではない。2017年を振り返った日経新聞の記事である。当時も「過剰なノルマ」「ガバナンス問題」「たこつぼ化」などなどが叫ばれていた。 2024年2月5日の日経の記事でも、識者と呼ばれる人々が「余裕ある現場の設計を」「現場の弱体化」「お手盛りの調査委員会」などを指摘している。「日本のモノ作りが危ない」などとあおる記事も多い。 「過剰なノルマ」と言っておいて「マスクは工場に寝泊まりし

          問題を裏返しても答えにならない(清水勝彦研究室ブログ)

          「頭がいい人」って誰?

          最近の本や番組のタイトルを見ると「頭がいい人」みたいなタイトルがやたら目立つ。「頭がいい」というのは、とても曖昧で、学歴、知識量、有名企業(GSとかマッキンゼーとか)、あるいは起業家とか。これが揃うとまたいいらしいが、総じて「勝ち組」のことを言っているらしい(これも曖昧だ)。 一方で、「頭がいい人はこうしている」といいうのは論理矛盾だろう。「こういう事ができるから頭がいいのだ」という話のはず。その辺は良くわからない。 立川談志師匠によると、バカとは「状況判断ができないやつ

          「頭がいい人」って誰?

          ルールを守ることは正しいことだが・続(清水勝彦研究室ブログ)

          陳腐化したルールは変えればよいわけだが、時間もエネルギーもかかる。手段の目的化は何度も触れた。「もし何かあったらどうするんだ」という保身、既得権益みえみえの反対が必ず出る。さらに言えば(ダイアナ妃を死に至らしめたパパラッチのように)「ルールがないなら何をしても良い」わけでは無い。 ルールを破ることの副作用も見逃せない。上司が苦渋の決断で1つのルールを破るのを、何も知らない部下たちは「ルールなんて守らなくてもいいんだ」と勘違いするかもしれない。マスコミなどがコンテキストを無視

          ルールを守ることは正しいことだが・続(清水勝彦研究室ブログ)

          ルールを守ることは正しいことだが…(清水勝彦研究室ブログ)

          再びニセコ。昨日は大雪だったが、12月にはあちこちのコースにロープが張られ「滑走禁止」になっていた。新雪を求めロープをくぐって滑っていたボーダーやスキーヤーの多くは外国人(特にオーストラリア人だとオーストラリア人が言っていた)。地元の日本人は「くぐラー」と呼んで憎んでいる。 リフトに乗りながら考えたのは、私達はルールや規制が実は好きであること、そしてルールを守ることの正しさがいかに強く植え付けられているか。コロナのときも、ルールでないのに「自主規制」をし、「不要不急を明確に

          ルールを守ることは正しいことだが…(清水勝彦研究室ブログ)

          New year’s resolution(清水勝彦研究室ブログ)

          今年初めてのプールの帰り、浅川智恵子氏の「自分に与えられた役割」という言葉、大崎洋会長の「頼まれたことだけやる」、そして還暦を迎えた自分がつながって、今年の目標を立てることにした。 1.嫌われても言う ー でも威張ってはダメ よく年寄りは文句が多いとか、自分勝手とか、しつこいとかいう。ただ、間違いを含め年寄りでなくては言えないこともある。年寄りが若者に媚びることは威張ることと同じくらいダメと思う。故野村監督が好きという人はあまりいなかったが、「育てられた」という選手は驚く

          New year’s resolution(清水勝彦研究室ブログ)

          「日本人はナイス」の意味(清水勝彦研究室ブログ)

          9割を占めるのではないかと思う外国人とリフトで話をしていると、口を揃えて「ニセコは素晴らしい」「食事が美味しい」はもちろん「日本人はナイスだ」と言う。 スキー場でもテレビでもオーバーツーリズムや日本の慣行を無視した行動も見る。それを不愉快に思っている日本人は多いのに「日本人はナイス」なのである。そして日本人同士はお互いをナイスと思っているかといえば、どうだろう。 小学校ではルールが守れないと言って大騒ぎする一方、外国人に対してはそれを求めない、見て見ぬふりをしていないだろ

          「日本人はナイス」の意味(清水勝彦研究室ブログ)

          ニセコのうどんは2000円(清水勝彦研究室ブログ)

          暖冬で心配されたが、ついにスキーシーズン開幕。ニセコも昨年と比べるとまだまだ雪は少ないが今後順調に増えそうである。 積雪以上に上がっているのは物価。ホテルも2割超増しだし、ゴンドラ乗口の屋台のランチ価格には仰天。スキー場周辺ではそもそも晩御飯の予約を取るのすら難しいらしい。香港のお金持ち(なぜか今年は香港、台湾からが多い)とリフトで話すと、やはりニセコは高くなったとぼやいていた。しかし、その後の一言が違う。It is worth it. 翻って日本全体。日本のランチが「安

          ニセコのうどんは2000円(清水勝彦研究室ブログ)