Shimizulab:清水勝彦研究室

慶應ビジネススクール教授 BCGの内定を辞退し創業2か月のCDIに新卒で参画。 1…

Shimizulab:清水勝彦研究室

慶應ビジネススクール教授 BCGの内定を辞退し創業2か月のCDIに新卒で参画。 10年間の戦略コンサル、テキサス大学准教授(テニュア取得)を経て、2010年より現職。 国際学術誌4誌の編集委員。 ドリコム取締役監査等。 ダートマス大学MBA、テキサスA&M大学Ph.D.。

記事一覧

専門家とは何だろう?わかりやすさの罠(下)(清水勝彦研究室ブログ)

「専門家」「プロ」と紹介されるような人達がいる。「専門家のコメント」というとなんとなくわかった気がする。他の人と何が違うのだろうか? 知識や経験の「量」と思って…

わかりやすさの罠:片腕のエコノミスト(清水勝彦研究室ブログ)

(先々週の続き)家内は「大学教授は保険をかける」「こういう考え方もあれば、別の考えもあると言って煙に巻く」と言ってはばからない。 実はアメリカ第33第大統領のト…

スキーと大相撲(清水勝彦研究室ブログ)

GWなので、ちょっと号外的に。ダートマス大学の女性新学長が来日するパーティが4/25に開かれた。イスラエルがらみのデモのせいで来日は直前で中止になったが、パーティは…

定義をバカにするな(清水勝彦研究室ブログ)

「わかりやすく伝える」秘訣伝授という触れ込みのYoutube番組で、元TVアナウンサーが「大学の先生とかは長いんですよ。まず定義から始まったりして」というのを聞いて驚い…

不正問題議論の不毛(清水勝彦研究室ブログ)

前回で終わりにしようと思ったのだが、新聞(4/5日経朝刊)の記事が気にかかりもう1回。問題自体は「品質不正が相次いでいる」という深刻なものだ。 「声を上げたら左遷…

「夢を持て」という勘違い:(清水勝彦研究室ブログ)

4月1日の日経新聞の1面は「夢」という言葉であふれていた。5面には「夢は成長の原動力」と在り、2面の社説は「新入社員の意欲と挑戦引き出す企業に」とある。なんか変な気…

2024年4月始まる(清水勝彦研究室ブログ)

都心では桜とともに4月が始まった。人によって何も変わらないかもしれないが、区切りはきっかけとして大切なので新年と同じように振り返って自分をリセットすることは悪く…

南京大学EMBA生を迎えて(清水勝彦研究室ブログ)

3/14,15と南京大学のEMBA生、平均年齢約39歳の約40人がやってきた。1月に急に依頼があってドタバタしたが、企業訪問とケースディスカッションでとても喜んでいただけた…

後づけの蔓延(清水勝彦研究室ブログ)

今から50年以上も前、行動経済学のメッカであるカーネギーメロン大学で組織の意思決定に関してgarbage can model (ゴミ箱モデル)が提唱された。超単純に言うと、問題があ…

スキー場から見える世界2024(清水勝彦研究室ブログ)

ちょっと暗い話が続いたので、一休み。スキー場(正確にはリフトの上)で聞いた「世界」の話である。暇だからということに尽きるが、一生懸命話しかけて得た今シーズンの収…

縛るな、誇りだ!(清水勝彦研究室ブログ)

以前「管理職」は誤訳だというコラムを書いたが、その思いは変わらないどころかますます強くなっている。「人を育てることが上司の仕事」であるのに、実際にやっているのは…

問題を裏返しても答えにならない(清水勝彦研究室ブログ)

「産業界は品質不正問題に揺れた」「損失は一兆円」。ダイハツなどルール違反が連発する最近の見出しではない。2017年を振り返った日経新聞の記事である。当時も「過剰なノ…

「頭がいい人」って誰?

最近の本や番組のタイトルを見ると「頭がいい人」みたいなタイトルがやたら目立つ。「頭がいい」というのは、とても曖昧で、学歴、知識量、有名企業(GSとかマッキンゼーと…

ルールを守ることは正しいことだが・続(清水勝彦研究室ブログ)

陳腐化したルールは変えればよいわけだが、時間もエネルギーもかかる。手段の目的化は何度も触れた。「もし何かあったらどうするんだ」という保身、既得権益みえみえの反対…

ルールを守ることは正しいことだが…(清水勝彦研究室ブログ)

再びニセコ。昨日は大雪だったが、12月にはあちこちのコースにロープが張られ「滑走禁止」になっていた。新雪を求めロープをくぐって滑っていたボーダーやスキーヤーの多く…

New year’s resolution(清水勝彦研究室ブログ)

今年初めてのプールの帰り、浅川智恵子氏の「自分に与えられた役割」という言葉、大崎洋会長の「頼まれたことだけやる」、そして還暦を迎えた自分がつながって、今年の目標…

専門家とは何だろう?わかりやすさの罠(下)(清水勝彦研究室ブログ)

「専門家」「プロ」と紹介されるような人達がいる。「専門家のコメント」というとなんとなくわかった気がする。他の人と何が違うのだろうか?
知識や経験の「量」と思っている人は多いが、よく考えたほうがいい。多くの本が「日本企業はイノベーションがない」「日本企業の国際化が遅れている」と判でついたように同じことを言っているのは、自ら世界で戦って手に入れた「知識」ではなく他の人が言っていることを繰り返しているだ

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わかりやすさの罠:片腕のエコノミスト(清水勝彦研究室ブログ)

(先々週の続き)家内は「大学教授は保険をかける」「こういう考え方もあれば、別の考えもあると言って煙に巻く」と言ってはばからない。

実はアメリカ第33第大統領のトルーマンも全く同じことを言っている。「片腕のエコノミストが欲しい」と。それは、エコノミストが「On the one hand…But, on the other hand…」と説明するからである。じゃあどっちが正解なんだとキレたらしい。

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スキーと大相撲(清水勝彦研究室ブログ)

GWなので、ちょっと号外的に。ダートマス大学の女性新学長が来日するパーティが4/25に開かれた。イスラエルがらみのデモのせいで来日は直前で中止になったが、パーティは決行。大学、大学院(私はここ)の卒業生、9月からの新入生、そして在校生の両親など50人くらい集まった。

弱いつながりの重要性( Granovettor教授のネットワーク理論)はどこかで聞いたことがあるかもしれない。一言でいえば、親しい

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定義をバカにするな(清水勝彦研究室ブログ)

「わかりやすく伝える」秘訣伝授という触れ込みのYoutube番組で、元TVアナウンサーが「大学の先生とかは長いんですよ。まず定義から始まったりして」というのを聞いて驚いた。まどろっこしいのや偉そうなのはNGだが、それと定義とは別の話だ。

かと思うと、先日の奈良教育大学附属小学校のいじめ問題に対して、学長は「定義が違った」と述べている。

定義というと堅苦しいが、要は前提であり、さらに言えば無意識

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不正問題議論の不毛(清水勝彦研究室ブログ)

前回で終わりにしようと思ったのだが、新聞(4/5日経朝刊)の記事が気にかかりもう1回。問題自体は「品質不正が相次いでいる」という深刻なものだ。

「声を上げたら左遷、恐怖人事に委縮」、だから「風土改善を」という指摘に卒倒しそうになった。これが真実ならば単なる犯罪組織で、風土どころの話ではない。「よくある話」ですませられるのだろうか?

また「挑戦よりも社内評価を意識する」というのも舌足らずだ。社員

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「夢を持て」という勘違い:(清水勝彦研究室ブログ)

4月1日の日経新聞の1面は「夢」という言葉であふれていた。5面には「夢は成長の原動力」と在り、2面の社説は「新入社員の意欲と挑戦引き出す企業に」とある。なんか変な気がして考えた。

自分の行状を棚に上げて言うのだが、こうした「夢」の議論の背景には、どこかで「しなくてはならない」という上から目線が感じられるからではないか?

大きなお世話である。しなくてはならないから夢を持つのではなく、他人から何と

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2024年4月始まる(清水勝彦研究室ブログ)

都心では桜とともに4月が始まった。人によって何も変わらないかもしれないが、区切りはきっかけとして大切なので新年と同じように振り返って自分をリセットすることは悪くない。

1年前のブログでは「DXという言葉を使うのをやめよう」と言ったが、知らないうちにあまり聞かなくなった。5年前には「仕事をしないすすめ」をした。これは今でもそう思う。

私はというと、気持ちは日本に帰ってきた40代のままだがこれも知

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南京大学EMBA生を迎えて(清水勝彦研究室ブログ)

3/14,15と南京大学のEMBA生、平均年齢約39歳の約40人がやってきた。1月に急に依頼があってドタバタしたが、企業訪問とケースディスカッションでとても喜んでいただけたようだ。慶應の写真もいっぱい撮っていた(それで2人バスに乗り遅れそうになった)。当初は英語でということだったが実際は通訳(英語↔中国語)の2人が大活躍していた。

へー、と思ったことを3つばかり。

1.こちらからは名刺を渡した

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後づけの蔓延(清水勝彦研究室ブログ)

今から50年以上も前、行動経済学のメッカであるカーネギーメロン大学で組織の意思決定に関してgarbage can model (ゴミ箱モデル)が提唱された。超単純に言うと、問題があって解決策を考えるのが普通(合理的)だが、現実的には先に解決策があって問題を見つけることも多いというのである。

え、と思うかもしれないが、そうした経験をしている人は多いと思う。先に答えが決まっている会議、社長がしたいか

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スキー場から見える世界2024(清水勝彦研究室ブログ)

スキー場から見える世界2024(清水勝彦研究室ブログ)

ちょっと暗い話が続いたので、一休み。スキー場(正確にはリフトの上)で聞いた「世界」の話である。暇だからということに尽きるが、一生懸命話しかけて得た今シーズンの収穫(?)をいくつか。

イギリス人のインストラクター「先週はアメリカ人が結構来ていた。彼らが話しかけてくるので答えると、スルー。しばらくするとまた別の話題で話しかけてくる。deafなんじゃないか」(やっぱイギリス人はアメリカ人のがさつさが嫌

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縛るな、誇りだ!(清水勝彦研究室ブログ)

以前「管理職」は誤訳だというコラムを書いたが、その思いは変わらないどころかますます強くなっている。「人を育てることが上司の仕事」であるのに、実際にやっているのはチェック=管理に過ぎないことが多いからである。その管理も自らの意見や見識を持って行うのではなく、これまでやってきたからとか、みんなやっているからとかいう、有形無形のルール頼みになっている。
前回取り上げた2017年の記事でも「現場の意欲の低

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問題を裏返しても答えにならない(清水勝彦研究室ブログ)

「産業界は品質不正問題に揺れた」「損失は一兆円」。ダイハツなどルール違反が連発する最近の見出しではない。2017年を振り返った日経新聞の記事である。当時も「過剰なノルマ」「ガバナンス問題」「たこつぼ化」などなどが叫ばれていた。

2024年2月5日の日経の記事でも、識者と呼ばれる人々が「余裕ある現場の設計を」「現場の弱体化」「お手盛りの調査委員会」などを指摘している。「日本のモノ作りが危ない」など

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「頭がいい人」って誰?

最近の本や番組のタイトルを見ると「頭がいい人」みたいなタイトルがやたら目立つ。「頭がいい」というのは、とても曖昧で、学歴、知識量、有名企業(GSとかマッキンゼーとか)、あるいは起業家とか。これが揃うとまたいいらしいが、総じて「勝ち組」のことを言っているらしい(これも曖昧だ)。

一方で、「頭がいい人はこうしている」といいうのは論理矛盾だろう。「こういう事ができるから頭がいいのだ」という話のはず。そ

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ルールを守ることは正しいことだが・続(清水勝彦研究室ブログ)

陳腐化したルールは変えればよいわけだが、時間もエネルギーもかかる。手段の目的化は何度も触れた。「もし何かあったらどうするんだ」という保身、既得権益みえみえの反対が必ず出る。さらに言えば(ダイアナ妃を死に至らしめたパパラッチのように)「ルールがないなら何をしても良い」わけでは無い。

ルールを破ることの副作用も見逃せない。上司が苦渋の決断で1つのルールを破るのを、何も知らない部下たちは「ルールなんて

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ルールを守ることは正しいことだが…(清水勝彦研究室ブログ)

再びニセコ。昨日は大雪だったが、12月にはあちこちのコースにロープが張られ「滑走禁止」になっていた。新雪を求めロープをくぐって滑っていたボーダーやスキーヤーの多くは外国人(特にオーストラリア人だとオーストラリア人が言っていた)。地元の日本人は「くぐラー」と呼んで憎んでいる。

リフトに乗りながら考えたのは、私達はルールや規制が実は好きであること、そしてルールを守ることの正しさがいかに強く植え付けら

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New year’s resolution(清水勝彦研究室ブログ)

今年初めてのプールの帰り、浅川智恵子氏の「自分に与えられた役割」という言葉、大崎洋会長の「頼まれたことだけやる」、そして還暦を迎えた自分がつながって、今年の目標を立てることにした。

1.嫌われても言う ー でも威張ってはダメ

よく年寄りは文句が多いとか、自分勝手とか、しつこいとかいう。ただ、間違いを含め年寄りでなくては言えないこともある。年寄りが若者に媚びることは威張ることと同じくらいダメと思

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