見出し画像

中国製特急車両で着いたヴィエンチャン。噴水広場一帯は無人都市

ルアンパバーンからヴィエンチャンへに戻る列車旅から今回はスタート。ルアンパバーンに向かったときは、タイ側から友好橋を渡ったところにあるイミグレーション脇から直接、ラオス中国鉄道のヴィエンチャン駅をめざした。ヴィエンチャンの街には入らなかった。ヴィエンチャン駅はヴィエンチャン市街からかなり離れていたからだ。外国人観光客の入国制限が解かれて1ヵ月。ルアンパバーンは、ラオス中国鉄道の開通もあり、復活の動きが見えていたが、ヴィエンチャンの街は⋯⋯。そんな街の様子をフォトストーリーで。

旅の期間:6月9日※価格等はすべて取材時のものです。  


ヴィエンチャン駅とタラートサオ・バスターミナルを結ぶ路線バスは1日3本

(旅のデータ)
ヴィエンチャン駅とヴィエンチャン市街のタラートサオ・バスターミナルの間には路線バスが運行されている。28番のバスで、1日3本。所要時間は約30分。運賃は1万5000キップ、約135円。運行スケジュールは、ヴィエンチャン駅の列車の発車時間、到着時間に合わせている。しかしタラートサオ・バスターミナルの発車時刻は、今年に入っても何回か変更されている。ヴィエンチャン駅からタラートサオ・バスターミナルに向かう場合は事前に調べなくても大丈夫。列車の到着時刻に合わせ、到着口の先のバス乗り場に路線バスが待機しているのですぐにわかる。

掘っ建て小屋食堂でカオピアック、3万キップ

(sight 1)

ヴィエンチャンに向かうためにルアンパバーン駅へ。ルアンパバーンに向かったときと同じ乗り合いバンを使った。乗り合いバンはルアンパバーンの新市街にある南バスターミナル発だが、旧市街からは遠い。電話をすると、旧市街の宿まで迎えにきてくれた。運賃は駅からルアンパバーンに向かうときと同じ3万5000キップ。使い勝手がいい乗り合いバンだった。
 
(sight 2)

ルアンパバーン駅前にある掘っ建て小屋食堂で昼食。カオピアックにした。カオピアックはうどんに似た麺。もちもち感がある。原料は米粉だが、タピオカを加えていると聞いたことがある。ハーブを好きなだけ入れるのはラオス風。この食べ方、僕は気に入っている。3万キップ、約270円だった。

(sight 3)

掘っ建て小屋食堂の従業員は、ここで寝泊りしているようだった。店の隅には、ちゃんと蚊帳を張った睡眠スペース。ルアンパバーンは1日6本の列車が停車するが、夜行があるわけではない。通勤スタイルでこなせると思うのだが、泊まり込んでしまうところはラオスです。いや、住み込みということか。昼からビールを飲んでいた客もいたから、夜は居酒屋になるのかも。
 

中国の本当の狙いは旅客より貨物輸送?

(sight 4)

切符は前日に買ってあったので、待合室へ。ここに入るのにも、中国式のセキュリティーチェック。待合室も無駄に広い。将来はもっと列車が増えるのかもしれないが、なんだか中国の人口に合わせたサイズという気もしてくる。ラオスの人口は昨年のデータで733万人。中国とは桁が3つも違う。

(sight 5)

ふと改札口を見ると、向こうに中国の貨物列車が停車していた。ルアンパバーンに来るときも、停車駅には中国の貨物列車の長い車列を何回も目にしていた。中国の狙いは、旅客より貨物というアナリストも。タイ、マレーシア、シンガポールに中国物資を運ぶのがこの鉄道の本当の目的⋯⋯つまり一帯一路のための鉄道。この分析、かなりあたっている気がする。

はじめて見た中国製の特急車両。椅子は回転しないタイプだった

(sight 6)

ルアンパバーン駅のホームに姿を見せたのは、C81列車。特急風の列車だった。列車番号の前にCがついている列車だ。ヴィエンチャンまでは24万2000キップ、約2178円。ルアンパバーンに来たときは列車番号の前にKがついた列車で、中国の硬座車両だった。それより600円ほど運賃が高い列車。さて、どんな列車? 次の写真で。
 
(sight 7)

中国製車両だったが、これまで中国で乗ったことがない車両だった。特急スタイルなのだが、座席が回転しないタイプ。つまり座る方向が車両の中央で変わる。こんな車両もつくっていたようだ。いったいどこを走っていたのだろう。列車は定刻の午後3時すぎにヴィエンチャン駅に着いた。

路線バスでタラートサオへ。運賃は約135円

(sight 8)

ヴィエンチャン駅の改札を出、人の流れについていくと、バスが何台か停まっていた。乗車口近くに車掌さんらしい女性がいたので訊くと、タラートサオまで行くという。これが路線バスだった。ヴィエンチャン駅と市街地にあるタラートサオ・バスターミナルを結んでいた。途中、南バスターミナルを通り、タラートサオへ。渋滞にしっかりはまり、40分ほどかかった。運賃は1万5000キップ、約135円。
 
(sight 9)

タラートサオ・バスターミナルに着いた。むき出しのコンクリートの柱、待合席はターミナル隅の簡易ベンチ、そこかしこに水たまり⋯⋯ターミナル整備前といった感じだった。しばらくたてば、わかりやすいターミナルが誕生する? いや、このまま? コンクリートの柱には、路線ごとの時刻表が貼ってあったが。

 
ナンプー噴水広場の周りは無人都市のようだった

(sight 10)

この日はヴィエンチャンに泊まる予定だった。ホテルに向かって、ヴィエンチャンの街を歩きはじめる。「あそこはどうなっている?」。ナンプー噴水広場だった。かつては広場の周りにゲストハウスが並ぶバックパッカーのたまり場だった。そこが整備され、噴水はライトアップ。周囲には高級そうなレストランのテーブルが並ぶヴィエンチャンのおしゃれエリアになった。それが6,7年前⋯⋯。愕然とした。広場は金網フェンスで囲まれて閉鎖状態に。店もなくなっていた。これってコロナ禍のため? 街を進むと、さらに寂しいヴィエンチャンが次々に現れた。
 
(sight 11)

ナンプー噴水広場の周りは無人都市のようだった。ゲストハウスは閉店。マッサージ店はシャッターを降ろし、閉まったカフェの戸にはFor Rent。コロナ禍でシャッターを降ろした店がつづく街はいくつか見てきたが、ここまでの一角は⋯⋯。外国人が入国できない期間が2年以上つづいた。ラオスは徹底した鎖国状態だった。その結末か⋯⋯。
 
(sight 12)

さらに先に進む。現れたのは廃業になってから何年もたったようなホテル。ここもコロナ禍で? ホテル名が壁に残っていた。アジアン・パビリオン・ホテル。昔、泊まったことがあるような⋯⋯。調べると2013年に閉店したホテルで、少しホッとした。なにかの利権でもめているのか、そのままになっていた。一等地の立地なのだが。

(sight 13)

中心街の通りを進む。やはり寂しい。閉まっている店が多い。シャッターを降ろしたゲストハウスとマッサージ店が多い。外国人観光客の入国が許可されて1ヵ月。ルアンパバーンは復活の兆しがあったが、あればラオス中国鉄道のお陰か。ふと見あげると、6階建てのホテルにFor Rent。

やっとみつけたバーっぽい店でビアラオ。客は僕だけ


(sight 14)

ヴィエンチャンは大変なことになっている? そんな不安は、夜の繁華街に出て少し消えた。歩道にテーブルを並べたスイーツ屋や焼き肉店はラオス人でにぎわっていたからだ。かつてこの一帯は欧米人や中東からの観光客でテーブルが埋まっていた。そこにいまはラオス人。以前よりずっと健全な一帯に様変わりしていた。

(sight 15)

欧米人向きの店を探して、ヴィエンチャンを歩いた。まったくみつからない。これから少しずつといったところなのだろうが、それにしてもかなりの打撃を受けている。廃業した飲食店も多い気がする。なんとなく街も暗い。やっとみつけたバーっぽい店でビアラオ。客は僕ひとりでした 
 
【次号予告】次回は1回休載。8月19日からバンコク、そしてバングラデシュへの旅がはじまります。
 
 
















新しい構造をめざしています。