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【要注目!】映画『ベイビーわるきゅーれ』の魅力を語らせて欲しい

7月30日から公開されている『ベイビーわるきゅーれ』。2人の殺し屋少女の日常を描いた作品だが、この作品が今、SNSを中心にバズっている事をご存じだろうか。

映画レビューサイトのFilmarksでは公開初日満足度1位を獲得し、現在も4.2という高評価(8/19時点)を得ている。『ベイビーわるきゅーれ』でSNSを検索すれば、多くの好意的な感想を目にする事だろう。

評判を聞きつけて、筆者も8月12日にテアトル新宿で鑑賞してきたが、評判通りの面白さだった。
間違いなく今年公開の作品の中でも要注目の1本といえるだろう。本作に興味がある方もない方もチェックしておいて損はない。

今回は内容の紹介とともに、本作の魅力を紹介していきたい。

【作品情報:『ベイビーわるきゅーれ』】

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2021年製作/95分/PG12/日本

あらすじ:殺しを生業として生きてきたちさととまひろ。高校卒業と同時に仕事に就くことと、ルームシェアを命じられた2人は、一緒に暮らしながら社会生活を始めていくことになる。殺し以外はポンコツの2人は、日常生活に苦戦しながら日々を過ごしていくが…そんなある日、仕事で殺したヤクザの組織から狙われることになり…。
ちなみにワルキューレの語源は、北欧神話で、戦士の神オーディンに仕える武装した乙女たち。戦場で生きる者と死ぬ者を定める女性、およびその軍団のことである

本作の製作をつとめたのはバイオレンス描写に定評のある阪元裕吾監督

過去作品に『ファミリー☆ウォーズ』(2018)、『ハングマンズ・ノット』(2018)などがある。最新作の『黄龍の村』(9月24日公開予定)は米テキサスファンタスティック・フェスト映画祭に正式出品されることが決定している。

殺し屋の杉本ちさとを演じたのは舞台『鬼滅の刃』の竈門禰󠄀豆子役に抜擢され話題を集めた今注目の髙石あかり。ちさとの相棒でもある深川まひろを演じたのは、現役スタントウーマンとしても活躍している伊澤彩織

2人と対立することになるヤクザの組長、浜岡一平を本宮泰風、組長の娘、浜岡ひまりを秋谷百音、ひまりの相棒、渡部を三元雅芸が演じている。他にもお笑い芸人のラバーガールがそれぞれ出演するなど、様々な面子が脇を固めている。

【魅力①:とにかくアクションが凄い!!】

まず本作はアクションが凄い!

主役2人のうち、主に銃を使うちさとに対し、まひろは肉弾戦で相手を倒すが、このアクションが凄まじい。本作を観た人の多くがそのキレッぷりに驚くのではないだろうか。

まるで『ジョン・ウィック』(2015)や『ザ・レイド』(2012)を思わせるようなハイスピードな肉弾戦の数々が繰り広げられる。しかも、一見、何の変哲もない女の子が、これだけのアクションを繰り出すのだから、そのギャップにも驚かされる。

本作のまひろを演じた伊澤彩織さんは、現役のスタントウーマンとしても活躍しており、『キングダム』(2019)や『るろうに剣心 最終章 The Final』(2021)などの邦画大作から、ハリウッド映画の『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021)など、幅広い作品に出演している。驚くべきはその身体能力。本作のハイスピードなアクションをキレッキレにこなしている。

本作の中でも特筆すべきなのが、伊澤演じるまひろとヤクザの用心棒の渡部による対決シーン。渡部を演じた三元雅芸さんによると、本気でやりあったため多少のヒットもあったということ。

阪元監督も太鼓判を推すこのアクションシーンの一部が、下記の動画で観る事ができる。鑑賞を検討している人はこちらの映像を観てみることをお薦めしたい。

また、本作のアクションの注目すべき点は伊澤さんの身体能力だけではない。注目すべきは、そのハイスピード感。

本作のアクション監督をつとめた園村健介さんは、『GANTZ』(2011)や『東京無国籍少女』(2015)などで、アクションコーディーネーターをつとめる他、ゲームの『メタルギア ライジング リベンジェンス』でも殺陣師と監修を手掛けなど、凄腕のアクション監督。

本作のハイスピード感は、園村健介さんによるアクション演出によるものといえるだろう。園村健介さんが監督をつとめた『HYDRA』(2019)でもそのハイスピードアクションを確認することができるだろう。

伊澤彩織さんの身体能力×園村健介監督によるハイスピード演出、この掛け合わせにより、本作の素晴らしいアクションシーンが成り立っているといえるだろう。

【魅力②:ゆる~い日常描写とのギャップが凄い】

凄まじいアクションと対比になっているのが、ゆる~い日常パート。殺し以外は社会不適合な2人は、社会生活を送るのもひと苦労。

劇中の大半は2人がバイトする様子など、他愛もない日常生活が描かれてる。本作は登場人物達の個性も相まって、この日常パートもアクションパートと同じくらい素晴らしい。筆者は、観てて日常系アニメや、映画の『セトウツミ』(2016)を観ている時のような感覚に近いものを感じた。

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阪本監督は、今作を企画するにあたって、殺し屋のギャップのある日常を描こうと考えたと語っているが、この2人のオフビートな雰囲気が味があって心地良い。

そして、日常パートがゆるいからこそ、アクションパートがより際立っている。このギャップの落差が凄いからこそ、観る人は驚かされるし、作品により引き込まれるのだ。

【魅力③:個性的なキャラクター達が愛おしい】

3つ目に挙げたいのが、個性的な登場キャラクター達。本作は主要キャラクターから、ちょい役まで皆個性的。

ちさとの熱しやすく冷めやすいギャルっぽいキャラクターと、まひろの人見知りで、オドオドしたキャラクターとの凸凹コンビっぷりはバッチリ。この2人のキャラクターは阪元監督の前作『ある用務員』(2021)に出てくるコンビを参考にされてるとのこと。(『ある用務員』の2人とは別人)


ちなみにパンフレットには2人の日常を収録したドラマCDが付録として付いているので、より深く『ベイビーわるきゅーれ』の世界に浸りたい人は是非購入をお薦めしたい。

ちさと&まひろ以外のキャラクターも曲者揃い。2人と対立することになるヤクザ親子のキャラクターも素晴らしい。まるでヤンキーみたいなノリの妹を筆頭に、冗談の通じない親分と、ツッコミ役兼一番常識人の長男。特に親分と長男がメイド喫茶に行く下りは、本作のハイライトの一つ。個人的に本作の魅力は、このヤクザ親子の存在も大きいと思っている。

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個性の強さは、主要キャラクターだけでなくチョイ役にも及ぶ。死体処理業者のお兄さんから、ちさとのバイトの先輩、果ては団子屋のおじさんまでと、皆キャラが立ちまくっている。誰もかれも「こういう人実際にいるよね~」感が強い。というか、この作品、登場人物全員癖が強過ぎる(笑)

各キャラクター達のやり取りは、まるでコントのよう。本作を観たら、きっと貴方もお気に入りのキャラクターが見つかることだろう。

ベイビーわるきゅーれ③ (1)

本作はキャラクターや物語の展開など、全体的にコミカルというか漫画的。だからこそ、映画好きだけでなく漫画やアニメ好きな人にも受け入れられる作品になっているんじゃないかと思う。

『ベイビーわるきゅーれ』は絶賛公開中。都内もいったん上映が終了したが、8月20日から池袋のシネマロサでの公開が決定している。(詳しくは下記公式サイト&Twitter等参考)
普段、映画はあまり…という人も本作が気になったなら、是非チェックしてみて欲しい!

ということで、今回、筆者が思う『ベイビーわるきゅーれ』の魅力を語らせて貰ったが、本作を観て自分が思う魅力とか気に入った場面などあれば、是非コメントもしていって欲しい。

【インタビュー&動画集】

最後に、監督やキャストのインタビューや動画を集めてみた。本作をより深く知りたい、本作の世界観に浸りたい人は是非チェックしてみて欲しい。

【阪元監督による本作のインタビュー動画】

【阪元裕吾監督の処女作品『べー。』】

阪元監督が2016年に製作した短編映画。ある秘密を抱えたカップルの日常を描く。阪元監督曰く「『ベイビーわるきゅーれ』を好きな人に是非見てもらいたい、処女作品。やってることは同じです。」とのこと。

確かに、根底に描かれてるテーマは共通している。約40分程度の短編と見やすいので、『ベイビーわるきゅーれ』観た人はこちらもチェックしてみては。

【伊澤彩織さんとアクション監督の園村健介さんによる対談】

【劇中のヤクザ親子がメイド喫茶に行く場面のもとにした動画】

殺し屋の日常生活を描いた作品という事で、個人的には『メランコリック』(2019)を思い出した。こちらも気になった人はチェックして見て欲しい。

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