生き方について考えさせられた本。『赤ひげ診療譚』

どうも、大関です。( @nobooknolifeso

今回は、山本周五郎先生の『赤ひげ診療譚』から話したいと思う。
読んだのは随分と前なんだけど、他の書籍を読んで「こういうことなのか?」っていうことがあったので、自分の頭の整理も兼ねて……。

まず、この小説には二人の主人公が存在する。

本編の主人公、保本登(やすもと のぼる)
そして、本の題名に出てくる「赤ひげ」こと新出去定(にいで きょじょう)。

保本は、これまでエリート街道を進んできた医者だったが、長崎への留学中に許嫁の裏切りにあい、義父の手回しによって左遷されてしまう。その左遷先というのが、新出が責任者を務める小石川養生所。

許嫁からは裏切られ、御目見医師(幕府お抱えの医者)になれるという約束は取り消され、留学で得た医学知識は新出に差し出さねばならないなど、不満だらけで保本は新出に反発をし続ける。だが、新出とのやりとりのなかで、次第に二人はうち解けていく。
そのあたりの人間ドラマは是非手に取って楽しんでほしい。

考えさせられたのは、新出がなぜ小石川養生所にいるのか、保本が理解に苦しむところ。
新出は医者としての実力、素養は充分にある。御目見医師として働き、良い生活ができるはずなのになぜそれをしていないのかということ。

保本の価値基準は、他人による評価だったり、自分の満足感を高めるものにあるのに対して、新出の価値基準は、自分の使命感。本来医療が必要な人たちに対して医療を施すこと。御目見医師として働くよりも、小石川養生所でなければ医者としての使命は果たせないわけだ。

他人からの価値基準ではなく、自分の価値基準を大切にしたいと思わされた。

#読書 #赤ひげ診療譚 #人生 #山本周五郎

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