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(良著紹介)「PEAK」Anders Ericsson/Robert Pool その①

人は環境の動物。環境が自分を押し上げる。選べるならば、良い環境に身を置こうと誰もが一度は思ったことがあると思う。本書はいかにその分野で一流と呼ばれる人達がその成果を獲得したのか、凡人と彼らを隔てたものは何だったのかを、膨大な論文や研究を通してわかった結果を、一般読者にもわかりやすく説明したものである。以下、要点を抽出。

・自然にできるようになった能力は、改善に向けた意識的な努力をしないと徐々に劣化してしていくためだ。

・まずは、目的のある練習が必要。

1.目的のある練習には、はっきり定義された具体的目標がある
長期的な目標を達成するためにたくさんの小さなステップ短期的な目標を、超具体的に定義しているか?漠然とした目標を、改善できそうだという現実的期待を持って努力できるような具体的目標に変えること。

2.目的のある練習は集中して行う。
自分へのコーチング、声がけ、鼓舞する。集中を高める儀式を持つ。
やるべき作業に全神経を集中しなければ、大した進歩は望めない。

3.目的のある練習にはFBが不可欠
自分の弱みがどこかわかっていたため、適切な部分に注意をむけ、弱みを克服するような新たな記憶テクニックを考案できた。
外部オブザーバからのFBがないと、どの部分を改善する必要があるのか、目標達成にどの程度近づいているのかがわからないのだ。

4.目的のある練習はconfort zoneから飛び出す事が必要
最も重要。常に能力ギリギリ、少し上の挑戦を行う。

***

・壁を乗り越える方法は、もっと頑張ることではなく、別な方法を試すことだ。

・常に負荷をかけ続けていないと、身体は以前とは水準こそ違うものの、
新たなホメオスタシス(homeostasis)に落ち着き、改善は止まってしまう。

・近年の研究では、すでに習得した能力の練習を続けるより新たな能力を獲得する方が、脳内の構造変化を引き起こすのにはるかに効果的であることが明らかになった。

・脳、身体の(変化)適応性は、非常に高い。

・脳は与えられた課題に必要な機能を実行する能力を高めるように、配線を組み替える事で負荷に対応していく。

・子供や青年の脳の方が、大人の脳より適応性が高く、訓練の効果は大きくなる。
早期の訓練はその後の成長の軌道を左右し、大きな変化に繋がっていく。「若木矯正効果」である。(例:子供時代にピアノを習うと、大人になってからは身につけられないような神経絡みの何らかの優位性を獲得できる)

・長期間の訓練によって脳の一部を強化すると、別の分野では後退することもある。

・心的イメージ(mental representation):
脳が今考えているモノ、概念、一連の情報など具体的あるいは抽象的な対象に対応する心的構造。

・対象とする活動が何であれ、限界的練習の大部分は、その活動に役立つ有効な心的イメージを作り上げていくためのものだ。

・エキスパートと凡人を隔てる最大の要素は、
エキスパートは長年にわたる練習によって脳の神経回路が変わり、
極めて精緻な心的イメージが形成されていることで、ずば抜けた記憶、パターン認識、問題解決などそれぞれの専門分野で圧倒的技能を発揮するのに必要な高度な能力が実現するのだ。

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