No.29 iphone 「感情のすべて/仲間篇」

https://www.youtube.com/watch?v=zU-jKYvzy6A


[商材について]

商材は、docomoのiphone。iphoneは、競合のauやSoftbankでも販売している。また、今回のCMでは、商品だけでなく、学割サービスの告知も兼ねる。学割サービスは、家族や通信量の状況によって料金が変わるため、どの会社を利用するとお得になるかは、人によって異なる。


[ターゲット]

中学生、高校生、大学生。「格好良いこと」に惹かれるタイプ。


[企画の思考プロセス]

docomoならではのメリットを提示することが難しい。なぜなら、他社も同じiphoneを販売しているから。加えて、docomoの学割サービスが他社と比べてお得になるかは、人によって異なる。

メリットを提示するのではなく、イメージアップを狙う。競合のauやSoftbankは、「面白い」「楽しい」といったイメージを訴求するCMを展開している。差別化するため、ターゲットに「格好良い」と感じてもらえるCMにしたい。

若者が仲間と一緒にバンド活動をしている映像にして、iphoneを登場させる。具体的には、主人公が音楽のオーディションに落ちて挫折を感じている中、仲間がiphoneを通してコミュニケーションを取る。励まされた主人公が仲間のもとへ行き、一緒に演奏する。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

iphoneを使っている若者を格好良く描くことで、「格好良いこと」に惹かれるターゲットからのイメージアップに繋げる。


[演出のポイント]

■半逆光のアングルを多用している。

主人公が高架下にいるカットや、歌っているカットなどが、半逆光(被写体の斜め後ろに太陽光がある状態)のアングルになっている。光が主人公を包むような画になり、全体的にドラマチックな映像になっている。


■ピンクの服があることで、印象的な映像になっている。

マイクのアップのカットで、背景にショッキングピンクの服を格好良く着こなしている女性がいる。コントラストが強く、印象的な映像になっている。


[自分がクリエイターだったら]

■前半のストーリーを変更する。

元のCMでは、主人公が受けたオーディションが、ソロなのかバンドなのか判断しかねる。もしソロで受けているなら、落ち込んでいる主人公に対して、仲間の励まし方が少し強めの言葉なので、CMの受け手から「励まし方に配慮が足りない」と思われる可能性がある。また、もしバンドで受けているなら、主人公の落ち込みに比べて、仲間が元気過ぎるので少し不自然。

これらの違和感を消したい。加えて、人物の心の動きを強調することで、より受け手の興味を引きたい。そのため、ストーリーを次のように変更する。

「バンドで大会に参加し、優勝を逃す。主人公が、自分のボーカルとしての力不足が原因だと思い、落ち込む。それを感じ取った仲間が、主人公をボーカルとして必要としていることを伝える。」

それを受け手が理解しやすくするため、次のような流れの映像にする。

カット1…高架下で主人公が落ち込んでいる。

カット2…過去の映像として、大会の授賞式を映す。別のバンドがグランプリを受賞し、その横に主人公のバンドがいる。

カット3…受賞したバンドのボーカルを主人公が見ている。劣等感を感じていることを表現する。

カット4…再び、高架下で主人公が落ち込んでいる現在に戻る。主人公が「自分のボーカルとしての力不足が原因でグランプリを獲れなかった」と落ち込んでいることを表現する。

カット5…ここからは元のCMと同じように、仲間たちからの動画が送られてくるカットにするが、セリフを変更する。「お前が歌わねぇんなら俺が歌うぞ!」と言い、隣の友人が「やめろ!一生優勝できねぇ!」と言う。仲間が主人公をボーカルとして必要としていることが伝わる言葉に変えることで、彼らの仲間意識が強いことを表現する。


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