No.22 MATCH 「席替え篇」

https://www.youtube.com/watch?v=HQoc2bvPzIk


[企業・商材について]

大塚食品が販売する炭酸飲料。ビタミンなどが豊富に入っており、炭酸飲料の中では栄養価が高い。一方、いわゆる“栄養ドリンク”(オロナミンCやリアルゴールドなど)と比べると、たくさん飲めるというメリットがある。

栄養ドリンクは、過剰に摂取すると人体に悪影響を及ぼすナイアシンなどの成分が多く入っている。商品によっては、1本で1日の推奨摂取量を超えるドリンクもある。そのため、たくさん飲むことができない。対して、「MATCH」はナイアシンなどの成分は少なめである。

以上のことを踏まえ、「MATCH」の特徴をシンプルに言うと、「ジュースのわりに栄養価が高い商品」といえる。

このCMの放送開始当時、「Berry MATCH」という新しい味が発売。ストロベリーやラズベリーなど、5種類のベリーが使用されている。色はピンクであり、甘酸っぱい味が特徴。また、可愛らしいパッケージデザインになっている。


[ターゲット]

10代~20代前半の男女。炭酸のジュースを好むタイプ。


[企画の思考プロセス]

「MATCH」は、「学生の飲み物」というイメージを定着させている。その中で新発売となる「Berry MATCH」の特徴は、「甘酸っぱさ」と「ピンク色」。「恋」と親和性が高いため、恋をしている学生を表現し、ターゲットの共感を誘い、「MATCH」のことを好きになってもらう。

実際、学生の中では、恋を成就させられていない人のほうが多いと考えられる。そのため、両思いではなく、片思いをしている学生を描いたほうが共感を得やすい。

学校の席替えで、片思いをしている男子学生が好きな子の隣になり、嬉しそうにする様子を表現。しかし、女の子の席が勘違いであったため去っていく。片思いをしている学生の高揚感と落胆をユーモラスに表現する。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

片思いをしている学生の高揚感と落胆をユーモラスに表現し、ターゲットの共感を得て、「MATCH」のことを好きになってもらう。


[演出のポイント]

■雪山になっていることで、喜びが強調されている。

男子学生が「サンキューベリーマッチ!」と叫ぶカットでは、好きな子と席が隣になった喜びを表している。雪山になっていることで、喜びがより強調されていると考える。雪山は、登る過程を「辛い時間」と捉える人がほとんど。つまり、これまでの時間が「寂しかった時間」だという印象を受ける。仮に、このカットの場所を普通の山にした場合、受け手に「寂しかった時間」と捉えてもらいにくい。なぜなら、実際に山を登る過程を「楽しい時間」だと捉える人もいるから。雪山になっていることで、これまでの時間が「寂しかった時間」という印象を与える分、男子学生の喜びがより強調される表現になっている。


■広瀬すずさんの「飲む?」の言い方が控えめ。

女の子が男子に自分のジュースを「飲む?」と差し出すのは、非常に積極的な行動。言い方が元気な感じだと、男勝りな印象を受けやすい。その点、控えめな言い方になっているので、「控えめな女の子が積極的な行動をしている」と見える。ターゲットをドキドキさせる、印象に残りやすい演出になっている。


[自分がクリエイターだったら]

■先生のセリフを変える。

1カットめで、既に生徒が移動している。そんな中、先生の「新しい席に移動。」という“移動を開始させる”ためのセリフは不自然。移動しているということは、既に言った後のはず。そのため、先生のセリフは「早く新しい席に移動しろよ~。」などの“既に移動し始めている生徒を促す”セリフに変える。


■コピーの色をピンクにする。

「青春がないのも、青春だ。」のコピーの色が白なので、背景と被っている。読みやすくするためにピンクに変える。

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