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【スラムダンク】THE FIRST SLAM DUNK唯一のヒール?竹中先輩から考える「チーム論」

まだまだロングランが続いている映画「THE FIRST SLAM DUNK」。いろいろと登場人物たちにクローズアップしてあれこれ書いてきましたが、今回はスラムダンク内でも珍しいヒールとなってしまった竹中先輩を中心に書き連ねていこうと思います。例によって映画ネタバレ有りとなりますので、ご了承ください!

竹中先輩の第一印象

最初に登場してきた時は、当然「いるよねー、こういう嫌味な先輩」という単なる「嫌な奴」キャラだったのですが、何度か観ているうちに、イヤな奴には変わりないのですが、もしかしたら「自分も竹中先輩になってしまう可能性ってあるのでは・・・?」などと思うようになってきました。

原作にも出てくるヒール役たち

竹中先輩は映画オリジナルキャラです。しかし原作でもゴリこと赤木主将の同級生たちが大会前なのに、練習をサボって自分の悪口を言っているところを目撃してしまい、ブチ切れる・・・というシーンがありました。

竹中先輩の立場から後輩赤木を見ると・・・

とはいえ、竹中先輩たちから、後輩の赤木と接することになったらどうでしょう・・・?所詮は中堅県立高校。しかも県大会でも上位につけるような成績も残していない。彼らからすると「楽しむ」というレベルで活動していたところに、「夢は全国制覇!」と(やたら)激アツな後輩が入ってきたら・・・?自分(たち)が大きな器をしていたら、「お、元気な後輩が入ってきたな」と最初は静観していることと思いますが、やたらその元気さの度が過ぎてきたら・・・?

きっと排除の気持ちが芽生えてくるのではないでしょうか?これってどこの組織でもあることで、だからこそ「改革」って本当に難しいんですよね。人間、どこかで異質なものを排除したくなる因子って残念ながら持ってしまっているんだと思うんです。映画の中では竹中先輩が声を出してハッキリと赤木に対して「お前、面倒くさいんだよ」というような本音をぶつけています。このシーンの描写では他の先輩方もそれに対して無言の同意をしているような表情をしていますので、恐らく皆同じような思いを持っていたのだと思います。

同級生たちから見ても熱すぎるのは・・・

これは原作の大会前に教室でサボっている部員が、赤木に対して「お前と一緒にやると息がつまるよ」と本音をこぼしています。きっとそういう気持ちを持ちながら、ずっと共に練習をしてきたのでしょう。繰り返しますが、単純に竹中先輩や原作の同級生たちが悪い!と断じてしまうのは簡単なのですが、彼らよりだいぶ年を取った立場で考えると、なかなか深いテーマだよな、とこのシーンになると心がとても重くなります。

組織は「異物」を排除する(したがる)

先ほどの話になりますが、当初はそうした「イキのいい」後輩って、見ていて清々しいですし、目を細めてみていますが、それがずーっと続いたり、ましてや増長してきたら・・・やっぱり面白くないですよね、というより面倒。なんとなーく疎遠にしたり、距離を取ってしまうんじゃないかな、と思います。やっぱり組織ってトップ層のマインドが下へ伝播していくと思うので、どうしても「トップ」の意向が重視されてしますよね・・・。

では「解決策」は?

じゃ、どうすればよかったのか?ここは安西先生か?いや、安西先生も谷沢さんの一件もあり、まだこの時期は見守る(というか放置?)スタンスのようですし・・・。彩子さんもまだハリセンキャラではないですし・・・笑。ゴリの場合、じーっと我慢して先輩には「恐怖政治」と言われていますが、先輩たちの引退を待つのも一手だったのかもしれません。ま、彼の性格上、そんなことはできないでしょうけどね、きっと。

組織を一方向に向けるということは難しいんですよね。・・・って知ったように書いていますが、自分もまだまだ毎日失敗の連続です。きっと恐らく竹中先輩たちは彼らのレベルでは部活に打ち込んでいたと思うんです。でもそれが赤木の熱量とは違った。しかも彼の発する熱量がハンパないだけにますます引いていく。彼の部活に打ち込む熱量、上手くなりたい、強くなりたい、全国に行きたい!という強い思いがますます鬱陶しくなってきたのかもしれませんね。

赤木主将の気づきと成長

赤木にはそうした先輩たちを口には出さないが、どこか彼らを軽蔑していて、それが態度から見えてしまっていた。だからこそあの回想シーン(夢の中で竹中先輩でそれを指摘される)につながるんでしょうね。そして気づくと山王戦、赤木が望んでいたチームが出来上がっていたことに気づく。「オレの夢はもう叶っていたんだ・・・」といって冷静な自分を取り戻す。

でも、そんなゴリに一言いいたい!(笑)

しかし、ちょっと待ってほしい。ゴリにとっては、彼が主将になってもしっかりついてきていた「仲間」がいるんですよね。花道、流川ら新高1生とリョータ、三井といった問題児軍団ではなく。それは盟友の木暮くん、1個下世代のヤス、シオ&カクと、最高のマネージャー、彩子さんです!この5人は赤木を信じてチームに残ってきたわけですから、もうこの時点で一緒に全国を目指す仲間、チームの下地はできていたんですよね(ま、もちろんこうしたシーンは描かれてはいませんが・・・)。

そしてそこへ例の問題児軍団と、新人(石井くん、桑田くん、佐々岡くん)が加わり、赤木主将が本当に待ち望んでいた、全員が同じ方向に向いたチームが出来上がっていったわけです。このように改革とか思いを共有するって本当に時間がかかるし、なかなか作ろうと思っても上手くいかないことの方が多いんですよね。

さらには彼らを優しく見守る安西先生。実はかつては鬼軍曹だった大学の名将が高校バスケ界でもう一度やり直していこうという姿が温かく描かれてい(るように思い)ます。きっと竹中先輩たちのいた時期は安西先生もどうやって導いていくのか思案されたんでしょうね、きっと(映画でも過去の試合シーンでベンチには所在なさげに彩子さんと座っていましたね)。

まとめにならない「まとめ」

今回は竹中先輩をテーマにしつつ、先輩、後輩両方から見たチーム醸成について考えてみました。とはいえ、全く結論が出ているわけではなく、書きながらも「どうすればよかったのか?」は未だに見えていません。ひとつだけ言えることは「時間が解決する」という面が学校の部活動にはあるように思います。代が入れ替わりますからね、自然と。でも職場だったら?難しいですよね。それこそ古今東西、どこへいってもついて回るのは「人間関係」問題。これはどうにもなくならないんでしょうね・・・。

スタンドに竹中先輩!?

そして最後になりますが、映画の話に戻って締めくくりたいと思います。映画の最終付近、観客席に若干アフロの竹中先輩っぽい方が映っていませんでした?手を叩いて湘北を応援している一人として描かれていたように思います。これが竹中先輩であってほしい!いろいろあったけどやっぱり後輩を応援できる優しさのある先輩であってほしいな、と思っています。(しかもその脇には中学時代にリョータを体育館裏で殴っていた悪ガキ連中の成長した姿に似たグループもいませんでした?見間違えかな?)そうした「和解」の場であってほしいと勝手に願っています。

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