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130/80で国民半分に降圧剤―高血圧に非ず 「発達障害」児に覚醒剤のような危険な薬―発達障害に非ず うつに非ず③

「自分にうつ病は関係ないよ」とおっしゃる方も多いかもしれません。しかし、病気をつくる「疾病化」はうつ病にとどまりません。
 
「うつに非ず」の著者野田正彰医師は高血圧や発達障害を例に挙げます。
 

高血圧に非ず


<生活習慣病の提唱と歩調をあわせて、高血圧の見直しが進められた。
1962年よりWHOの判定基準では、収縮期血圧160mmHg(※ブログ主注:ミリ水銀)以上または拡張期血圧95mmHg以上を高血圧としてきた。それが1999年に改定され、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90 mmHg以上を高血圧とした。
拡張期血圧5mmHgの基準の違いは世界中で何億人という人々を高血圧患者に変え、降圧剤を扱う製薬会社の利益を莫大なものとした。>
 
2022年6月12日付読売新聞朝刊に
「高血圧 国民の2割 学会調査 80歳以上66%が該当」の2段見出しがついた小さな記事がありました。
日本高血圧学会が2014年の診療報酬明細データベースから調査したもので、国内の高血圧患者数は2700万人で、9割にあたる2400万人が治療薬を処方されているといいます。
 

降圧剤売り上げ20年間で6倍


がんもどき理論で知られる近藤誠医師もかねてよりこの高血圧患者の疾病化問題を厳しく批判していました。
医師中村仁一氏との共著「新版 どうせ死ぬなら『がん』がいい」(2018年宝島者)では、
<高血圧のガイドラインはどんどん低くなっています。降圧剤の売り上げは1988年の2000億円から2008年に1兆円超え。20年間で6倍になっているけど、病人が増えたわけではない。血圧の基準値が下がっただけ。そもそも根拠があるわけではなくて、経済的な功利で作ったようなものですからね。>
 
そして無益なだけではありません。
 

降圧は無益有害


近藤誠著「医者が『言わない』こと」(2022年毎日新聞出版)では、
<健診で高血圧が判明したような、元気で健康だった人たちは、血圧を下げると早死にしやすい。…正常血圧を厳格にして国民の半分を高血圧患者とする企みに、陰謀以上のふさわしいことばがあるでしょうか>と有害であると言っています。
 
同書によると、<根拠なく決めた140/90をマズイと思ったのでしょう。…基準を決めたあとに>二つの比較試験が日本高血圧学会によって行われました。
結論を簡単に言うと、血圧を緩く下げるよりきつく下げる方が脳梗塞は20%増、総死亡数は29%増。降圧しないより降圧した方が脳梗塞は6割増、がんの発症数は4.5倍になったのです。
血圧はきつく下げた方が死亡率を高めると言うのに、
なんとこの学会にはまともな人がいないのでしょうか、
 
<2019年日本高血圧学会は
降圧治療の目標値を「140/90」を「130/80」に切り下げました。
この切り下げによって、降圧剤の対象人口は6000万人にもなるそうです。>
これが上記の国民の半分を高血圧患者とする企みです。確かにWHOが高血圧を疾病化したのですが、日本高血圧学会が恥も外聞もなく疾病を拡大化しました。
 
近藤医師は<血圧が高いのは、異常でもなく病気でもなく、その人の「個性」>として、<調査研究では、高齢になるほど、血圧が高いほうが総死亡率が低くなります。フィンランドで80歳以上の男女に降圧剤を飲ませず様子をみたところ、上の血圧が180以上の人たちの総死亡率がいちばん低かったのです(Eur Heart J 1997;18:1019)。>
 
「うつに非ず」に戻ります。
 

安易に発達障害と診断し副作用の激しい薬


2002年の文科省調査がもとになって2004年発達障害者支援法が作られました。問題点を見ていきます。
調査は全国5地域から4万人の小中学生の児童生徒を抽出し学習面や行動面に関する75項目について担任教師が回答。教師の回答を点数化した結果、「学習面か行動面で著しい困難を示す」に該当した児童生徒は6.3%。医師の診断ではないと断っているのに、これが即マスコミによって、「発達障害6%」と読み替えられました。これが法制化につながり、概念があいまいな発達障害を脳機能の障害と断定しました。教師は自分の持つ40人のクラスには2人の発達障害の子どもがいるという認識を持つようになったというのです。
お膳立てが整うと
<子どもができない先生たちは、少しでも手間がかかる子どもは、発達障害の疑いという言葉を通して見る。子どもは養護教諭のところに送られ、あるいは児童相談所、児童精神科医のところに送られる。そして安易な診断のもとに発達障害と診断され、副作用の激しい薬を飲まされる、ということが進行している。>
 
<発達障害に対して、現在きわめて危険な薬が投与されている。厚生労働省が承認しているコンサータの成分は覚醒剤と化学構造式も薬理作用もほぼ同じである。…厚生労働省研究班が小児神経科医と児童精神科医に対して行ったアンケートで、3割の医師が「発達障害」がある小学校入学前の幼児に向精神薬を投与していると答えた。使用しているのは統合失調症の薬であるリスペリドン88%にADHD治療薬メチルフェニデート67%、睡眠薬59%だったという。>
 
この章の最後に疾病化の共通手法を紹介しています。
適当なアンケートを実施⇒「曖昧な病名〇%」と流布、「早期発見、早期治療」を啓蒙⇒言説を信じた市民や政治家が法律や対策を求める⇒適当な調査の数字を疾患化した人々が有効性は乏しく副作用のある薬を投与
 
LGBTs啓蒙DVDのPRチラシを見ると、「LGBTsの人口規模は少なくともクラスに1~2人程度であろうと推定」と書かれています。性同一性障害の診断基準は、うつ病診断でもいわくつきの、アメリカ精神医学会によるDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)に依っていて、昨年欧米にもない法律LGBT理解増進法がバイデン政権から岸田首相への命令でつくられました。その後、最高裁が性別変更の要件「生殖機能を失わせる」を15人全員一致で違憲としたことも今後のさらなる事態悪化を想像させます。
私見ではありますが、この問題は疾病化の共通手法と重なる部分が多いと感じています。
 

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