見出し画像

他人のマネはすぐできない!習熟コストを知って適正なリスク管理を!

メリットに目がくらんでデメリットが見えなくなる。

人間とはこういう生き物です。

大きな決断をするときこそデメリットを十分に吟味しなければいけません。

会社活動でいえば『事業判断』は慎重な判断をしなければいけません。

今日の記事ではその非常に危険な例をご紹介しますので、よろしければ皆様の反面教師にしていただければ幸いです。

同業他社からの相談を受ける

画像1

普段は製造業に属する企業の新米課長としての気づきや、経験、考察、組織を変えるための苦悩についてnote投稿をしている『ケツアゴ新米課長』と申します。

今日は空想の話をします。

空想の話。


先日珍しい仕事を経験しました。

ある競合の企業との怪しくない打ち合わせです。

打ち合わせの前に内容の連絡だけがありました。

内容は大体こんな感じです。

・相手企業はある事業を数年以内にやめようと思っている
(工場を閉鎖する予定)
・お客様との付き合いがあるので同じ製品の製造を我が社に依頼したい

こんな話を持ち掛けていただきました。

我が部長のリアクション

画像2

この話が持ち掛けられた当初、うちの部長のリアクションはこのようなものでした。

『うひょー!!競合の売り上げがうちに入る!!やったぜー!!』

と、いう事で打ち合わせ当日。

話は製品を引き受ける前提で進んでいきました。

その部長だけではなく、同格の他の出席者たちも浮かれていました。

冷静さを保つための反対意見

画像3

不安になった僕は打ち合わせ終了後に、あえてインパクトの強い言葉を使って問いかけをしました。

この話って、そもそも他人が吐き捨てたガムですよね?
まだ味が残っていると皆さまは思っていらっしゃいますか?

僕だって新米課長です。

会社経営の経験もなければ事業譲渡の経験もありません。

でも、メリットだけ見てデメリットに対して目を向けずに大きな決断をするのはリスクが高すぎるという事くらいはわかります。

まず、そもそも基本的には『手放しで喜べるほど魅力的な商品だったら事業をやめるわけない』がセオリーです。

ただ、東芝や日立の例もあるように、しっかりと利益を上げている事業でも前者の総合的な戦略との相性で売却されることもあります。

まずは『相手企業さんにはいらないが、我が社にとっては有益であるという特別な理由がないのか』を調べるべきです。

(今回のケースはそもそも『売却』ではなく『引継ぎ』なので初めから期待薄ではありますが・・)

素人がベテランと同じように上手にできるのか?

画像4

仮にその事業自体に利益が出ていることを確認できたとしても、次にこのような問いを立てなければいけません。

素人の自分たちがやっても同じように上手にできるのか?

製造業ではなく餃子屋さんに例えて考えてみましょう。

長年続けていた餃子屋さんには10分で100個くらいの餃子を包んでしまう超優秀なベテランのパートさんがいたとします。

それをレシピだけ引き継いで、新人のバイト君が餃子を包むことになった場合に同じだけの利益を出せるでしょうか?

確実に利益は減りますね。

もともとの利益率が低かった場合、赤字にすらなりかねません。

経営学の代表的名著にも記載あり

画像5

『めちゃくちゃ有名だけど、値段が高すぎるし何より重くて持ち帰えりたくなくて買うのをためらってしまう本ランキング堂々1位!!』でおなじみのマイケル・ポーター著『競争優位の戦略』ではこのことを『習熟コスト』という名前で紹介しています。

単純に作業の熟練レベルが高くなるまでの損失(作業性の低下から、失敗して売り物にならなくなってしまった餃子の費用)から、新たなことを始めるためのマニュアルを作成する手間などまで考慮に入れて考えるべきだと説いています。

製造業であれば単純な作業員のレベルだけではなく、同じレベルの生産性に持っていくだけの設備投資が必要になる場合もあります。

場面は戻って会議終了後の会社に

画像6

これらのマイナス(費用)要素について検討もせずに、単純に『売り上げ増えるからいいじゃん!』というのはあまりにも危険だと部長陣に提案しました。

提案納得いただいたのか、話のトーンは一旦落ち着き『ひとまず一連の調査をしてから再考しよう』という流れに。

初めから完全に否定いるわけではなく、あくまでリスクを確認するべきだという提案が通りました。

提案は通ったもののしっかりとしたオチが・・

画像7

しかし、最後に調査の担当決めをする際とんでもないことが起きました。

『ケツアゴ君(僕の名前)。詳しそうだから調査は全部やって。』

おおおおおお。。。

ただでさえ4月から2課の課長を兼務して部下は3倍、仕事は2倍になったというのにまだ僕に仕事を振りますか・・・

提案したもん負けで仕事はどんどん増えるし、別に給料が増えるわけでもありません。

だからこの会社ではリスクに目を向けない経営層が育ってしまうわけですね。。

まぁ。架空の話なんですけどね。

まとめ

画像8

今日は目の前のメリットに浮かれて、短慮のまま大きな決断をしてしまうことの危険性について記事を書きました。

ポイントは2点です。

①メリットだけでなくデメリットも考慮して天秤にかけよう
②慣れないことを始めると『習熟コスト』と呼ばれる損が発生することを忘れずに。
(人のマネをしてもすぐ同じように上手にはできない)

目の前にメリットが転がっていると盲目的になってしまうのが人間というものですが、大事な事業判断の場においては従業員やその家族の顔まで思い浮かべた上での判断をするようにしなければいけませんね。

これを読んでくださったあなたも是非お気を付けください。


こちらの記事は似たテーマの記事を集めた『大企業のリアル』というマガジンにも登録されています。

大企業イメージと実情のギャップに悩みながら奮闘して改善を目指す姿を投稿していますので、もしよろしければこちらもご覧ください。

この記事は似たテーマを集めたコチラのマガジン『読書をしたので皆様と共有したい事』にも登録されています。
読んだ本の紹介や、行動に移した例、紹介用資料の作成記事をまとめています。

よろしかったらご覧いただければありがたいです。


こんなこと書いてる僕はこんな人間です。
よかったらこっちも読んでもらえるととてもうれしいです。

もしこの記事が皆さんのお役に立てたら、会社でも使えたらスキやコメント・サポートをしていただけると自分ん中身をnoteに残すモチベーションになります。

#日記 #エッセイ #コラム #ビジネス #人事 #企業 #新入社員 #大企業 #大手 #社会人 #上場企業 #課長 #大企業病 #昇格 #大企業病の本質 #昇格 #新米課長 #就職活動 #部下 #社員教育 #製造業 #工業 #読書 #ビジネス書 #いま私にできること #フォロバ100 #相互フォロー #中間管理職


僕の経験と苦悩が詰まった記事を書くように心がけています。 あなたのお役に立てたら嬉しいですし、僕の苦悩に共感していただいてもとてもうれしいです。 製造業としての経験を外の世界で試すか、製造業で上り詰めるか。 見届けてもらえると嬉しいです。