爆速でニーズ把握&連続プロダクトリリースをした事業立ち上げ方法【PM Club社2023年の仕事振り返り】

この記事を書いているのが12/31、年内ラストをカフェで仕事をしながら過ごしております。皆様いかがお過ごしでしょう?

2023年は私の4度目の起業チャレンジである株式会社PM Clubにとって飛躍の年、うさぎ年男にふさわしいジャンプができました🐰。それと同時に、チャレンジの失敗と反省することも多い1年でした。これからチャレンジをするプロダクトマネージャーの方、起業家の方に役立つ内容を、書ける範囲ギリギリまで残しておきます。

私にとっては当たり前にしていることでも、新規事業にこれからチャレンジしたい人からよく相談される内容へのアンサーにもなっています(こういった実践の知見は新規事業コンサルタントでも持っていないと自負していますがもちろんすべて無料で公開します)

連続で新規サービス立ち上げを成功させた時のやり方

ChatGPTにブログ記事のイメージで作ってもらった画像です

1.絶対に外さないニーズの確かめ方

2023年はPM SchoolとPM Careerの2つをそれぞれ3〜4ヶ月でリリースしました。一般的にプロダクトのリリースはあんまり連続でやることは少ないのですが、やり切ることができました。

  • PM School 4/25リリース

  • PM Career 6/15リリース

よく連続でリリースできますね!と言っていただけるのですが、今回こだわっていたポイントがいくつかありました。


  1. サービスのリリース前にLPを公開

これは私が起業をする時にいつもやる手法でして、通常の起業をする人の多くはプロダクトを作ってからVCから投資を募ったりユーザーを集めたりするのですが全く逆の進め方をしています。まずLPを公開してからプロダクトを作るのです私のサービス作りリリース基準は「リリース前に受注できるかどうか」です。今回PM SchoolもPM Careerもリリース前から問い合わせが多く、お金を払ってくれるユーザーが多数いたので通常ある「ニーズがあるか分からない」という不安は一切ありませんでした。ニーズがあるのであれば、あとはやり切るだけです。

このやり方のメリットは当然のことながら「ニーズがあるかどうか確実にわかる」ことです。起業をして失敗する人の原因のほとんどがニーズのないところでプロダクトを作ってしまうためです。なので、まずはニーズの検証を最優先でするべきだと思っている派なので、このやり方を徹底しています。

この原体験はアメリカの著名VCであるポール・グレアム氏の言葉にあります。新規プロダクト開発の失敗で最も多い原因は、そもそもニーズがないところでプロダクトを作ってしまうことにあるのです。だからこそポール・グレアム氏は「人が欲しいと思うものを作れ」と口を酸っぱくして語っていますが、これは日本だとあまり知られていない名言だと思っています。この機会にぜひ知っておいてください。

引用:君にグロースハックはいらない
https://www.slideshare.net/takaumada/you-dont-need-growth-hacking

このやり方のデメリットは、サービスのオペレーション構築とプロダクト作りの実行力がなければ「売ったは良いがプロダクトを作れない」という状態になりやすいことです。まだプロダクトがない状態で売るということは、用意できない場合はただの嘘つきになってしまいます。こうならないためには、プロダクト作りの高いスキルが必要になります。なので起業1回目の人や若い人だと正直これは真似できない部分もあるよな…と思いつつ、とはいえニーズがあるところにプロダクトを必死で用意する方が、ニーズがないところでプロダクトを作る苦しさよりもずっとマシだと思っています。生みの苦しみは必ずあるので、どっちがマシかという話ですね。


2.ニーズを確認してからノーコードツールで最速リリース

さて、ニーズがあることを「プロダクトを出す前に受注する」ことで確かめたら、あとはどうやってサービスを作るかどうかです。今回私が連続でサービスリリースできた大きな要因にノーコードツールの普及と品質の向上があります。これを言うと驚かれるのですが、PM SchoolとPM Careerはリリース時には本当に一行もプログラムを書いていません。せいぜいGoogle AnalyticsやTag Managerのタグくらいでしょうか。本当にプログラムっぽいものは一切書きませんでした。これは色々な理由があったのですが、

  1. Webエンジニアの採用競争が激化&高単価化

  2. ゼロからプロダクト作りをすると最速でも半年かかる

  3. ノーコードツールに詳しい友人のアドバイスがあった 

これらが大きな要因でした。私自身、ノーコードツールでプロダクトを作るのは初めてだったのですが、ノーコードツール特化の開発会社を経営している @tsukasa_hiraga のアドバイスを多数もらって「これならいける!」と思ったことが大きかったです。皆様、ノーコードツール開発のご相談は彼にどうぞ。

実際に使用したノーコードツールは以下でした。

PM School
アプリケーション:Thinkificというカナダの動画学習特化のノーコードツール
・LP:STUDIO
PM Career
アプリケーション&LP:Bubble

ノーコードツールでサービス作りをすると、リリースが本当に早くなりました。PM SchoolもPM Careerもどちらも開発期間は約2〜3ヶ月ほどです。もちろんリリース時に必要な最低限の機能は絞ったとはいえ、これはスクラッチ開発では不可能なスピード感です。PM SchoolもPM Careerもノーコードツールがここまで進化していなかったら、下手したらおそらくまだリリースすらできていなかったかもしれません。

ノーコードツールを使う時のデメリットとして、将来的な拡張性ややりたい機能がどうしても制限されることです。ノーコードツールを上手に活用するためには、本当にMustで必要な機能とWantなあれば良い機能を明確に区別して意思決定できなければいけません。スクラッチ開発は大変で時間もかかりますが、その分やはり柔軟に作り込むことができます。

ここは実際にやってみないと分からない部分も多いので、ノーコードツール活用に関してはまた違う記事で詳細を書いてみたいと思います。今はかなりそれぞれのツールのメリット・デメリットに詳しくなりました。

3.リリースしてからサービスの質を上げていく

ニーズを確かめてからノーコードツールで爆速リリースをしたら、あとは「解決策の質」を上げていくだけです。これはスタートアップの世界ではいわゆるPSF(Product Solution Fit)と言うやつですね。課題があることは分かったので、それを解決する品質を上げていく作業になります。

ここからは当たり前のようにユーザーに毎日会い、営業をし続けます。そして何が相手に刺さっていて、何が課題になっているのかを解像度を上げていく作業になります。PM Schoolリリースから8ヶ月、PM Careerリリースから4ヶ月でそれぞれ100名を超える人と会いお話を聞きました(ご協力いただいた方々、本当にありがとうございます😁)。

課題が分かり解決策が用意できたら、事業開発としてやることは課題の解像度を上げることのみです。ここはショートカットする方法はなく、ユーザーヒアリングやデータ分析の数によってプロダクトの成長角度が大きく変わっていきます。大変なのは間違いないですが、とはいえニーズがあることが分かっているのでこれはとても楽しい作業です。ヒアリングした方々から期待しているよ、早く使いたいと言われるのはやはり嬉しいものです。

上記1〜3をやりきった1年でした。その結果として、事業立ち上げ直後から多くの問い合わせがあり売上につながりました。今期はコスト抑制したこともありますが、しっかり黒字で終えられる数字を作ることができました。創業2期目のスタートアップとしてはなかなか良い数字を作れたのではとここは自負しています。

今年のおまけにリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の補助金に採択されるなど大きなおまけや来年への仕込みが完了し、ますます2024年が楽しみになりました。

4.経営者としての自分・会社の方向性に悩んだ日々と反省

※ここだけ佐々木のポエムです
サービスのリリースと垂直立ち上げにはうまくいったのですが、個人的に反省だったなと思うのは夏ごろまで会社の方向性に迷っていたことでした。と言うのも、私は今回が4回目の起業でサービス作りのためのお金はすべて自己資金でまかなっていました。特に人材紹介業は初期の資本金に500万円が最低でもかかるのですが、貯金があったのでここにも困りませんでした。

しかし、それが良いのか悪いのか会社の出口、イグジット戦略で迷う理由になってしまいました。VCなど外部資本を入れない、エクイティファイナンスをしない場合の会社はずっと上場をしないで、稼ぎ続ける限りは存在し続けることができます。外部株主がいると「お前らいつ上場かM&Aするんだ」と出口戦略を求められるのですが、我々にはそれがありませんでした。外部からのプレッシャーがなく選択肢が多かったことが結果迷いを生むのは皮肉ですね。

会社の出口戦略が変わると、サービスにどれくらいのお金を使ってグロースさせるのかが変わり、ひいては資金調達をどれくらいするべきなのかが変わります。会社にとって出口戦略はしっかり決まっていないと動きが鈍るというのは身を持って経験しました。

これまで私はSaaS企業によくある基本Jカーブモデルという先行投資をして赤字を掘り、プロダクトの成長を目指すモデルの経験はあったのですが、黒字を着実に積み重ねるモデルの経営はあまりしたことがなかったのでやってたかった気持ちもありました。実際、景気が悪くスタートアップの資金調達環境もかなり悪かったので、黒字経営で始めたのは正解だったと今でも思ってはいます。

結局のところ、自分はこの会社をどうしたいのか?ひいては、どう生きていきたいのか?これを7月ごろまでずっと悩んでいました。しかし、夏に北海道旅行をしていた時にふとこう思ったのです。

「上場の鐘を鳴らしたことがある人生と鳴らしたことがない人生、どっちが良い?」

ChatGPTに作ってもらった上場の鐘を鳴らしているところ

こう思った時に「よし、上場させよう」と決意しました。スタートアップがこういう意思決定を記事にすることはあまり多くありませんが、現時点では弊社は上場またはM&Aをして非連続な成長を目指すスタートアップ企業に方針を切り替えることにしました。今期は安定した黒字経営でしたが、来年からは多少の赤字は覚悟したサービス成長を目指していきます。そのため、デットファイナンスも含めた資金調達計画も作っています。

後から振り返ってみると、人生の大事な決断をする時ってメリット・デメリットよりもむしろ自分らしさ、私の場合は「好奇心」で決めることで腹落ちした決断ができました。あれこれ悩み始めてもきりがないですからね…最後には、自分がどうしたいかを「えいや!」で決めることが大事なのだと思いました。この決断をもっと早くできていたら今のプロダクトの成長スピードももっと上げられたかもしれないというのが今年最大の反省でした。現時点でも十分な垂直立ち上げができたと言えますが、私が迷わなければもっといけたかもしれません。まさにタイム・イズ・マネーですね。意思決定の遅さは経営者として反省すべきことだと実感しました。


以上、PM Club社がやっていた新規事業の連続リリースでやっていたことでした!今年はプライベートで婚約やゴルフ100切りなど色々あったのですが、それはポエム記事で別記事で振り返ってみます。

感想として、ノーコードツールがなかったらPM Club社の飛躍もなかったであろうと実感しています。逆に言えば、ノーコードツールやAIなど最新ツールを知っているかどうかで事業の立ち上げスピードもかなり変わるので、最新テクノロジーは相変わらず格差助長ツールで学習能力の高い人がどんどん有利になっていくなぁと実感しました。起業家はすべからく学習することが求められていきますし、今後それは加速するでしょう。

個人的には来年は「新規事業立ち上げ屋」から「経営者」に進化していくための1年にする予定ですので、引き続き買って兜の緒を締めよ、油断せず大晦日も仕事に励みます。

2024年は辰年ということで、龍のごとく舞い上がれるようドラゴンフライの精神でやっていきます🐲🐉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?