首吊り自殺当日②


彼氏を見送った後、何をしていたか

ざっくりとした記憶しかないけれど

・とにかく掃除

・彼氏との写真の削除

・ごみ捨て

・風呂

・数人へ連絡

をした。

彼氏が何時頃に帰宅するかわからなかった

けれど、連絡もしたくなくて、普段はするLINEも当日は送らなかった。

代わりに「私はうつ病なの!頭おかしいの!」と言えるような人にLINEをした。

多分その数人は、私にとって「話を聞くのが上手い知り合い」だ。

「うんうん、大変だ。ゆっくり休みな」

そう言ってくれる人にしか今の自分のことを話したくなかった。

外は雨がふりだしていた。

彼氏は傘を持って行かなかった筈だから、スーツが濡れちゃったかな?なんて考えた。

いつ帰って来るんだろう?とベランダや廊下をウロウロ歩いては覗いた。

私は生まれつきこんな感じなのでその日に限ったことではないけれど

ビシャビシャに濡れながらベランダを覗くと下には電線があった。

「飛び降り自殺で死ぬ」と決めてから

・人を巻き込まない様にしよう

・看板や車などに当たって遺体が真っ二つ!とかは嫌だな

・そもそもここからで死ねるのか?案外痛くなさそう(8階)なんて思った。

電線に当たるかもしれないな…雨だし

飛び降り自殺は、やめよう。

ずっと飛び降りで死ぬって覚悟を決めてきた自分があっさり、飛び降り自殺やめ!!!

首吊りの方法を急遽調べまくった。

なんせ、時間が無い。彼氏が帰って来る。

その時私はこう思っていた。

ただいまって帰って来る彼氏の表情は暗くて

私にうんざりしている⇒生きていたら迷惑がかかる⇒でも死んでいても迷惑じゃん?!⇒じゃあ生きてる?!⇒別れる?!⇒先に死ぬ?!⇒先に死のう!そしたら別れを切り出さずに済むし、彼氏のうんざりした顔は見なくていい。

テキパキ調べた。紐がない。紐棄てた〜紐も棄てたよ〜この間まであったのに!!!もう整理と掃除し過ぎて何も家にないよ!!!どうしよ!!!

私はこの文章の表現のままに生きているので

きっと私に直接会ったことのある人からするとイメージしやすいと思う。テンパった。

で、ビニール袋がかろうじて見つかった。

ビニール袋をチョキチョキ切って固結びを何度もして輪っかを作って玄関のドアノブに引っ掛けた。

お風呂で綺麗にしたけど、浣腸したけど、内容物が出たら嫌だな…汚いかな…とか考えてタオルを敷いた。

このマンションの人に申し訳ないなとか

管理人さんごめんなさいって思った。

で、ついに首吊り自殺決行。

生まれてはじめての首吊りに苦戦した。

首絞めプレイとかする男とは縁がない人生だったので首を絞められた経験がほぼ無かった。

風俗の客に「Sなの?Mなの?」とか聞かれても「相手によります。知らない人に痛いことされるなんて絶対嫌です。ましてや仕事で」とか愛想なく答えてたからなぁ〜なんて考えた。

苦しんだ人と全く苦しまず眠る様に死んだ人がいると調べた時に書いてあったからドキドキしていた。

結論、私は無痛だった。

正直、ガッカリした。ガッカリと表現するのは死んでない今おかしいけれど、ガッカリした。

首吊りってこんな感じなのか

まぁ想像してた感じだなぁ

頭がぼーんやりして眠たくなって、ふわーっとして全身が痺れて、具体的には頭の後ろが引っ張られて痺れてから脚と骨盤と腕が痺れた。

眠れて無かったのと薬漬けだったのと

体調が悪かったのが重なったのか

首を吊っている時、すごく気持ちが良かった。ようやく、ゆっくり眠れそうって心から思った。

耳が聞こえなくなった頃、無音の世界でブラブラ揺れながらふと斜めに下に視線を落とすと彼氏からのLINEだった。

そんな時に彼氏のLINEがメルカリの通知に挟まれててなんだか虚しくなった。メルカリに罪はない。

全くバイブ音が聞こえなかったから、いつ来たんだろう?とぼんやり思った。

返信をする気持ちにはなれなくて、でも遺書とかも書いてないし、どうしようかな〜なんて考える余裕もあった。

迷った私は、いったん自殺を中断

彼氏のLINEを開き(開いたのかな、ここはぼんやり)

いままでありがとうごめんね

私のことは忘れてね

みたいなことを書いて未送信にした。

ずっと苦しんでいるのを傍で見ていたから

これで内容は十分だろう。と思った。

そして、再度首吊り定位置に戻り首を吊った。

薄れていく意識の中で、涙は出なかったけれど

すごく申し訳ない気持ちになった。

彼氏に発見されたい。第一発見者は彼氏がいい。

見つけさせてごめんよ。トラウマになるかな?

怒るかな?泣くかな?迷惑かけてごめんね。

あのうんざりした顔が、喧嘩で浮かない顔の彼氏が最後に見た姿なんだ。悲しいな。とか

就活見届けられなくてごめんね。とか

なんかそんな気持ちでいっぱいだった。

で、そのまま首を吊っていたら、確かに死が見えた瞬間があった。

続きます。

死田



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