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【早起きできたら日記14】 90年代ヒットソングに片づけの極意を習った

この前ふとJITTERIN'JINN の『プレゼント』という古い曲を思い出した。
あなたが私にくれたもの キリンがさかだちしたピアス あなたが私にくれたもの フラッグチェックのハンチング…」この後も、ユニオンジャックのランニング、丸いレンズのサングラス、オレンジ色のハイヒール、白い真珠のネックレス…と続く。ポップなメロディに合わせて延々と、元彼にもらったものを羅列していく。そして「大好きだったけど 彼女がいたなんて 大好きだったけど 最後のプレゼント bye bye my sweet darlin さよならしてあげるわ」とサビを歌って終わる。果たして歌の主人公は、この「プレゼント」の山を捨てたのだろうか?

昨年から、こんまり流片づけコンサルタントの方についてもらい、家の「物」と向き合っている。服も、書類も、おもちゃも、かなり捨てた。それでもまだまだある。一体この小さな部屋にどれほどの物量があるのかと。普段存在を忘れているのになぜか捨てられなかった物たちが、ひしめいている。もっと捨てられるなあと思う。結婚11年。それ以前から持っている物だってある。十数年分、蔑ろにしてきた部分に全て向き合うのには、それ相応の時間がかかるのだと思う。「どうでもいい」物がない家とはどれほど気持ちいいのかと想像する。

先日は昔の名刺ファイルが目にとまり、一気に中身を捨てた。名刺を捨てるというのもまた、なんとなく気が引けるが、昔の仕事関係のものだ。もう自分から連絡をとることもないだろうし、そもそも私を覚えていないだろう。その会社にいない可能性も高い…冷静に考えていたら、「なぜいつまでもとっておいたのだろう」と逆に不思議になり、捨てることができた。同時に、会社名などを見て、自分が頑張っていた仕事のことを思い出した。憧れの企業にアポをとり思い切って営業をかけたり、雑誌の編集者に商品を紹介したり…。すっかり忘れていた。大した実績はないと自分のキャリアを否定していたが、私、頑張ってたんだ。「物」は捨てた。でも「物」への執着が消えたことによって、「良い思い出」に浄化された気がした。気持ちがいい。これはまさに元彼との思い出の品を捨てる行為に近い。JITTERIN'JINNの曲が頭の中でビートを刻み始める。Aメロとサビしかない曲。サビがなければまるでポップな念仏だ。そうか、これは執着を手放し物を成仏させるための曲だったのか ––「大好きだったけど、さよならしてあげるわ」これから片づけの時はそう告げて物を処分しようと思った。

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