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【青年海外協力隊】協力隊を通して知った途上国の「貧困」

日本で過ごしている中で、テレビやネットを通して見聞きするアフリカの「貧困」ってどんなイメージですか?

・食に困っている。
・お金に困っている。
・親がいない。

主に上記のことがイメージされると思います。そしてそのイメージから連想されるのは「不幸」や「かわいそう」というものではないでしょうか?
私も実際そんなイメージが少なからずありました。

アフリカの村の生活は。

さて、協力隊の同期達はアフリカの田舎で村人たちと生活しています。赴任したばかりのころ、オンライン上で隊員同士やり取りしていく中で大体出てくるのは「思っていたより不幸な印象はない」「日本で暮らすより幸福度が高そう」というもの。話を聞いたり、実際に隊員が生活するタンザニアの村を訪問することで感じた私の印象も同じものでした。

・食に困っている。⇒ 品目は少ないが食べることはできる。
・お金に困っている。⇒ 収入は少ないが、支出も少ない。
・親がいない。⇒ 片親の子供もいるが、村で育児をしている。

もちろん、栄養面の問題や疾病時などの急な支出に対応できないなどの問題もあります。しかし、「貧困」のイメージから「不幸」とは繋がらないのです。

アフリカの都市は。

途上国とはいえ、首都など一部の都市は発展が進んでいますが、住民間には格差が出ていることもあり「貧困層」と呼ばれる人もいます。ザンビアの首都ルサカを訪問した時に、街でお金を欲しいという人に会ったり、孤児院の訪問で垣間見ることができました。

・食に困っている。
・お金に困っている。
・親がいない。

孤児院を訪れて壮絶な話を聞いたらこのイメージはほぼその当てはまりました。そしてかわいそうだと率直に思いました。
話によると親から見放されるなどして、都市に流れてきた子供たちはストリートチルドレンとしてお金を求める。もちろんその日の食事のため。その活動していく中でテリトリーとする他のストリートチルドレンもおり、仲間になったり、元あるグループに入るなどする。そして一部のグループや子供が行きついてしまうのがドラッグ。空腹を紛らわせるなどの目的で、ペットボトルのキャップ一杯に満たない薬品を服用し、自身の内臓を傷みつけてしまうのだとか。
その孤児院はオープンな施設で自由に出入りできる施設であり、そういったストリートチルドレンだった子が最大70人ほどいるという。

「田舎型の貧困」と「都市型の貧困」

私がアフリカで協力隊員として過ごすことでうっすら見えていた「田舎型の貧困」と「都市型の貧困」について、その孤児院の方と話すことで少し落とし込めました。
前提として、田舎であろうと都市であろうと先進国の指標で見れば貧困層は多く存在しています。ただ内容は全く違う。

田舎型の貧困については、

・食事の問題・お金の問題・・・農業で自給自足し、最低限を賄えている。
・親の問題・・・村のコミュニティによって保護されている。

問題は根本は残っているものの、最低限の解決策が存在し、ある程度満足もしている。村人の幸福度も高そうである。


都市型の貧困については、

・親の問題 ⇒ 食事・お金に困る ⇒ 都市に来る・ストリートに出る

一つの問題から連鎖して、当人が解決のために、その日の生活のために繰り返し活動している。解決の糸口はなかなか掴めない。
上記は子供の例だが、成人でもお金に行き詰ったら都市にお金を集めに出る構図は存在していると思う。

田舎はこのままでいいのか。

都市型の貧困が深刻であるようになってしまっていますが、田舎型も根深いものがあります。それは幸福度が高いが故によるものです。つまり、生活に満足してしまって、生活の向上への取り組みに対して腰が重いというもの。

先述のように田舎型の貧困でも栄養面や収入不足などの問題はあります。ただ生活できている、十分幸せという意見から、施策は持続しなかったり受け入れられないことがしばしば。
推し進めることは先進国のエゴかもしれないし、支援側はそのままにしておくのがベストでもないと知っているという、国際協力や開発業界のジレンマの一つではないでしょうか。

協力隊員もその葛藤はよくあるのですが、草の根活動として2年間一緒に生活することで地域住民に発見や理解を促しています。

では、都市型はどうする。

こちらも持続的な活動や対策が必要だなと思いました。孤児院などの施設で保護を続けるのも必要ですが、これを続けていても数は減りません。
施設や保護から出た後は戻ってこないようにするための「生活を安定させる施策」や施設に入る要因となってしまう「路頭に迷わないための施策」も必要です。
行政や経済、保護団体など多方面の協力が必要なのだろうと思います。

まとめ

タンザニア内陸部の田舎とザンビアの首都にある孤児院を数時間見学しただけの所感なので、これだけでアフリカの貧困のすべてを見たわけではありません。犯罪者や障碍者、失業者、難民と多くの例があるでしょう。

ただ垣間見ることができたのは、「テレビで見た田舎で水汲みをしている子供」と「写真で見る都市の暗闇で生活する子供」はみんなが同じ食べ物やお金や親の問題を抱えているわけではないということ。中身を見てみると支援のアプローチは違うなと。

そして、貧困=不幸の図式は成り立たない。少なくとも田舎では。
そんな日本を超える田舎の生活を見ていると少し羨ましくなるという隊員の意見もわからなくない。


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