トヨタ生産方式の『アンドン』の本当の役割

アンドンは、トヨタのサイトでもこのように説明されています。

トヨタ生産方式を取り入れた生産現場では、「目で見る管理」が重視される。 その道具の一つとして、設備の稼働状況や作業指示が一目でわかる電光表示盤「アンドン」が利用されている。 「アンドン」は、ラインを効率的に管理するための道具で、関係者に作業や処置を促す情報を表示する。

これをもって、よく「見える化が大事です!」と言われています。

ところが、このアンドンは「制約」を見つけるための仕掛けなのです。
トヨタ生産方式はベルトコンベアを用いた強制駆動型生産ライン、つまり全てのプロセスが同期しているI型ラインですね。

関東自動車工業の技監だった方から聞いたのは、アンドンは工程に問題があったときに周りに素早くそれを知らせる役目はあるのですが、その目的は「制約」を見つけ、継続的改善をするための仕掛けになっているそうです。
具体的には、ベルトコンベアのスピードは作業者が気づかないくらい少しずつ少しずつ速くなっていく設定。そうすると、決められたタクトタイムで作業が出来ないところが出てきたり、段取りが間に合わないところがでてきて、それを「不具合」として作業者がボタンを押し、アンドンを点けるのです。

もうおわかりだと思いますが、5 Focusing StepのIdentifyを生産ラインの設計思想として組み入れているのです。

制約を特定したら、当然Step2に進みます。
アンドンが点いた工程の改善を、工程全体で何か工夫して実現できないかを、ラインの関係者が集まって知恵をだして案をだす。
で、Step3として、みんなで改善策を実施する。場合によっては、Elevateもあるのでしょう。

そうやって改善したあとは、しばらくは生産ラインは止まらないですが、また別の工程でアンドンが点くときがくる。それがStep5です。

また、トヨタの製品開発は、製品設計の段階で完全に作り込みはしないとのことでした。
量産に入ったあとも、現場の作業者と工程設計と製品設計の相乗効果でモデルライフの中でさらに改善を進め、顧客に優しく工場にも優しい車に進化させ続ける。

Step3のSubordinateの範囲は、生産現場の上流を遥かに越えて、設計までチェーンとして“最初から“含んでいるわけです。

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