桜谷慎一|GrabFuture

GrabFuture 社長。『経営は科学である』を信条に、経営コンサルタントとして活動…

桜谷慎一|GrabFuture

GrabFuture 社長。『経営は科学である』を信条に、経営コンサルタントとして活動中。 ソニーで10年、ミスミで4年の事業会社経験、2社のベンチャー起業経験、外資系コンサルファーム12年を経験し、”経営の設計図”を展開。AKKODiSコンサルティング パートナー。

マガジン

  • Change THINKING, Change LIFE

    いまの時代を生き抜くために、時間の自由と身体の自由と経済の自由を手にする知恵をまとめました。 考え方が変われば行動が変わり、行動が変われば生き方が変わる。 なかなか体系立てて学ぶ機会がない方にも役立てていただければ嬉しいです。

  • 組織開発

最近の記事

トヨタ生産方式の『アンドン』の本当の役割

アンドンは、トヨタのサイトでもこのように説明されています。 これをもって、よく「見える化が大事です!」と言われています。 ところが、このアンドンは「制約」を見つけるための仕掛けなのです。 トヨタ生産方式はベルトコンベアを用いた強制駆動型生産ライン、つまり全てのプロセスが同期しているI型ラインですね。 関東自動車工業の技監だった方から聞いたのは、アンドンは工程に問題があったときに周りに素早くそれを知らせる役目はあるのですが、その目的は「制約」を見つけ、継続的改善をするため

    • イノベーションを生むSystem Thinkerになるためのオススメのビジネス書

      ジュニアのコンサルタントから、「イノベーションを産み出せる思考力を養うにはどんな本を読めばいいですか?」と聞かれたので、10冊を厳選。 ECRSのような業務改善のフレームワークをいくら使っても、ブレインストーミングを何度繰り返しても、世界をより良くするようなイノベーションが生まれる確率はゼロに近いどころか、単なる偶然でしかない。 見えない理を見出す(たとえて言うなら、映画マトリックスの主人公NEOには世界を構成しているコードが見えるようなもの)能力を養うために、ぜひ読んで

      • イノベーションの新たな視点:国家の経済発展の歴史から考える「リープフロッグ」

        この論文は、2019年度に三井業際研「環インド洋経済圏ビジネス研究委員会」に参画した際に、執筆したものである。歴史的観点から国家単位の発展の要因を考察し、都市化と段階的な産業構造の変化により経済成長したパターンと、一足飛びに経済成長を果たすイノベーションの可能性を論じた。 image by Drona7, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons (1)はじめにここで述べる視点の多くは、ジャレド・ダイヤモンド&ジェイムズ・A・ロビンソン編著『

        • 『VRML化された美術館』:あるいはアナザー・ミュージアム構想

          『VRML化された美術館』は97年に鹿島出版発行 SD 4月号”デジタルミュージアム”に掲載されたもの。 3Dモデルで表現された原美術館とそこでの作品のキュレーションを行えるデジタルコンテンツを作成し、インターネット上で公開しました。その時の背景やコンセプトを、アート、テクノロジー、アーキテクチャーの関係から改めて洞察し、「アナザー・ミュージアム」構想を検討していたころの論文。 はじめにわたしたちは今とても不思議な世界に住んでいる。自分の目や耳で捉え、自分の頭で考えていると

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        • Change THINKING, Change LIFE
          9本
        • 組織開発
          3本

        記事

          超スマート社会時代の産業構造を読み解く

          2017年に三井業際研究所の研究委員会「三井グループが考える超スマート社会」に参加したときに書いた報告書の一部。Society5.0をどう捉え、ビジネス機会を生み出すか1年間研究活動をした時に担当したパートです。 序文メガトレンドでみてきたように、共有資源(コモンズ)を専有的中央集権的に支配する封建的経済から、徐々に市場経済、資本主義経済に移行し、そして資本主義経済からいままさに協働型経済ともいうべき新たな社会構造にパラダイムシフトしつつある。 また、社会構造の変革には常

          超スマート社会時代の産業構造を読み解く

          巨人の肩の上に立って - 「生産の本質的な概念」と「生産手法」の比較-

          Standing on the Shoulders of Giants – Production concepts versus production applications エリヤフ・M・ゴールドラット© Eliyahu M. Goldratt, 2008 TOC(Theory of Constraints:制約理論)の提唱者であるエリヤフ・M・ゴールドラット博士が、フォードの流れ生産、大野耐一のトヨタ生産方式、そしてTOCのDBRの手法を比較し、『流れの四つの概念』を

          巨人の肩の上に立って - 「生産の本質的な概念」と「生産手法」の比較-

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #4:因果関係で徹底的に考える

          ここまで、楽して成果を出すために図解のパワーを使おうという話しと、ロジカルシンキングには分類・相関関係・因果関係という3つのステップがあること、そして因果関係を図解する作法を説明してきました。 ここからは、因果関係で表したものをチェックする方法を説明していきます。大きく分けると2つのグループがあります。ボックスの内容そのものをチェックするグループと、つながりをチェックするグループです。 全部で7つあるこのチェック項目は、正式には「論理の妥当性の検証Categories of

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #4:因果関係で徹底的に考える

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #3:誰も教えてくれない本当のロジカルシンキング

          みなさんは、これまでさまざまな問題に対して、これまたさまざまな問題解決を図ってきたはずです。問題解決手法というのもたくさんあるので、いろいろ試したりしているかもしれません。 まずは代表的なロジックツリーとマインドマップが問題解決には不向きであることを説明し、その後で問題解決に不可欠なロジカルシンキングの3つのステップを解説します。 You see there is only one constant. One universal. It is the only real t

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #3:誰も教えてくれない本当のロジカルシンキング

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #2:書き(描き)出すことは想像以上にパワフル

          書くことでそんなに効果があるの? いまでも議事録やプレゼン資料は書いているのに、どこが違うの? きっと頭の上にたくさんのクエスチョンマークが浮かんでいることでしょう。「書き(描き)出す」ことは、実は想像以上のパワーを持っているのです。 まだ#1を読まれていない方は、こちらもどうぞ。 記憶の錯覚を避ける書くことを難しく言い換えれば、人間の認知行動のひとつであり、思考の外在化の手段だと言えます。 書くことは、アウトプットとして一方的な作業と思われがちですが、実際には書くこ

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #2:書き(描き)出すことは想像以上にパワフル

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #1:なぜ、仕事が思ったように進まないのか

          成果を出そう ———自分の自由な時間を作るために! サラバ、残業、休出、持ち帰り! 楽して成果を出す、図解のパワー はじめに入社5年目で初めて任される大きな仕事。 先輩に付いて学んできたことをいよいよ自分でやってみる時が来た。 いろいろ教えてくれた先輩には感謝しているけれど、もうちょっと上手いやり方があったのにと思うところも正直ある。 今度は自分で思い切りやってみよう! チャレンジしなければ、成果にはならないのだから… 去年は大きな特命プロジェクトを成功させたことが認め

          コンサルタントの「問題解決」ノート術 #1:なぜ、仕事が思ったように進まないのか

          ‘’練習で汗をかけばかくほど、戦場で流す血は少ない‘’

          若手コンサルタントに宛てたSlackのポスト。厳しすぎる、詰め寄られるとパワハラを受けたかのようなことを囁く人がいるので、なぜそのような態度を取るのか説明したもの。 イスラエルに本社があるGoldratt Consulting社に在籍していた当時、本社のメンバー(当然ユダヤ人)同士あるいは日本メンバーと激しく、ホントにケンカしているんじゃないかというくらい激しく議論しているのを何度も目撃しました。議論を尽くした後は、感情的なわだかまりは微塵も無く、すぐ和やかな雰囲気になる。

          ‘’練習で汗をかけばかくほど、戦場で流す血は少ない‘’

          『救えるか?絶滅寸前の着物文化』:バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く その3

          論文あるいは小論文と言われるようなきちんとした文章を書くためにピラミッドストラクチャーを使っています。原典はバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』。最終原稿だけでなく、そこに至るプロセスも解説します。 この論文は2011年にダイヤモンド社の論文作成トレーニングの時に執筆したもの。採点を受けた時に、満点をもらいました。また、京都在住の帯の作家さんに読んでもらい、まさに業界全体で方向転換が必要なことを訴える良い内容だと講評をいただきました。 見出し画像: djedjによる

          『救えるか?絶滅寸前の着物文化』:バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く その3

          ‘’情報は、一次ソースに当たれ‘’

          若手コンサルタントへのスレッド。プロジェクトメンバー全員に、あるレポートを共有していたので、情報の取扱の大事さをSlackでポストしました。 この記事、日本語でまとめた人の能力がいまひとつで、オリジナルレポートの重要な部分がかなり抜けてます。 記事の冒頭に、イノベーションに成功事例の3つの特徴とあり、1番目が「巨大市場を志向している」となってチャートまで用意していますが、オリジナルでは巨大市場を志向しているなんて書いてません。 「3. They leverage a cor

          ‘’情報は、一次ソースに当たれ‘’

          『TOC(制約理論)とは何か? ゴールドラット博士の視点』:日本語訳全文

          イスラエルの物理学者だったEliyahu M. Goldratt博士が、2011年に発刊された『TOC Handbook』のために寄せた論文。TOC(Theory of Constraints:制約理論)は、閉鎖寸前の機工場を立て直すビジネス小説『ザ・ゴール』で多くの人に知られるようになったが、まだまだ生産現場改善の手法だと思っている人も多い。 日本語訳は私が個人的に訳したものですが、TOCの進化の歴史と適用エリアの拡がりがよくわかる素晴らしい論文なので、多くの人に正しくT

          『TOC(制約理論)とは何か? ゴールドラット博士の視点』:日本語訳全文

          【小論文の書き方】バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く:その2

          小論文のタイトルは、『電子書籍が出版社を救う』。 論文あるいは小論文と言われるようなきちんとした文章を書くためにピラミッドストラクチャーを使っています。原典はバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』。最終原稿だけでなく、そこに至るプロセスも解説します。 2011年2月にトレーニングを受けたときに書いた小論文なので、当時の世相も垣間見られると思います。 見出し画像: www.epictop10.com ピラミッド原則の詳細は、その1『ネット社会は、リアル社会と同じように実

          【小論文の書き方】バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く:その2

          【小論文の書き方】バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く:その1

          論文あるいは小論文と言われるようなきちんとした文章を書くためにピラミッドストラクチャーを使っています。原典はバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』。最終原稿だけでなく、そこに至るプロセスも解説します。 小論文のタイトルは、『ネット社会は、リアル社会と同じように実名であるべきか?』。2011年2月にトレーニングを受けたときに書いた小論文なので、当時の世相も垣間見れると思います。 見出し画像: www.epictop10.com バーバラ・ミント著『考える技術・書く技術

          【小論文の書き方】バーバラ・ミントのピラミッド原則で論文を書く:その1