見出し画像

【ミックスダウン編】ベース

レコーディング編と同じく、エレクトリック・ベース・ギター(以下、ベース)のミックスダウンについて解説します。スタジオでの高級な環境での話をしても現実的ではありませんから、ロック、ポップス曲をオーディオインターフェースで直接レコーディングした場合を想定します。

基本的には音量を安定させること

ベースという楽器の特性上、ラインでレコーディングしたトラックは音量が大きく暴れます。特にスラップ部分では強いアタックが特徴的で、まるで打楽器のような波形を作ります。
さらに、多くの場合において楽曲の全体でベースは鳴り続けますので、このトラックの音量を安定させることが最重要となります。

コンプレッサーを使う場合

音量を安定させるにはコンプレッサーが第一選択肢になります。弦楽器でのコンプレッサーの設定にも、やはり基準となるものがありますので、一度試してみてください。

アタック:最速
リリース:150ms 前後
レシオ:2.5:1 前後
スレッショルド:コンプレッサーが効きっぱなしになる程度

ベースは打楽器ほどのアタックは持っていませんから、レシオは低めにし、コンプレッサー感が出来るだけ出ないようにします。上記のように設定するだけで、自然に音量を安定させることができ、アタック(高域)が減る分、低域が持ち上がります。

アンプシミュレーターを使う場合

ロック色の強い曲であれば、アンプシミュレーターほど効率的なものはありません。有名なアンプやキャビネットを自由に組み合わせ、設定を丸ごと保存することができます。また、設定によってはコンプレッサーを使用しなくても少々歪ませることで音量が勝手に安定する場合もあります。
もし、ベーシストがレコーディング時に使っていたアンプの設定記録があり、シミュレーターで再現可能であれば、似た音が作り出せます。

積極的に低域を増幅させる必要はない

ベース、と聞くと低域をイメージされやすいですが、ミックスダウンにおいて積極的に低域をブーストする必要はありません。最初から入っているからです。低域を意識しすぎると、楽曲の中でベースの輪郭が聴こえなくなってしまいます。

マルチバンド・コンプレッサーも効果的

スラップが多用されたり、ハイノートから開放弦まで使うような楽曲の場合は、帯域そのものが安定しないため、マルチバンド・コンプレッサーも効果的です。ベースには3バンドあれば充分でしょう。

位相は気にするほどではない

アンプやアンプシミュレーターでは、原音を破壊してその音を作っています。厳密には位相は歪んでいるのですが、他のトラックと位相関係がないので、基本的にはどんなエフェクターを使っても問題ありません。
ただし、ラインのトラックと、極端なオフマイクのトラックを同時に使う場合は、オフマイクのトラックをラインのトラックに合わせる必要があります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?