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楽器作りにおいてのデザインとは

数ヶ月前に本屋で立ち読みして面白そうだったので購入した本2冊。
デザインとは何だろうかと考えつつ読了。

なんでしょうねぇ、デザインって。
装飾?機能?表現?解決策?

楽器を作る場合に関して言えば、デザインは見た目のみではなく結果的に弾き心地や音色に深く関係してきます。
そしてもちろんその美しさや音色は、将来的にその楽器を所有するオーナーの満足感にも関わってきます。

質実剛健的な無骨なデザインの楽器もあるでしょうし、煌びやかな装飾を第一にした楽器もあるでしょう。

一人一人の製作家の中でもデザインの移り変わりはありますが、数百年と言う楽器の歴史の中でもそのデザインは少しずつ洗練されてきました。実際、今ではほぼ形状が決まっているバイオリンなども、その初期にはかなり様々な個性的なものがあったようです。

製作家は皆つねづね、良い音色の楽器を作りたいと思い試行錯誤をしています。そしてそこに多少なりとも自分の個性も盛り込みたいと思っていたりもします。
しかし同時にそれが商品であるが故に、ユーザーの興味を引ける、売りやすい楽器であることも考えなくてはなりません。

音はいいけど弾きにくい。逆に弾きやすいけど音はイマイチ、ではどちらも商品にはなりません。
良い音、弾きやすさ、美しさ、耐久性、コストパフォーマンス…それらのすべてが高い次元で融合して初めて、ユーザーに認められ長く世に残れる楽器になるのだと思います。

そういった数々の課題に対する解決策を考え、自分なりの形に表現していくのが製作家にとってのデザインなのかなと思います。

もう一つ付け加えればSeilenのデザインとして大切なのは、「木の個性を生かす」ということでしょうか。

前置きが長くなったけど、この「塑する思考」という本の作者が語る「塑する」というのは、「弾力的である」という事の反対でどんどんと形を変えて自分に拘らないというような意味です。
弾力的だと外力に応じて形を変えながらも、その外力が無くなれば元に戻ってしまいますので案外頑固なんですね(笑)

うんうん確かに。と思う。

デザインの対象物を目の前にしてそれを最大限に活かそうと思ったら自分の形に拘りすぎてはいけない。
良い楽器を作るには自分が変わり続けなくてはいけないのだなと改めて思いました。

もう一冊のムナーリさんの本は、ちょっと今ひとつだった…。高かったのに。。。(笑)

でも最初の方のページにある「豪華さは野蛮な豊かさの表れであって、デザインの問題とは違う」というのはちょっと噛み締めておかなくちゃならないなと思いました。

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