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【新城マガジン】五つの福を願う-みんなに愛される本場中国の味-


自己紹介をお願いします!

私の名前は劉 天源(りゅう てんげん)と申します。今年で45歳になります。中国の遼寧省の出身です。そこは大連という主要都市があるところです。遼寧省は上海よりも北に位置し、田舎の風景と清の時代からの歴史が残る世界遺産で知られています。
日本には2006年、27歳の時に来ました。

趣味は、特に決まったものはありませんが、携帯ゲームを楽しんだりしています。以前は魚釣りをしたことがありましたが、忙しさのためなかなか時間を取ることはできないですね。


来日してから修行して気づいた日本での中華料理

日本に来て最初にどんなことをしたのですか?

日本に来てすぐに中華料理店をいくつか回りました。それは修行として、中華料理の腕をあげるためだけでなく、日本の中華料理がどういうものか、そしてそれが中国の中華料理とどう違うのかを理解するために修行をしました。

東京の虎ノ門、日比谷、横浜など、いくつかの場所で修行しました。

その中でわかってきたことは、日本の中華料理は香辛料や化学調味料の使用が控えめだということです。特に八角などの香辛料は、日本人にとっては少し馴染みが薄いかもしれません。中国だと香辛料が強いので日本人からしたら漢方のように感じてしまうのかなと思いました。
これは日本の和食が素材の味を生かすことに重点を置いており、それが大きな違いの一つだと感じました。

いくつかの店を回っても、香辛料を控えめに使っていることが多く、すぐにその違いに納得しました。それが日本での中華料理のスタイルだと理解しました。

修行中に特に印象に残っている思い出はありますか?

修行は非常に厳しかったですね。中国での経験よりも、ずっと疲れた記憶があります。日本の中華料理店では化学調味料に頼らず、料理の基本から一つ一つ手をかけて味を重ねていく手法に最初は驚きました。
この基本的なアプローチは、20年前に中国で学んだことと変わらないと気づきましたが、これが料理の基本であることを再確認しました。

基本に忠実であることの重要性を痛感しました。確かに化学調味料を使えば、手軽に美味しい料理を作ることができます。しかし、基本からしっかりと料理を作り上げる技術こそが、本当に美味しく、体にも良い料理を提供できる秘訣です。時間と手間はかかりますが、その価値は計り知れないと思います。日本に来てこれらを学んでおいて本当に良かったと心から思います。

劉さんはなぜお店を横浜でオープンしようと思ったのですか?

日吉で働いていた時から、自分の店を持つ夢がありました。昼休みを利用して、ブルーラインで色々な場所を探し回りました。センター南は新しく開発された綺麗な街で、ちょうど良い物件が見つかったんです。その時は31歳でした。
そのお店をオープンして、お客さんはサラリーマンと地元の方々がほぼ半分ずつでした。昼休憩を利用する方や、仕事後に来られる方々が多かったですね。
ただ、開店初期は特に集客と人手不足にものすごく苦労しました。何度かキャンペーンを実施して価格を下げてみたりしましたが、キャンペーンが終わると一時的にお客様が減少するなど、うまくいかないことが多かったです。
でも、割引を行うことは今思うと宣伝だったのだと思います。そのおかげで3ヶ月ほど経ってから、少しずつお客様が増えてきました。

武蔵新城でのお店開業の道のり

新城でお店を開くことに決めた理由は何ですか?

武蔵新城に移住してから、この街の魅力にすっかり魅了されました。平坦で生活しやすい街並み、そして何でも手に入る便利さが、ここでの暮らしを特別なものにしています。住み始めてから徐々に、「この街で自分のお店を持ちたい」という思いが強くなっていきました。

しかし、理想の店舗を見つけるのは簡単なものではありませんでした。いくつかの良い物件に出会いましたが、大きな企業に先を越されたり、大家さんの懸念(特に匂いや汚れを理由に)で中華料理店の出店を断られることもありました。でも、私は武蔵新城でお店を開くという夢を諦めることができませんでした。

空いた時間はいつも自転車で街を巡り、理想の場所を探しました。そしてついに、偶然にも現在の店舗が前のオーナーによって閉店されると知りました。そのチャンスを逃すまいと、大家さんに直接お願いをしました。

大家さんとの交渉には確かに課題がありましたが、最終的にはオープンに向けて合意に至りました。お店を開く場所を探し始めてから約2年、多くの困難がありましたが、この街でお店を開くことを諦めなくて本当に良かったと心から思います。

この武蔵新城で、「五福」を開業できたことは、私にとって大きな喜びであり、この街への感謝の気持ちでいっぱいです。

「五福」という店名にはどのような由来があるのですか?

店名を決める過程は、物件探しと同じくらい心を悩ませました。横浜での店舗と同じ名前を継続するか、それとも新たな名前で新しいスタートを切るか。また、私が特に自信を持つメニューの「麻婆豆腐」から、「麻婆飯店」という名前も頭をよぎりました。

でも、名前について思案している時にたまたま、中国から両親が訪れた際、母が手作りの「五福」と書かれた刺繍をプレゼントしてくれたのです。その深い意味と母の愛が込められた背景に、心から感動し、「これだ!」と直感しました。そこで、お店の名前を「五福」と決めたのです。

「五福」とは、健康、平安、富貴、平和、そして家族の平和を意味する、縁起の良い言葉です。私たちは、訪れるすべてのお客様にこれら五つの福が訪れることを願っています。

名前を決めた瞬間から、その刺繍は飾りではなく、店の象徴としての新たな意味を持ちました。それは、私にとっても、そして「五福」にとっても、かけがえのない宝物となっています。店内に飾ることで、来店される皆様とその素晴らしい意味を共有したいと思います。

「五福」のメニュー:本場の味を日本で

メニューはどんな物を提供しているんですか?

メニューは本場中国の味を再現しつつ、日本のお客様にも愛される料理を提供しています。意外にも、本場の味を忠実に再現した料理が人気メニューとなっています。中国へ頻繁に出張されるお客様から「これは中国と同じだ」と言われることがあり、それは私にとって大きな喜びです。

もちろん、完全に同じというわけではないですが、スパイスの量を微調整する必要があるなど、日本のお客様の好みに合わせた変更を加えています。それでも、そのように言っていただけることで、努力が実を結んでいると感じられます。

1番の自信メニュー:麻婆豆腐

私が一番自信を持っているのは、当店の麻婆豆腐です。「麻」とは痺れを意味し、その名の通り、辛さと痺れが特徴ですが、どんなお客様にも楽しんでいただけるように辛さは調整可能です。また、変わった香辛料は使わず、日本の方々に合うように細心の注意を払って調理しています。

本場の味:カリ酢豚

また、本場中国の味をそのまま提供しているのがカリ酢豚です。中国全土で一般的に食べられている料理ですが、当店では中国東北部の地元で食べられている味付けをしています。
日本食も関東関西で味が異なるように中国も地域によって異なります。
このように地元の味付けを大切にすることで、この店ならではの特別な料理を提供しています。

レバニラや回鍋肉など、どの中華料理店でも見かける料理を超え、当店独自のものを提供することに重点を置いています。地元のメニューは、この店だからこそ提供できる、特別な味わいです。同じカリ酢豚であっても、中国の地方ごとの違いを生かした当店だけの味を追求しています。

これからも、中国の本場の料理を、日本で味わっていただけるよう努めていきます。中国に行ったことがあるお客様に「懐かしい」と思っていただけるような、そしてまだ中国を訪れたことがないお客様にも「本場の味」を楽しんでいただけるような、そんな料理を提供し続けたいと思います。

今後の「五福」の展望を教えてください。

「五福」では、お客様に常に新鮮さを提供するため、現在のメニューに満足していただきつつも、新しい料理を続々と考案していく予定です。時には既存のメニューに飽きることもあるかもしれません。そんな時、新たな味でお客様を驚かせたいと考えています。

中華料理に興味を持つ日本の方がいたらいいなと思います。
今は私たち中国人スタッフが中心になって運営していますが、中華料理の素晴らしさを広め、次の世代に伝えていくためにも、より多くの方々にその技術や文化を共有することが重要だと思っています。

中華料理の知識や技術を日本の方々にも教えて行けたらいいなと思います。そして、日本でも、中華料理を通じて多くの人々がつながり、日本の豊かな食文化をさらに発展させていけたらいいなと思っています。

最後に:五福への願い

最後に、「五福」の名前に込めた健康、平安、富貴、平和、家族の平和という五つの福が、お店を訪れるすべての人に届くことを願っています。お店としても、これからも繁盛し、多くの方々に愛される場所であり続けるように頑張ります。

これからも「五福」をよろしくお願いいたします。皆さんにとっても、五つの福が訪れる場所であり続けたいと思います。

【店舗情報】五福について

【営業時間】 
 平日ランチ 11:30〜15:00
 平日ディナー17:00〜23:00
 土日    11:30〜〜23:00
【住所】〒211-0045
  神奈川県川崎市中原区上新城2丁目9-1  2階
【電話】  044-577-0022

カメラマン:Sugiyama Takanobu
ライター:Sugiyama Takanobu

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