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NAT(非恣意性トークン)とデジタルマター理論について

こんにちは、今日はNAT(非恣意性トークン)に関する話を中心に書いていきたいと思います。

2021年はETH上でNFT、2024年はBTC上でNATの流れはあるかもしれない、と思っています。

現在実はNATプロジェクトを開発中でして、2024年4月中旬に発表予定です。よろしければフォローお願いします!

https://twitter.com/Shinnosukee07

DMT(デジタルマター理論)を利用して開発しているのですが、まずはNAT登場に至るまでのナラティブを整理していきましょう。

ビットコインブロックチェーン

ビットコインブロックチェーンはシンプルさとセキュリティを重視していて、P2Pの送金には最適なネットワークなのですが、一方で複雑なアプリケーションを構築するのは難しいという問題がありました。

アプリケーション構築が難しい理由には以下の点が挙げられます。

  1. スクリプト言語の制限: ビットコインのスクリプト言語は複雑なプログラムやスマートコントラクトの作成が困難です。これはセキュリティリスクを抑えるための設計です。(非チューリング完全、と言うらしいです)

  2. ストレージとデータ容量の制限: ブロックサイズの上限があるため、大量のデータや複雑なロジックを保存することが難しいです。

  3. トランザクション処理時間の変動: 新しいブロックの生成時間が平均約10分と長いため、リアルタイム処理には不向きです。例えば一回のムーブに10分かかるゲーム、辛いですよね。

これらの理由から、ビットコインはP2Pの送金には最適化されていますが、複雑なアプリケーションの構築には制約が多いのです。

これに対して、イーサリアムは柔軟なブロックチェーン構造を導入し、これらの課題を解決しています。

イーサリアムの登場

イーサリアムの登場は、ビットコインブロックチェーンが直面していた複雑なアプリケーション構築の難易度という問題に対する解答として現れました。イーサリアムはスマートコントラクトを導入することで、ユーザーが任意の複雑なロジックをブロックチェーン上で実行できるようにしました。

そしてみなさんご存知、分散型アプリケーション(DApps)の時代がやってきます。

様々なアプリケーション開発を可能にし、金融サービスからゲーム、アートまで幅広いアプリケーションのブロックチェーンへの統合を促進しました。

一方でその限界も存在します。
アプリケーションのフロントエンドやアート作品などのデータがブロックチェーン上ではなく、中央集権的なサーバーに依存している点が挙げられます。端的に言うと、運営者のサーバーが死んだらBAYCやAZUKIはただの文字列にになってしまいます。

まとめると、以下のような課題が存在します。

  1. セキュリティと信頼性: ブロックチェーンの分散化と不変性に対して、中央集権的なサーバーはセキュリティリスクが高く、データが改ざんされたり失われたりする可能性があります。

  2. 分散化の損失: アプリケーションの重要な部分が中央集権的なサーバーに依存している場合、ブロックチェーンの提供する分散化の利点が損なわれます。サーバーがダウンすれば、アプリケーション全体が影響を受ける可能性があります。

  3. 所有権とアクセス権の問題: 上述したBAYCの例のように、作品自体が外部のサーバーに保存されている場合、そのサーバーへのアクセスが失われたときに、実質的な所有権が意味をなさなくなる恐れがあります。

イーサリアムはビットコインが抱える問題に対する技術的な解決策を提供しましたが、アプリケーションやデータのホスティングにおいて中央集権的な要素を排除することはできていません。

この問題への解決策として、完全に分散化されたストレージソリューションや、データをブロックチェーン上に直接保存する技術の発展が期待されていました。

Ordinalsの登場

Ordinalsとは、ビットコインのブロックチェーンに直接、データやデジタルアセットを埋め込むことができる新しいフレームワークです。(主要な人物や技術的背景については割愛します)

従来のビットコイントランザクションでは、主に送金情報が扱われていましたが、Ordinalsを使用することで、画像やテキストなど、さまざまな種類のデータをSatoshi(ビットコインの最小単位、1億分の1ビットコイン)に紐づけてブロックチェーンに記録することが可能になります。

この技術の導入により、ビットコインブロックチェーンに直接コンテンツやデータを書き込めるようになりました。ビットコインの基本的な特性を変えることなく、新しい用途と拡張性を提供しています。

Bitmapなどが代表的なプロジェクトですが、詳細は一旦割愛します。

デジタルマター理論(DMT)について

ここまでビットコインの登場、ビットコインの課題を解決するイーサリアムの登場、そのイーサリアムの課題を解決しうるOrdinalsの登場、という形で紹介してきましたが、一旦こちらではDMTについての話をしていきたいと思います。

デジタルマター理論(Digital Matter Theory、DMT)は、デジタル資産やデータが独自の価値や特性を持つことができるという考え方です。固定化された方法論はありません。

デジタル世界におけるアイテムやコンテンツが、物理的な物質と同様に、ユニークな存在として扱われ、その独自性や希少性によって価値が決定されることを指します。

これだけだとよくわからないと思うので、この理論を利用して開発されたNATについて触れたいと思います。

Non-Arbitrary Token(NAT:非恣意性トークン)について

こちらのNATCATという猫のアートプロジェクトを例に説明していきたいと思います。

ブロックチェーンのブロックには様々な情報があります。

ブロックデータから生成されるトークンに対して、開発者は参照するブロックデータからトークンプロパティを設定するようなコードをデプロイすることができます。こうして生成されたトークンをUNAT(Unique Non-Arbitrary Token)と呼びます。

この中にBitsという項目があり、Natcatの場合はこれを10進法から16進法に変換した際に「3B」という文字列が含まれている場合にのみ、猫のトークンが生成されるというものです。この際の3Bをelementと呼びます。以下のフォーマットで規定されます。

<name>.<pattern>.<field>.element

現在835734個あるブロックのうち、8064個3Bというパターンが存在し、その数だけNatcatが供給されています。

このプロセスを確認していきましょう。

ブロック番号「43200」の猫ちゃんです

この43200番の猫ちゃんのブロックチェーン情報をblockchain.comでチェックします。

ブロックの情報です。色々あります。

上記のBitsは10進法で474199013ですね。これを16進法に変換してみます。

「Decimal to hexadecimal」で検索し適当なサイトでできます

文字列に3Bが含まれているのがわかりますね。

パーツなども規定されます。これはタバコのパターン。

そして、この文字列に含まれる英数字によってパーツなども規定されます。例えば、43200の猫はタバコ吸ってますが、これはHex numberに4が入っているからです。結構な確率で入っていますね。どんな猫。

今までのNFTコレクションだと、運営が供給量やパーツのレアリティなどを恣意的に決めて、運営が決めた日に売り出しを行っていましたね。
しかも画像も運営のサーバーにあるので、オンチェーンで規定されているデータはありません。

NATの場合、供給やデータがブロックの生成に合わせて規定されるのと、生成ロジックを含めたJavascriptコードがブロックにinscribeされているので、アートで言うと供給ロジックやパーツの規定、タイミングなどが全てブロックチェーン上の動きから非恣意的に定義されます。

現在NatcatのUNATは8064個ありますが、過去に遡って該当するelementが8064個あったということですが、新しく生成されたブロックのBitsに「3B」が含まれている限りにおいて未来においても猫が生成されていきます。

ちなみに参照するブロックデータはBits以外にもBlock HashやCapacityなど色々あるので、開発する際は参考にすると良さそうです。

Natcatのブロックが生成されたタイムライン

我々も2024年4月にNATコレクションを発表する予定なので、よろしければフォローお願いします!


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