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2022年、支えになってくれた作品とか

今年は「ものを買う」という体験からずいぶんと離れることになった一年でした。どちらかというと手放すことのほうが多かったし、お金を費やすものといえば経験とか鑑賞とか、そういったものだったように思います。

一年を振り返るにあたって、よく目にする「買ってよかったもの」みたいなnoteを書こうかなと考えたものの、今年は紹介するほどの数のものを購入していないかもしれない……ので、鑑賞した舞台作品や映像作品などを含めて「支えになってくれたもの」として、いろいろまとめてみることしました。

年の瀬に書く、相変わらずの駄文。よろしければお付き合いください(昨年末に書いたnoteはまさに購入品紹介だったのであわせてどうぞ)。


① 「中村屋 陽春特別公演2022」

大学生の頃から歌舞伎の公演を観にいくことが好きです。歴史のある一幕で生きていたであろう人の感情やできごとを追体験できる感覚も好きだし、作品としての美しさも好きで、頻繁に公演を訪れていました。

しばらくは流行り病の影響で舞台作品に足を運ぶことは少なくなってきていましたが、春先にふと「そろそろ歌舞伎観たいなあ」と思い探してみたら、翌日に陽春特別公演が控えていることを知り、駆け込みで当日券を購入。

いや〜〜〜〜〜〜本当に好きでした。あまりに上質なのでいつも圧倒されるばかりの数時間なんですが、久しぶりに生で観た歌舞伎はなんていうんだろう、鳥肌止まらないほど美しかったです。

次の春に控えている「春暁特別公演2023」にも足を運ぶ予定なので楽しみ。いつか歌舞伎が好きな話もnoteに書いてみたいな、わたしの語彙力で書けるだろうか……!涙


② ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023「〜Double Circle〜」

8歳の頃からなんだかんだ19年間お世話になっているORANGE RANGE。友人に「好きなんだよね」と話すと「まだ活動してるの!?」と決まって返されるのですが、むしろ一層格好いいお兄さんになっているので大好きです。

今年の9月から始まった全国ツアーでは、北海道・札幌、埼玉・越谷の公演に足を運んできました。発売したばかりのアルバム『Double Circle』を引っさげてのツアーですが、時折合間に懐かしの曲を入れてくれるのでまあまあ涙腺が崩壊します。

夏の定番ソングで人気の彼らですが、本領を発揮するのはバラード(だとわたしは思っている)。それを惜しみなく発揮してくれる音楽好きのお兄さんたち、正直たまらないです。


③ 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022」

ロッキンをはじめとする音楽フェスはもはや夏の風物詩。なんですが、今まで正直興味がありませんでした。トレンディな若者たちが集まっている空間だと思っていたので、トレンディじゃない自分が足を運んでよいだなんて考えたこともなくてですね。

それなのに、今年はなぜか興味が湧いて、誰を誘うでもなくだだっ広い会場のなかでビール片手にひとりロッキンを満喫してきちゃいました。そしたらなんと、楽しいことこのうえない……!震

J-POPには疎いほうなので知っているグループや曲はそうなかったですが、初めての曲との出会いも楽しめるものだったし、音楽を浴びながら一日を豊かに過ごす経験がこんなにも有意義だなんて……という気持ちでした。

来年以降もひっそりと遊びにいってみたいな〜と思ってます。せっかくなので友人とか誘ってみるのも楽しいんだろうな。THE 夏って感じで。


④ 桑田佳祐 LIVE TOUR 2022「お互い元気に頑張りましょう!!」

我が母、サザンオールスターズのファンを始めて37年目、桑田佳祐ソロにおいてはデビュー時(1987年)からのファンという愛強めのお人です。そんな母に誘われ、桑田佳祐のライブに行ってきました。

母の影響って面白いもので、わたし自身サザンの曲でも桑田佳祐の曲でも、曲名を知っていて口ずさめるものなんて数えるほどしかありません。そのはずなのに、いざライブに行ってみると、歌われる曲はすべて聞いたことがあるんですよね……。

幼い頃から車内のオーディオで彼の曲が流れていたので、曲名とか歌詞とかまったく覚えないままにすべて記憶に刻まれたようです。母ってすごい、偉大。となりで号泣する母を横目に、わたしはわたしで朗らかなライブ空間をたのしみ尽くしました。


⑤ 映画『燃えよ剣』

映画公開自体は昨年ですが、今年6月にAmazon Primeに登場して何度観たかなというほど大好きな作品です。初めて劇場で観た日から、作品としての壮大さや感情描写の繊細さに惚れ込んでしまって、バグったように観続けていました。

その後、原作であった司馬遼太郎先生の『燃えよ剣』を拝読して、題材であった新選組について、幕末についても少しずつ学んで。

すごくお恥ずかしい話なんですが、これまで歴史自体は好きでしたが、歴史上実在する人物の人間たらしめる要素(人柄や葛藤など)に目を向けたことがありませんでした。そういったことを考える機会として、本当に有意義に働いたのがこの作品だったのだと思います。


⑥ 「新選組展2022 ―史料から辿る足跡―」

『燃えよ剣』で強めの影響を受けたので、新選組のことをもっと知りたいと思い、福島県立博物館で開催されていた展覧会も訪れました。

昨年末から今年にかけて読んだ新選組にまつわる書籍は数知れず、そのなかでも資料をもとに知りたい情報が多く、少しでも彼らのことを理解できたらという思いで展示を観てきましたが……情報量がすさまじくて、久々に一つの展示に2時間半を費やしました。とても楽しかった。

子どもの頃から「知りたい」「気になる」と思ったものを掘り下げる力のある人間だったな〜と感じていましたが、大人になっても根本的な性格って変わらないものですね。情報が多く、徹底的に学べる今の時代、好きです。


⑦ 映画『明け方の若者たち』

原作を読んだときから「こんな生々しい日常を描けるのか……」と驚いた作品。映画化したと聞いて、どのように可視化するのだろうかと思いながら観たのですが、原作に忠実に、かつさらに焦れったく気だるく仕上がっていたのが印象的でした。

自分の日常には存在し得ない、けれど、どこかではたぶん当たり前に過ぎていく日々に目を向けているような懐かしさのある作品で、なぜか何度も何度も観直したくなる不思議な魅力があります。


⑧ 映画『ボヘミアン・ラプソディ』

公開もAmazon Primeへの登場も2021年以前ですが、今年最も観た作品の一つなのでご紹介します。でもね、この作品の良さって本当に語るのが難しいです。なにに惹かれておもしろいと思ったのか、10数回観てもなお言語化できないです。

QUEENというロックバンドの歩みに対してなのか、人間のアイデンティティに対してなのか、孤独と向き合うことについてなのか。観るたびに観点が変わるという意味では、そのときどきで自分に必要な要素を見出しているのかもしれません。

一つあえて好きなポイントをいうなら、作中で登場する「I decide who I am.(自分が何者かは自分が決める」という台詞が好きです。ふと自信がなくなりそうなとき、エネルギーをもらっています。だいすき。


【番外編】大興「和ろうそく」

今年一年間を「購入から離れた年」といいましたが、一つだけ。どうしても支えになったものを思い出したので番外編としてご紹介します。

昨年、和ろうそくを暮らしに取り入れたら夜時間が充実したというようなことを書きましたが、今年になって「充実」ではなく「必需品」になってしまいました。

というのも、どうやら感覚過敏のうちの一つ、視覚過敏という特性を抱いているらしいことを最近になって知りまして。夜に明るい光のある場所にいると、強い吐き気やめまいに襲われるので、やむを得ずろうそくだけで暮らすようになりました。

すると心も落ち着くし、体調もすこぶる良い。谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』のなかで明るさに言及したように、ちょっと日々は煌々としすぎなのかもしれない。

思えば、わたしが好んで訪れる喫茶店やカフェはどれも、豆電球やろうそくなどのぼんやりとした光のなかで営業する店ばかり。そういった暮らしを実は望んでいるのかもしれません。来年もお世話になります。


舞台作品、音楽作品、映像作品、書籍など、今年は本当に多くの作品に触れた一年間でした。ここで書いたのはほんの一部に過ぎませんが、少しでも誰かにとっての参考になったり、出会いのきっかけになればうれしいです。

2022年を振り返ると、正直苦しいできごとばかりが思い出されます。抗うことのできない悲しみも多く、受け入れることに時間がかかる別れなんかもありました。そういったとき、助けてくれたのは、周囲にいる友人や家族であり、ここで書いたような美しさをはらんだ作品だったり。

2023年がどういった一年間になるのかはまだわかりませんが、楽しさも悲しさも喜びも苦しみも真正面から受け止めて、ゆらぎながらも前向いて生きていきたいな〜と思ってます。がんばるぞ〜。

それでは、2023年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えくださいませ。

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