「効果的な利他主義宣言!」を読んで①

まだ読み途中なんですけど、すごい面白い本なので書評ちっくなことを備忘録を兼ねて書きます。

この本は、「効果的な利他主義」のススメといかに「効果的に利他主義」であるかというのについて徹底的に述べられている本です。

そもそも「効果的な利他主義」とは

効果的な利他主義とは、本文ではこう書かれている。

「良いことをする最善の方法を明らかにして、その行動を最優先することである。」

つまりはこういうことだ。
例えば、あなたが1ドルを寄付に使おうとする。その時に、その1ドルをどう使うのが一番効率よく「いいこと」をできるかということだ。例えば、どこの団体に寄付するのがいいのか、それとも寄付以外の何らかの形で1ドルを使うことがいいのかなどを検討した上で、一番いい場所に使うということだ。

慈善活動というのは概して感情的にいいと思うものをやることが美徳とされがちだが、その中でも効果的なものとそうでないものがある。その差は時に圧倒的で、同じお金をかけても何百倍も効果が違ってくるような取り組みさえある。

その中で、いかに「いいこと」を最大化するのかというのが本書の問いである。

その中でも、例えばいろいろな最大化のための考え方がある。

その一つに、「QALY」の考え方があるのでそれを引いてみる。

1QALYという単位がある。これは人の健康を、その人が健康な状態で暮らせる度合いと暮らせる人生の長さという二つの軸で考える。単に長生きするだけでも幸せではないし、健康な状態でも長く生きられないといけない。そうしたときに、一つに「健康な状態で生きられる1年間を1QALY」としてその人がどれだけ健康な状態で長生きをしたかを図る指標として導入されたものだ。

これを導入すると、病気同士、あるいは状況どうしでそれがどれだけ害悪なのかを比較することができるようになる。

例えば、健常者の寿命が5年短くなること(=5QALY分の損失)と健常者が10年間失明すること(失明はおおよそ健常者の50%の幸せと言われるので、これも10*0.5=5QALYの損失)は同じだけの損失だと判断される。

こうした指標を導入することによって、人がある利他行動を取った時にそれがどれだけの効果(何QALY分の効果)を生み出したかというのが測れるようになる。

つまり、ある寄付や慈善活動と、他の寄付や慈善活動が、どの程度の効果があって、どの程度「いいこと」に貢献しているのかを定量的に比べることができるのだ。

こうした考えに反発を持つ人もたくさんいるのではないかと思う。

「じゃあ、QALYが少なければそれは意味のない活動なのか。たとえ、それがある強い思いがあってやっている活動でもそれを否定するのか。」

こうした考えに対しても、この著者はこういうだろう。

「それは〇〇QALY分の効果がある活動であって、それ以上でもそれ以下でもないです。」

それは事実正しい。僕らはもっと慈善というところにも、もっと効果や効率性を求めていくことが必要だ。

いいことをしたい。そう思ってるのなら、自分がどれだけの「いいこと」ができるのか、その限界を追求するべきだ。

そういう人のために、どうすれば「できるだけいいこと」をすることができるのかということが、極めて丁寧に述べられている。
ぜひ読んでみてほしい。

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