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ブログ「KHAKI DAYS」から選んだエントリを載せています。加筆・修正あり。
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#note

映画「トニー滝谷」

映画「トニー滝谷(たきたに)」の監督は市川準だった。 市川準は「病院で死ぬということ」「トキワ荘の青春」などの、 非常に静謐な映画を撮る監督であり、 もともとはCMディレクターであった。 なるほど、各シーンへの入り方、研ぎすまされた映像、 この緊張感は確かにCM的かもしれない。 「トニー滝谷」の原作は村上春樹で、 音楽は坂本龍一で、 主演男優はイッセー尾形で、 主演女優は宮沢りえだ。 もう、これだけで一見の価値があるだろうという キャスト&スタッフである。 あと一般的に

人名の空港たち。

人の名前のついた空港ってたくさんありますね。みなさん、いくつ知ってますか? ジョン・F・ケネディ空港(USA・ニューヨーク)言わずと知れた第35代米国大統領。いわゆるJFK。そのルックスと戦略でテレビ・ディベートの時代をうまく立ち回った人。もちろん最後の暗殺シーンがあまりにも有名ですが、この人の一族はちょっとびっくりするくらい不運がつきまとってる。 シャルル・ド・ゴール空港(フランス・パリ)こちらはフランスの大統領。この人の名前のついたものは国内に多々あり、この国際空港の

ガンダムの脇腹と団地のおばちゃん。

「ガンダム者 ガンダムを創った男たち」という本があって、制作者たちのインタビューによる構成の本なのだが、面白かった。 ミノフスキー粒子を考案した脚本の松崎健一。見事なコロニーのセル画を下描きなしで5分で描いてしまう美術の中村光毅。僕も子供の頃から名前を知っていたメカ・デザインの大河原邦男、そして富野由悠季の強固なポリシーを感じるインタビューなど、ボリューム・内容ともに読み応えのある一冊である。 でも、なんだか一番印象に残っているのは、アニメーション・ディレクター安彦良

イケメン考。

【イケメン】日本語で美男子を指す俗語。広辞苑第6版では「いけ面」という表記もある。一般的に美形で、顔が格好いい男性のことである。Wikipedia「イケメン」の項より 我々が日常よく使っている流行り言葉の中に、「イケメン」がある。上記のリンクによればすでに広辞苑に登録されており、「イケメン」はもはや流行語にとどまらない普遍性を獲得した。たまゆらではない、立派な日本語としての認知を得たという事だ。 私がこの言葉を面白いと思うのは、「イケメン」という言葉自体の持つ響きの不

一番いいジブリ映画。

「ジブリの映画の中で何が一番ッスか?」 会社での他愛もない会話のひとコマ。 ジブリ映画ねえ。 「やっぱり『カリオストロの城』とかになるんじゃないの?」と僕。 「それは確かに宮崎駿だけど、ジブリじゃないッスよ」と同僚。 「なんかさ、駿で『カリオストロの城』がいいって言うのって、 スピルバーグ映画で『激突』がナンバーワンって言うのと似てんね」 「そうッスね」 「なんだろうね、『ナウシカ』とかになるのかな、一つっていうと」 「ジブンにとってはダントツでコレ、っていうのがあるン

29歳変動説。

いろんな方の話を聞くと、かなりの確率で…というかびっくりするような確率で、29歳で人生の転機を迎える人が多いのである。29歳には何かある、とつねづね思ってきた。そういえばブッダが出家したのだって29歳だった。この29歳の転機というのは、その人の天職というものと非常に深く関わっている。29歳で、自分の価値観や、携わっている行為に対して疑問を持ち、そして疑問を解決すべく行動した人はその後、32歳の時に別の転機と遭遇するのだ。で、この32歳の時の転機が、自分の天職を決めていく。その

完璧なもの。

完璧なものとはなんだろう。 例えば、ある晴れた早朝に息を切らせて学校へ走る、黒髪の女子中学生なら完璧だ。トーストなどくわえていなくてもいいし、「やべー遅刻遅刻」とか言わないでもいい。さらに転校生の男子と曲がり角でぶつかる必要はもちろんない。彼女はそれだけで十分完璧であると言えるからだ。 例えば、会社帰りに酔っぱらって帰宅したお父さんなら完璧だ。ただしそれにはネクタイがだらしなく曲がっている必要があるし、その手には小さい寿司折りを携えていなくてはならない。さらに帰ってひと言