見出し画像

【仕事術】多彩な一人称代名詞

英語の一人称代名詞は「 I (アイ)」だけですが、日本語の一人称代名詞は実に多彩です。
標準語、方言、古語、その他いろいろ含めると、これだけの種類があります。

私(わたし) 、自分 、僕(ぼく) 、俺 、俺様 、儂、私(わし) 、あたし 、あたくし 、あたい 、わて 、わい 、うち 、己等(おいら) 、俺ら(おら) 、おい、おいどん 、うら 、わ、わー 、ぼくちゃん、ぼくちん 、おれっち 、おりゃあ、ぼかぁ、わたしゃ、あたしゃ、わしゃあ、おらぁ 、ミー 、当方 、本官、小官 、本職、小職 、当職、弊職 、愚僧、拙僧、愚禿(ぐとく) 、当局 、こちら 、我輩、吾輩、我が輩、吾が輩 、某(それがし) 、何某(なにがし)、朕 、麻呂、麿(まろ) 、あ 、我(わ)、吾(わ) 、余、予 、小生、吾人(ごじん) 、愚生(ぐせい) 、非才、不才、不佞(ふねい) 、あっし 、あちき 、わっち 、妾(わらわ) 、拙者 、身ども(みども) 、僕(やつがれ)、手前(てまえ、てめえ) 、此方(こなた)、此方人等(こちとら) 、私め(わたしめ、わたくしめ) 

また、同じ言葉でも、漢字、ひらがな、カタカナの違いでもニュアンスが変わってきます。例えば...

・私、わたし、ワタシ
・俺、おれ、オレ
・僕、ぼく、ボク

「ワタシ」は外国人のたどたどしい語り口を連想しますし、「オレ」よりも「俺」の方が硬派な感じを受けます。また、「僕」より「ぼく」の方が物腰の柔らかさや年齢層の低さを感じます。

こうしたニュアンスの違いを、作家や脚本家は、物語に出てくる登場人物の人物像に合わせて使い分けています。
もし、今まで気にしたことがなかったら、注意深く観察してみて下さい。
一人称代名詞の使い分けは、キャラクター設定には欠かせない技術からです。

実際に、ゲーム開発では、登場人物が多い時、キャラクター別に自分と他の人物の呼び方を一覧表にします。
例えば、主人公は自分のことを何と呼び、父親を何と呼ぶか。一方、父親は自分のことを何と呼び、主人公のことを何と呼ぶか。といったものです。
これを相関関係のあるキャラクター分、全て用意します。
そして、開発当初はキャラクター設定資料の1つとして用い、開発終盤では、その一覧表を使って、言い間違えがないかチェックするのです。

ちなみに、このnoteを書いている東雲創作堂の店主は「ぼく」を使っています。
これは、子どもの頃に持っていた遊び心が沸き起こるよう意図的に使っています。
普段はあまり使いません。仕事では「私」を使いますし、気のおけない友人といるときは「俺」を使うことが多いです。

こうした使い分けは、ぼくに限ったことではありません。多くの日本人がTPOに応じて一人称代名詞を使い分けています。あなたもそうではありませんか?

一人称代名詞の使い分けは、日本の文化が育んだ、日本人ならではの特技ですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 気に入っていただけたら「スキ」やSNSでのシェアをお願いします。