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お酒を飲むと深海に沈む

昨日は10日ぶりのシフトでバイトに行った。仕事を忘れているかと心配したがそうでもなく、開店前に済ませておくべき雑事も欠かさずこなし、特にミスをすることもなく、帰りに水筒と傘を持って帰るのも、内履きを外履きに履き替えるのも忘れなかった。

今日はいい天気で、二回洗濯機を回した。おまけに、晴れたらやろうとずっと思っていた、靴に防水スプレーをかける作業もした。やり始めたら楽しくなって、新しい靴以外にも、スニーカーと革靴、そして夫の革靴とブーツまでベランダに持ってきてスプレーをかけた。楽しかった。
家じゅうに掃除機もかけた。

掃除のあと、煙草を一本吸った。煙草は去年の10月に吸い始め、一ヶ月くらいで飽きてなんとなくやめたが、不意にまた吸いたくなったのでここ数日吸っている。暖かくなってきたからかもしれない。真冬に煙草のためだけにベランダに出るほどの気力はなかった。

煙草は、吸い始めた去年の秋よりも、いまの方が美味しく感じる。初めて買った一箱がもうすぐなくなるので、なくなったら次を買うかもしれない。次は違う銘柄を試してみたい。みんなが吸っているメビウスも気になるし、通販で珍しいものを買うのもいいかなぁと思っている。

簡単な昼食の後、アマレットジンジャーを飲みながら江國香織の『東京タワー』を読んだ。私は毎年おそらく3~5回はこの小説を読んでいて、サイドテーブルに置かれた文庫本を見た夫が、「君の東京タワーの時期が来たか」と、野菜の旬か何かのようなコメントをした。

アマレットというアーモンドのお酒も、江國香織の真似で買ったものだ。
江國香織はバニラアイスにアマレットをかけて食べるのが大好きだそうだが、私はウィルキンソンのジンジャーエールで割るのが好きだ。辛口のジンジャーエールが、アマレットの甘い風味でまろやかに飲みやすくなるのがいい。アマレットソーダも試してみたが、ジンジャーの方が口に合った。

今朝は布団でうだうだしていたら、友達から「おはよう」とLINEがきて、電話がかかってきた。いつもは相手の仕事終わりの夕方から、私の夫が帰宅する夜まで電話する習慣だが、友達の仕事が不規則で、遅番の日は夜に電話ができないので、朝かかってくる。お互い寝ぼけながら歯をみがいたり朝ごはんを食べたりした。
朝の電話も楽しいけれど、つまり今日はもう電話ができないということだ。一人で過ごす憂鬱を日々彼に紛らわせてもらっている身としては、なかなか苦しいものである。

酒を飲むと陽気になれる人を、いいなぁと思う。私は飲もうが飲むまいが、人と一緒にいて楽しければ高揚する。一人で家で酒を飲むと、どちらかというと沈んでいく気がする。でもそれは、暗く重たくなる感じではなくて、研ぎ澄まされていく感じ。誰もいない深海にひとりで沈んでいって、周りはしんと静まり返って、自分の声がいつもよりよく聞こえるようになる。そんな感じ。

今日も美味しいお酒を一杯飲んだら、なんだか自分の声が内側から響いてくるような気がして、思いつくままに書いてみた。文字数制限のないTwitter、助かるなぁ。おわり。

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