見出し画像

#新型コロナウイルス下の緩和マネーで膨張した金融市場が縮み #企業の資金調達などに影を落とす #世界の株式時価総額21兆ドル消失債券は17兆ドル減 世界の株式や債券の価値が急速に減少している。

インフレを背景に米金融引き締めが加速し景気減速の懸念が強まるなか、世界の株式時価総額は100兆ドル(1京3000兆円)を割り、債券を合わせた価値は年初から38兆ドル減った。世界の国内総生産(GDP)の半分近い金額が消えた計算になる。 9日の米ダウ工業株30種平均は、ロシアのウクライナ侵攻後につけた年初来安値を約2カ月ぶりに更新した。10日は日経平均株価が2カ月ぶりに一時2万6000円を割り、株安が広がる。世界の株式時価総額は昨年末に120兆ドル程度あったが、9日までに約21兆ドル減り、約1年半ぶりに100兆ドルを割った。 株安の起点は米国金利の上昇だ。米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の縮小を急ぎ、米長期金利は9日に一時3.2%台と2018年11月以来の高水準をつけた。0.5%程度だった20年夏ごろから一本調子で上昇し、株式の売りを呼ぶ。 金利上昇は世界的な潮流で、債券価格は下がり利回りは上昇している。国際決済銀行(BIS)によると世界の債券残高は21年9月時点で141.4兆ドル。米ブルームバーグ世界債券総合指数の動きから推計すると、21年末で140兆ドル程度だった債券価値は、5月9日時点で17兆ドル減り、123兆ドル程度まで落ち込んだとみられる。 一段の金融引き締めで金利が上がれば、保有する債券の相対的な価値が目減りするため、投資家はますます債券を買いにくくなる。 今年の株安・債券安のペースは過去と比べても際立つ。株式時価総額の1~4月の減少額は15.6兆ドルで、リーマン・ショック前後の08年8月~11月(18.3兆ドル)以来の大きさだ。債券の減少額も過去最大となった。 FRBが引き締めの手綱を緩める気配はない。米運用会社グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード最高投資責任者は「FRBが最適な金利水準を見つけられるか疑問だ」と述べ、利上げ加速を警戒する。 債券がマネーの受け皿になりにくいなか、投資家は現金化を急ぐ。9日は原油の先物価格が大きく下げ、米シェブロンなどエネルギー株も急落した。昨年末に7万ドルに迫った暗号資産(仮想通貨)のビットコインは足元で半値以下になった。 金融市場の混乱は企業の資金調達などにも影響を及ぼす。金融情報会社リフィニティブによると、世界の新規株式公開(IPO)の調達額は1~3月に前年同期比6割減った。社債の発行額も4月として17年以来の低水準だ。株高の資産効果もはげ落ち、個人消費を冷やす懸念も強まる。


#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?