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いままでにない「新しい」を!キャリアとビジネスに感動と可能性を広げていきたい。株式会社ICB代表 瀧井智美さん

個人の成長、組織発展のためにはワーク・ライフ・バランスが必要であると注目し、ワーク・ライフ・バランスコンサルタントやダイバーシティ・ファシリテーターとして、働き方改革プロジェクト、組織風土改革プロジェクト、キャリア開発プロジェクトなどを数多く担当されている、瀧井智美さんにお話をお伺いしました。

瀧井智美さんのプロフィール
出身地:滋賀県
活動地域:関西を中心に全国
経歴:営業事務、パソコンインストラクター、キャリアカウンセラーを経て、キャリア開発・組織活性化支援の【株式会社ICB】を設立。
自分の設立した会社以外にも、合同会社WLBC 関西(ワーク・ライフ・バランスを推進する専門家チーム)の代表、NPO法人アーチキャリア(社外メンターによる新しい女性のキャリア支援)理事、株式会社ワーク・ライフ・バランス認定上級コンサルタントなど、様々な組織で活動中。
また、大学でのキャリア教育にも力を入れており、四天王寺大学非常勤講師として国際キャリアマネジメント科目、大阪経済法科大学にて女性キャリアプログラム(ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ等)も担当。
近年はダイバーシティファシリテーター、イノベーションファシリテーターとして、アンコンシャスバイアストレーニングやビジネスエニアグラムにも力を入れており、多様な人々の力を組織力に繋げる支援、イノベーションの支援も行っている。
座右の銘
「できない」ではなく「どうしたらできるか」~方法は色々ある!~

新しいキャリアとビジネスに感動と可能性を広げる

Q1.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

瀧井さん(以下瀧井、敬称略):個人や組織の可能性を広げたいと思っています。一つの場所、一つの役割、一つの考え方に縛られないで、自由に活躍する人が増えること。そんな自分らしい働き方で活躍する人があふれる職場づくりに力を注いでいます。

 多様な力が活かされる社会につながることをしたり、未来を幸せに変えるビジネスモデルをみんなでつくっていきたいです。
後は、大学のキャリア教育を、もっと学生が主人公でやっていくものにしたいと思っています。

記者:そうですね、具体的には何をしていらっしゃいますか。

 今やっていることの主軸になるのが2つあって、1つは自分の会社、株式会社ICBです。ICBは、ダイバーシティ&インクルージョンを専門に取り組んでいて、多様な力を組織の力や新しいプロダクトイノベーションに繋げていく支援をさせていただいています。他にも、より実践型のキャリア教育(PBL、BLP)とかテクノロジーの可能性を取り入れた研修(リアルとオンラインのハイブリッド型ワークショップ)や様々なプロジェクトを担当させていただいています。例えば、最近はオンラインでの会議も増えてきました。対面の良さもありますけど、オンラインでは海外の方でも非常につながりやすくなって、色々なコミュニケーションがとれるようになっているので、多様な出会いや多様な視点での意見交換が活発でもっと活用していきたいなって思っています。
 ティール組織が出てから組織のモデルについてよく話されていますが、新しい組織の実践を自分達もするし、支援するようなこともやっています。

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 もう1つは、合同会社WLBC関西という団体でやっている活動です。
こちらは、独立系コンサルタントや社内コンサルタントが集まるワーク・ライフ・バランス推進の専門家チームです。案件ごとにプロジェクトを組んで、それぞれの専門性を活かしながらワーク・ライフ・バランスや働き方改革のコンサルティングを手掛けています。2010年から活動しており、今年で10年目になりますが、様々な方がメンバーにいて、関わり方もそれぞれで、まさに多様な働き方、新しい働き方を私たち自身が実践しています。一人ではできないことも、仲間がいるからできる、その仲間が多様であるからこそ、様々なニーズにお応えできたり、すごいスピードで新しいご提案やコンテンツができるので、チームの良さを日々実感しています。

記者:まさにチームプレーのモデルですね。

自分にきた偶然を前向きに捉えて、今ここにいる

Q2.ビジョンを実現するためにどんな目標計画を立てられていますか?

瀧井:自分が大事だと思っていること、願っていること、取り組みたいと思っていることを発信したり、どうすればそれが実現するか、加速するか、色んな方々に協力・応援いただけるか、などはしっかり考えます。
 
  例えば、WLBC関西には色々なプロジェクトがありますけど、自治体プロジェクトだったら、自治体の様々な支援がすごく増えてきています。でも、去年それをやったから今年も同じように同じことをやることが良いとは限りません。自治体をもっとネットワーク形成し、面にして加速化することを今年やろうとしています。
いま自分たちが取り組んでいることが、より広がるように、よりみんなが幸せになるためには、どうすればさらに広がるか、進んでいくかはよく考えています。
 
 ICB の方も今までにない新しいことを生み出そうと思うと、関わる私たちの方が、新しいチャレンジをしないと自分たちの思考の枠も広がらないので、今年みんなで社会実験しようって言って、メンバー全員が海外で今までにない新しいを体験してくることをします。私たち自身が自分の枠を超えて、新しいことに挑戦しながら、自分の目で、足で、頭で、心で感じること・考えることで、次が見えてきます。中長期のビジョンを立てるというより、ワクワクすることを考えたり、目指したい世界を考えながら、やりながら進んでいる感じです。

ICBメンバー

記者:目の前のことを大切にされているのですね。

仕事相手や仲間に対しても、どんなことに困っていて、何を願っているのかを聴くことを大切にしています

Q3.その計画を行う上で、活動指針はありますか?

瀧井:座右の銘にもある「できない ではなく、どうしたらできるか」を考えることです。
後は、どうすれば本当に社会の変化が見られるか、企業さんに良い変化が生み出せるのか、ということをすごく考えます。
しかしそれは、私だけが考えても私に材料がない場合もすごく多いし、例えばコンサルティングに入る時は、現場の方に現場調査のためヒアリングし、皆さんが本当に困っている事を聞くことにものすごく意識をしてます。
仲間に対してもそうです。メンバーで話す時間をすごく大事にしていますね。仲間が何を願ってるか、今困ってることは何かとか。そういうことはちゃんと聞いて一緒に進めていくことを大事にしています。

記者:常に現場との交流が大事ということですね。

組織の中に制度があっても、使いにくい制度が多いから、組織側をもっと変えていく必要がある

Q4.そのビジョンを持たれたきっかけは何ですか?

瀧井:自分自身が生きづらい経験があったからだと思います。
もともと学生の時から働く方が楽しいと思っていて、仕事は大変なこともいっぱいあるけど、得られるものもすごく多いと思っていました。
結婚後も仕事は続けていたんですけど、出産のタイミングで続けるかすごく悩み、結果1回辞めました。
会社は再雇用制度があったので、5年以内だったら正社員でもパートでも戻ろうと思ったら戻れた状態でしたが、私が辞めた後人員削減が進んでいたりして戻りづらくて。また、一度会社を離れると、様々な働き方があることも知り、子育てや自分の学びの時間も大切にしながらどう風に働こうか、、、働き方に悩んでいました。
 結局はパソコンインストラクターとして再就職しました。
毎日9時~16時半まで講義を担当するので、勉強することも多く、必死でしたが、とても充実していました。でも同時に、このころからキャリア支援に関することも勉強を始め、平日はパソコンインストラクター、週末は子連れでキャリアカウンセラーの勉強をし、第2子出産後からキャリアカウンセラーとして働き始めました。


自分が専業主婦から再就職するとき、今みたいにマザーズハローワークがあったり、女性活躍推進をやっている時代ではないので、ハローワークに行くと「子どもさんは?」って言われるし、待機児童が今よりもっとすごく大変だったので、ハローワークに行く時はみてもらいましたが、「そこまでして仕事しないとだめなの?」「そこまで無理して働かなくてもいいでしょう」とか周りに言われて、働く事はそんなに悪いことなのかって思ったり、誰も味方してくれないと思ったりして、一回辞めた人が復帰するのは難しいんだと痛感しました。その中でも再就職はしたけど、女性のキャリア支援をどこかでやりたい、私みたいな人がいた時に絶対応援してあげたいっていう気持ちを持つようになりました。

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 二人目が産まれて2ヶ月後ぐらいに私のキャリアの時の先生が「瀧井さんずっと女性のキャリアの仕事したいって言ってたよね?」って声をかけてくれました。男女共同参画センターで、女性の就業支援をやりたいと仰っているセンター長をご紹介いただく流れになり、その翌年からそのセンターで女性のためのキャリアカウンセリングの立ち上げや様々なキャリアセミナーを担当することになりました。
そこから5年ほど、女性のキャリアカウンセラーとして活動を始めて、色々な取り組みをやるんですけど、女性の支援ばっかりしていても中々変わらないというのが最終的な結論でした。
 
 組織の中に制度があっても、その制度を使うには遠慮があったり、使いづらい雰囲気があったり。制度だけでなく風土を変えていくこともとても大事です。
本当に一人ひとりの望むキャリア形成を支援するなら、女性にだけ支援するだけでなく、企業に入って企業の中で本当に必要な制度を作ったり、せっかく作った制度を当たり前に使えるように風土を変えていくとか、多様な働き方の選択肢を増やす、お互いを認めあうなど、組織側の支援もしていかないと、ワークライフバランス社会は実現したいと考え、ワーク・ライフ・バランスコンサルタントの方にシフトしていきました。

記者:確かに使いづらい制度ってありますよね。

アンコンシャスバイアスによって活躍できる場が失われていることを改善していきたい

Q5.そう思われる背景には何があったのですか?

瀧井:良かれと思ってやってることが、実は全く逆効果ということがあります。
 例えば、育児休暇の日を伸ばすとか、色々ありますが。でも女性に聞くと長く休むとより戻るハードルが高くなる。長く休むより、なるべく早く戻りたい。戻りたいけど、今いる人と同じような働き方では難しい。もっと働く時間や場所がフレキシブルだったら戻りたいと言う人はすごく多いです。また、せっかく復帰しても「子育ては大変だからそこまで無理しなくていいよ」と言われ、チャレンジの機会を奪われているケースもあるので、せっかく戻っても自分の仕事がないみたいな相談もすごく多いです。だから「結局自分は求められていないのかな」と、また悩んでしまう。実は女性がこんなことで悩んでいることを伝えると、「そうなの!?」ってよく驚かれます。これがアンコンシャスバイアス(=無意識の偏見)です。
 上司から観ると、子育てをしている人は大変だろうから無理させない方がいいだろうと優しさで対応していたけれど、実は、相手のやりがいや活躍の機会を奪っていることがあります。
聞かないと本当の意味でわからないこともあります。勝手に自分の考えで判断してしまうのではなく、相手にどう思うかを聞いてみる。
個人も組織も、もっと内側に向けて自分と対話したり、仲間と対話したり、自己理解や相互理解ができるといいですね。

残業削減=働き方改革じゃないので、何を成果目標にしたらいいですか?ということに答えを言うのではなく、何を成果目標にするのがいいかも一緒に考えていきたいです。

記者:確かに現場の声を直接聞かないと本当の声は分からないですね。大事な事だと思います。

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自分に問いかけることを大切にして欲しい

Q6.読者に向けて一言お願いします!

瀧井:自分に問いかけることを大切にして欲しいです。
自分にとって、今、大切にしたいことは何かな?と。
普段、仕事や生活に追われ、中々そういったことを考える機会がないかもしれませんが、こういったことを考えることは、自分の人生の納得度、満足度を上げ、自分の幸せに繋がると思っています。

私の中のワーク・ライフ・バランスの定義は、「自分にとって大切なことに時間とエネルギーをかけられている状態がワークライフバランスが叶ってる状態」だと思うんです。

ぜひ、皆さんにとって、大切なことに時間とエネルギーをかけ、幸せを感じていただきたいなと思っています。

記者:自分に問いかけることはなかなか難しいですが、大事なことだと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!

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瀧井智美さんに関する情報はこちら↓↓↓

・株式会社ICB

・WLBC関西(Work Life Balance Consultant 関西)

【編集後記】
今回、記者を担当した小畑、所、長尾です。
瀧井さんのお話を伺い、個人が活躍できる社会づくりのためにも、企業や組織の中の無意識にあるアンコンシャスバイアスに気づき、改善していくことで、個人も組織も生きやすくなる社会を実現出来るようになることが希望だと感じました。今後も、ますますのご活躍を応援しています。
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。



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