見出し画像

2020年7月飛騨山脈の群発地震について

2020/07/20に作成された記事です。

信州大学名誉教授の角野先生から,長野県・岐阜県で頻発する地震について教えていただきました.

なるほど,勉強になりますね.

ーーーーーーーーーーー

飛騨山脈の群発地震が始まってから、2ヶ月半経過しました。

前回の活動(1998年8月初旬~10月末)を参考にすると、あと1ヶ月は続くと思います。ところで、今月発生した以下の2つの地震の震度分布を以下に貼付します。

画像1

① 岐阜県飛騨地方の地震(7月5日(日)15時09分ごろ M4.6 深さ約10キロ)(気象庁HPより)

画像2

② 茨城県南部の地震(7月9日(木)6時05分ごろ M4.7 深さ約50キロ)(気象庁HPより)


上の2つの地震は、地震の規模(マグニチュード)はほぼ同じですが、震度分布が大きく異なることに気がつくと思います。地震の規模(マグニチュード)は、茨城県南部の方が 0.1 大きいので、地震のエネルギーは、正確に言うと茨城県南部の方が1.4倍大きいです。 

一方、地震の発生した深さは、圧倒的に茨城県南部の方が深いですので、地表に到達したときの地震波の減衰は茨城県南部の方が大きいはずです。

今回の飛騨の地震と茨城の地震の震度分布の違いは、震度計の配置と、地面の下の地下構造によります。すなわち、飛騨山脈の直下は、約10kmまでが、地震が発生する冷たい岩盤で、それより深いところでは岩盤の温度が高くて岩盤が軟らかくなり地震が起こりません。 

一方、茨城県を含む関東平野の下は厚い堆積層で覆われており、浅い所では地震は起こりませんが、軟弱地盤のため地表の揺れは大きくなります。

話を元に戻しますが、飛騨山脈の地震は、震源の直上ではすごく大きな揺れになりますのでご理解ください。すなわち、震度計の設置していない場所で大きく揺れているということです。

信州大学名誉教授 角野由夫

Ka

2020/07/20

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?