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あなたはどっち?就労移行支援と就労継続支援

本日、就労移行支援体験3日目が終わりました。2月に入ったら、面談日の決定相談、面談日、役所への申請等工程を挟みつつ、引き続き体験として利用する予定。某大手の民間就労移行支援サービスですが、今のところ気持ちよく利用できていますし、これからも続けていけそうという手ごたえを感じています。

さて、一般就労が難しい人の為に作られた障害者向けのこのサービス。“就労移行支援”と“就労継続支援”の2種類のタイプがあるのですが、今日は、どっちがどうなの?て話をします。ネットで検索できるやろ、と思わず、まあ聞きなはれ。

私が今受けている“就労移行支援”。こちらは「一般の再就職を目指す人」に向けたサービスで、施設側で用意したプログラムを受講するスタイル。受講が目的なので賃金は発生せず。今通っているところは約10か月を目安に、再就職の準備から再就職までをサポートし、それぞれの利用者に各担当者が付きます。賃金が発生しない為、今すぐお金が欲しい人には向いてないです。
「失業保険金給付期間の間に受けるサービス」として捉えて良いでしょう。
そしてメリットとデメリットですが

【メリット】
●一般就労に向けたサービスなので、ビジネスマナーや履歴書の書き方、施設内での電話対応やお茶出しの実践、ハローワークでの求人募集サポートが受けられる

●会社に勤めるうえで必要なコミュニケーションの取り方、また自分の障害に合わせた職選びのコツや、自己分析、自己理解で自分を知るプログラムなどが受講できる

●最初は週2から、慣れたら増やせる、自分のペースで受講できる。1か月の利用日数に規定はなく、最高で23日利用することが可能だが、それ以下でも大丈夫。体調がすぐれない時は欠勤の電話を入れて休むことができる

●一般的なマナーを守れる人が多いので、施設の雰囲気は比較的安定している

【デメリット】
●賃金が発生しないので、今すぐお金が欲しい人には向いていない

●一般就労に向けて受けるサービスなので、受講中は常に丁寧な言葉遣い、
丁寧な振る舞いを身に着けるよう気を付けないといけない(休憩時間は別だが、最低限のマナーは必要とされる)。障害を理由に乱暴な言葉遣いや振る舞いを行うのはNG

●一般就労向けなので、受講内容がガチ。私語は厳禁。障害の度合いによっては理解がついていけない、習得が難しい可能性もあり得る

●基本、障害者は無料で受けられるが、場合によっては利用料金が発生する

●「一般就労への再就職」を目指す場であるため、利用期間は最高で2年。何年も続けられるサービスではない

といった感じですかね。利用者の皆さんが「一般の再就職を目指している」為、大人としての最低限のマナーを要求されます。施設管理者、担当者、他社員への対応はもちろん、利用者同士とのコミュニケーションも“丁寧さ”を求められます。
その代わり、一般就労へのマナーや知識、またどのような職種が自分に合っているかじっくり探すことができる為、知識が身に付き自信が持て、一般就労という目標を可視化できます。


そして私が約7年通っていた“就労継続支援サービス”。私が通っていたのは個人経営の施設ですが、一般就労が難しい人の為のサービスという点では同じ、雇用契約を結んで利用するので仕事(作業)をすることで賃金が発生します。A型とB型があり、まずはA型で勤務、障害によってA型がついていけない場合はB型に移行することもできます。一般就労を目標にする人もいれば、A型(B型)で自分のペースで一定の収入を得るという目的で利用を継続することも可能。必ずしも「一般就労に行くように」要求されるわけではありません。

【メリット】
●賃金が発生するので、今すぐお金が欲しい人向け。軽作業等を行うことで賃金が発生する。勤務時間は施設によって4~8時間ほど。1か月23日を目安に働くことができる。

●障害に合わせてゴールラインが選べる。一般就労を目指すも良し、A型を継続して働くも良し。半年ごとに契約を結び、継続か、移行等かを相談して決めることができる。働くってどういう事だろう、というのを知るところから始めることも可能

●一般就労に向けたマナーを身に着けるのが難しい人でも利用可能。管理者がそれぞれの障害や個性に合わせて「自分が出来ることの可能性」を広げることができる

●人としての最低限のマナーは要求されるが、そこが難しい人にも理解を示し、自分のペースに合わせた働き方が容認される。また、コミュケーションが苦手、周りの音が苦手といった相談も受けることができ、指導員と一緒に働きやすい環境を作っていくこともできる

●就労支援移行サービスに比べると、言葉遣いやマナーは緩い。勤務中は基本私語は駄目だが、ある程度は許される。無理して社交性を身に着ける必要もなく、自分のペースで働ける

●退職した際、ハローワークで申請すれば失業保険を貰うことが出来る

【デメリット】
●障害手帳の有無はないが、障害福祉サービス受給者証が必要。役所にて申請して作り、毎年更新の度に施設への提出が必要になる

●「利用者」としての雇用であり、障害者手帳が無い場合、条件によっては利用料が発生する

●「賃金が発生する雇用サービス」の為、1か月の勤務日数(22~23日)は守らないといけない。基本は無欠勤、無遅刻。(通院による遅刻・早退はOK)休みが続くと「サービス継続が難しい」と注意を受ける。

●様々な障害者がいる為、施設の雰囲気の良し悪しが出てくる。常時真面目に仕事をする人もいれば、日によって感情の起伏や体調の変化で仕事がままならない人もいる。指導員や利用者との口論が多い人がいたり、ずっとお喋りな人、コミュニケーションが取れない人、モラルが足りてない人がいたりと様々。雰囲気が合わず辞める人も多い。また利用者の移り変わりで雰囲気がごろっと変わるから、油断が出来ない。
静かな環境が苦痛という人から、静かな環境で働きたいという人までいるので雰囲気の安定が難しい。

●仕事量は個人差。なのに時給は同じ。基本は指導員が補助するが、それでも手が回らない場合は仕事ができる人に回って来るので、不公平を感じるケースもある

●昨今の最低賃金値上がりで、求められる仕事量が増えてきてる。仕事量があまりにこなせていない、モラルの欠如が著しい、欠勤が多いなど、管理者が継続が難しいと判断したら、退職やB型の移行を勧められる。
雇用契約を結ばないB型はA型より障害に合わせた、自分のペースで無理のない働き方が出来るが、賃金ではなく工賃として扱われるため、1が月の収入が少ない。A型の1か月の給料は平均で8万前後(都道府県の最低賃金による)、B型の1か月の工賃は令和3年度平均で16,507円。時給が最低賃金より下回る

●世の中には悪徳な就労継続支援施設が存在する。行政の取り締まり強化により減ってはいるが、補助金目当ての「障害者を利用したビジネス」として施設を運営してるケースもある。このような施設で働いた場合、一般就労への道はまず不可能と思っていい。経営者がお金稼ぎたいだけだから。通勤したはいいが仕事が無い、障害への配慮が足りない、一般就労に向けてのアドバイスが全くない、管理者や指導員が信頼できないなど不審に感じたらすぐに辞めることをお勧めする


これはあくまで私が経験した施設の体験談(特にA型)とネットでの情報によるので、施設ごとにサービスや賃金、工賃の差はあります。面接や見学、体験を受けることで自分に向いてるかどうかを判断し、選ぶ必要があります。実家で暮らしているか、一人暮らしかで、1か月に必要な金額が変わるので、生活保護を受けながらサービスを受けることもできます(収入を受けた場合申請が必要、1ヶ月の収入が15,200円未満の場合、全額が基礎控除となって控除されるため、減額されることはありません。)

まさに一長一短。どちらにもメリット・デメリットは存在します。

所詮世の中はお金な、世知辛い現実。働くことがかなり難しい重度障害者の場合、その分障害年金が高いので
(条件として国民年金加入、納税が必要。20歳以下で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、生まれつきの障害や幼少、学生時に障害者になった場合は、納付要件は不要。詳しくはこちら 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
それである程度賄うことも可能ですが(1級の人で毎月81,020円)、私の様な精神障害者3級の場合、障害年金は貰えません。貰えるのは2級から。精神障害者はなかなか難しいです。ちなみに発達障害は精神障害者としてみなされます。

障害で生きづらい、一般就労は難しい、障害年金は貰えない、でもお金は欲しい人は、このような形での福祉サービスを受け、すぐにお金を稼ぐ、一般就労への知識などを身に着けてから就職するなど、何らかの形で働くことが可能です。

今でこそ、このようなサービスで障害者も働ける時代ですが、サービスが確立されて無かった頃が、有無も言わせず一般就労で働かされ、かなり苦労されたのでは、と思います。

あくまで私自身が経験した、身近で聞いた話であり、障害者の皆さんの為に情報を提供しましょう!といった意気込みはなく、自身の経験談を綴っただけに過ぎませんが、経験者の話の1つとして捉えて貰えればと。綺麗事だけを語らない、よりリアルな話として読んで頂けたらと思います。

人生で切っても切り離せないのがお金の問題。少しでも参考になったのなら幸いです。

※「障害者」という表現をあえて使っています。私の時代は「障害者」という表記の時代だったので。「障碍者」「障がい者」という表記にしてくれ、という方には申し訳ないのですが、私個人の考えとしては
「表記を変えたところで現状は一緒やろ」
です。障害者の気持ちは、実際になってみないと分からないし、なったとしても、個人の性格や障害の種類によって分からないことの方が多いです。

ただただ、真剣に働きたいと願う障害者の人が、より働きやすい環境が出来ることを願うばかりです。


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