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広島お好み焼き屋【皐月】の看板娘のリムは実は竜の姫巫女様でした! 第13話 病室です! (1)

#創作大賞2023
#お仕事小説部門

 第13話 病室です! (1)

「どうぞ、レビィア姫様、リム姫様。お入りください」と。

 リムと姉上に爺やが、優しく声をかけてくれながら。

 お父さまが入院をされた病室の扉を開けてくれた。

「セバス、すいませんね」

「爺やありがとう」

 だから姉上とリムは爺やへと微笑みながらお礼を告げ。

 そのまま病室へと入ると。

 リムの碧眼の瞳に、病室のベッドで横たわりながら点滴を腕に受けるお父さまの姿が目に映る。

 だからリムは自身の脳裏で。

(お父さまは点滴を受けながら寝ているようだけれど。大丈夫なのかな?)と。

 一応は爺やから説明を聞いていたリムだけれど。

 お父さまがベッドで身動きもしないで横たわる姿を。

 リム自身もいざ見てみると。

 やはりお父さまは本当に大丈夫なのだろうか? と。

 リムは不安に思えばね。

 自身の目尻が熱くなり。

 胸の方もジーン! と熱くなるから。

 リムの瞳が自然と濡れてくる。

「あら? レビィアちゃんとリムちゃん、来てくれたのね」

 そんな様子……。

「うぅ、ううう」と、大変に悲しくなってきているリムの耳に。

 とても温かい声音が。

 そう、リムのパパのお母さまの声……。

 リムの義母に当たる女性の温かい声が、耳へと聞こえてきた。

 だからリムはお母さまへと視線を変えると。

「お母様~」と。

 リムは声を漏らしつつ。

 お母さまの許へと慌てて駆けよる。

「お母上様、本当に大変でしたね。お母様は大丈夫ですか?」

 自身の瞳を濡らしながらお母さまの許へと駆け寄るリムの耳に。

 姉上の大変に心配した声音での、お母さまへの労りの台詞が聞こえてきた。

「うん、私は大丈夫よ。レビィアちゃん。私の身体まで心配をしてくれてありがとう」

 姉上の言葉を聞いたお母さまは頷き。

 姉上へとお礼を告げると。

 自分の身体は大丈夫だからと告げる。

「いいえ、いいえ。お母様。お気になさらないでください。お母様のお身体を気にするのは嫁として当然ですから気にしないでください」と。

 姉上はお母さまの言葉を聞き、微笑みながら言葉を返すと。

 それと同じぐらいにリムはお母さまの許へと到着──。

 そのままお母さまへと抱きつき。

「うわぁあん。お母上さま~。お父上さまがぁ~」と。

(カクヨム)
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