コスプレをする生活。②

※注:ここでいう「コスプレ」はアニメキャラを筆頭としたキャラクターになりきるものではありません。ちなみに筆者はその定義のコスプレをしたことはありません。

こんばんは、焼却炉です。これを書き始めている今現在が夜なのでこんばんはです。朝書いてたらおはようございますに変わります。

前回の話をぽちぽち打ってたら、自分もしやメンタルやばめ??と思ったんですが、メンタルが本当にやばい時は言葉も何も出なくなるし、自分の毒を共有してやろうなんて思いついてSNSで毒を発信するなんぞしないので多分健康です。ソースは昔の自分。

話を本題に戻します。

どういう生き方してきたんだっけ自分。


恋愛経験は後述の理由により全くないが、多分恋愛感情を持ったのかもしれないという、確証のもてない感情の矢印の向きは過去を振り返っても異性だったし、性別欄に女と記入するのにも抵抗はない。確かに来世では美少年になってアイドルになるが、今性別を変えられたら、と思ったこともない。ただ、可愛いブラウスを着て、レース生地のスカートを履いて、一向に減らない化粧道具たちで顔面を作り、最近買ったパンプスを履いて、そんな自分に違和感を感じてしまった事が、ちょっと悲しかった。

思い返せば幼少期、私はどこかちぐはぐな生活を送っていた。幼稚園までは、通っていたところが制服というのもあって、見た目は女の子だったと思う。でも観ていたのはスーパーヒーローだったし、仮面ライダーだった。魔法少女も、戦う女の子も、私は好きだったけれど、子供のゴールデンタイムの最後の30分枠は何故かよく別のチャンネルに切り替えられていた。家族は多分無意識だったんだとは思う。たまたま別番組がその時間のあたりからやっていた、それだけのことだったんだと。

家族の機嫌が良い時、決まって私は「(本名)くん」と呼ばれていた。このスーパーヒーローが好き、この仮面ライダーが好き、あの車のブランドは○○、そんな話をすると喜ばれた。そんな自分の一人称が「私」なのが違和感があって、一時期の一人称は「」だった。それはなぜだか怒られた。周りの人が聞いたらおかしいと思われるから、らしい。

小学校に入ってからはますますちぐはぐだった。着ている服は2個上の近所に住むいとこのおさがりだった。そのいとこは男だ。流石に家族も上下の服装が男の子用のデザインというのは気が引けたんだと思う。トップスは女の子用のデザインだった。今考えてみれば死ぬほどダサい。おしゃれな子も多かったから、心の中ではうらやましかった。でも自分には似合わないし、動きやすいからいいんだと、自分をやりこめていた。

それでも可愛いものを持ちたいという願望はあったのだと思う。ピンク色の傘、ハンカチ、服。ピンク色は私の中で女の子の色で、可愛いの象徴だった。だから、買ってもらう小物はだいたいピンク色のものだった。でも子供だからすぐボロボロになるし、失くしてしまう。今なら「ピンクの小物で固めてたんだから、失くすものは大体ピンクになるわな。」と思えるけれど、幼少期の私はそう思えなかった。家族にピンクがあまり似合わないと言われたから。

ピンクの似合わない私が、ピンクの物を持ったから、似合わないからどこかにいっちゃったんだ。

それからというものの、私はずっと青色のものばかりを選ぶようになった。家族はどこか安心したような顔をしていたと思う。

中学生になって、再び制服の生活になった。でも諸々の事情で小学校3年生から超絶暗黒時代に突入していた私は、率直に言って肥満体型だった。食べる事だけがストレス発散方法だったし、外に出るのも運動するのも嫌いだった。そのくせ人目は気にしているから、制服のスカート丈はめいいっぱい長くしてどうにかこうにか自分の体が見えないようにしていた。私服ではスカートを一切履かなかった。

高校生でも変わらなかった。変わったことはスカート丈くらいだろうか。制服の注文の時に短さに驚き、長くならないのかと聞いたら、女の子は皆これくらいの丈で着るのが可愛いのよ、と返された。死にたくなった。まぁでも慣れてしまえばどうってことはないというか、お見苦しいものを見せてしまって…という気持ちではあったけれど、一応頑張って履いてはいた。体重は右肩上がりに増加していたし、相変わらず私服ではスカートを一切履かなかった。

何というか、威厳のある肥満(友人からの意見を総括した結果)だった故に、クラスメイトからは親しみをもってもらっていたと思う。同級生からは姉さんとかママ呼びがテンプレだった。男子とも多分よく話してた方だとは思う。男子女子という区別ではなく、マスコット的な扱いだったんだろうな。女子からは「(本名)が男の子だったら絶対良い彼氏になるのに!」「(本名)が男の子なら付き合ってた!」と言われた。ありがたいと思う気持ちもあったが、その反面「多分私がこのままのスタイルで男になったとしても君らは声かけるどころか見向きもしないと思うぞ」と思った、だって私だったら声掛けないし。

大学生になって制服が無くなった。でも大学生活でも一度もスカートを履かなかった。幸いなことに友達もできたし、その友達は皆おしゃれだったが、びっくりするくらい何の影響も受けなかった。ただ可愛い服を着て、おしゃれなカフェに行って、充実した休みを過ごす友人の話をおとぎ話のような感覚で聞いていたことだけは私の心にこびりついている。

転機があったのは大学卒業後、あることでメンタルが崩壊してその年の就職を諦めた時。知らない人から言われた一言がきっかけで、ダイエットした。家族から痩せろと言われてもやらなかったのに、見知らぬ人の一言であっさりと。今も続けているけれど、大学卒業時のMAX体重から考えると43kg痩せた。コロナ禍ということもあって、家族や近所に住む友人以外とは会わなかったために、少しずつ感染者数が減ってきたタイミングで久しぶりに会った友達には、待ち合わせ場所に行っても気づかれなかったり、手を振っても気づかれなかったり、挙句の果てには、私を見て一言「半分じゃん」と言い放ったやつもいた。いやまぁそうだけど。ちなみにとりあえず「半分じゃん」と言ったそいつの頭にはチョップをした。

痩せてからは目まぐるしかった。何を着たら良いか分からなかったから大学の友達を頼った。ものすごい勢いで服を揃えた。服を揃えたら化粧をしていない自分の顔が浮いて見えた。友達とインターネットの情報を頼りに化粧品を揃えた。履きやすさしかない靴よりも、持っている服に合うことを考えた靴が増えた。なんだか物足りなくてアクセサリーも買った。一年に一回しか切らなかった髪を、三ヶ月に一回くらいは美容室に行って切るようになった。筋トレも有酸素運動も2時間続けても平気になったし、納豆キムチだとか鶏胸肉だとかオートミールだとかそういうものを食べるようになった。電車の座席に座っても邪魔そうな顔をされることも無くなった。ただ満員電車は前なら体の大きさだけでスペースを確保できていたけど、今は無理やり押し込まれるので体がねじれて脇腹を痛めたこともある。前よりも友達と出掛けることが増えて、今まで行かないようなところにも行くようになった。おとぎ話だと思ってた生活を送れるようになった。

続きはまた明日。

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