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スカイベリー 空を飛ぶ!

両親が久しぶりに旅行に行った。
もう山や海は大変だと思ったのか、栃木に行くのは珍しいなと思った。
でも、どこへでも良い。
気晴らしは大事だし、病気がちで家にいる時間が長くなっているのは気になっていた。楽しんできてもらいたい。そのために私は隣へ引っ越してきたのだし。

父がパーキンソン病で、見てわかるほどに震え始めたのは5年前くらい。
でも、もしかしたら、自営業で仕事をたたむとき、発症し始めていたのではないか…、と少し思ってしまう。

男性ほど、自分の弱みを見せたがらない所があるとすれば、震え始めていても少しおかしいと思うくらいで病気だとは認めたくないだろうし。

若くして発症すると、介護する時期も早まるから大変と聞いていたが、まだ頑張って自分で散歩にもいくし、もう少し大丈夫かな。

そんな父が旅行中、河原を散歩してベンチで休んでいたら急に胸が痛くなってきて。母も慌てて、これは救急車を呼ぶしかない!と電話したそう。

「河原のそばでお手洗いの前のベンチです。救急車をお願いします!」

その日は抜けるような青空。数日間、強風だったが、その時風は少し弱まっていたと母は話してくれた。

「胸が痛いくて苦しんでいます。心臓の持病もあります」

多分そんな説明をしたのではないかしら。

気の利く、さすがの対応で、心臓が悪い、痛いと聞いたら、救急車とドクターヘリを同時に頼んでくれていたのだそう。
その日は救急車も空きがあったのか、電話で話している間に救急車とドクターヘリがこちらへ向かっていますと言う。話し終わってすぐ、河原の道の遠くから救急車が走ってくるのがもう見えていたそう。

心臓は対応が遅れると命取り。本当にありがたい対応をしてくださって感謝の気持ちでいっぱいだ。

でも、私なんだか笑ってしまって。平和に旅行に行ったはずが、この後ドクターヘリで空の旅をしてしまうのだから…。
(不謹慎で申し訳ないです。その場に居なかったのでなおさら、事の重大さが分かっていない不届きものです…。)

救急車の中で脈拍をはかる。普通の脈拍は60~100以下。
血圧はもともと高いのだが、この時は胸が痛いのだから相当悪いはず。脈拍は200だったと。あと少し長くこの脈拍だったら心臓自体がどうにかなってしまっていたかもしれない。

救急車で点滴を打って様子を見ていたら、脱水も原因の一つだったのか脈拍は落ち着いてきた。でも急いで病院へ行って精密検査を勧められ。

もちろん、異常な脈拍だったのだから、精密検査もお願いする。なので、ドクターヘリに乗せてもらって平和な栃木の旅行が、急遽ドクターヘリでの空の旅へ。

脈も落ち着き、必要な書類を母が書くとき、見出し画像のスカイベリーは仕事のできる素敵な若いお医者さんに持って頂いていた。
母がお土産に買っておいてくれたスカイベリーだ。

このスカイベリー、今日の受験合格のお祝いの夕飯時に、父と母も交えて家族みんなで食べた。

救急車にも乗り、ドクターヘリで空も飛んだこのスカイベリー。
仕事のできる素敵なお医者様にも持って頂いて、沢山褒めてもらったそのスカイベリーは、なんだか私よりすごい経験を持っている。

そんな特別なスカイベリーを食べながら、すごい経験をしてきた、この苺たちを見てなんだか感慨深い。そしてありがたい巡り合わせに、感謝。

私は同じ日に、午後休みを取って友達と会うか、卒業した学校へ行こうと思っていた。でも、友達は都合が悪くなり、学校は振り替え休日で休み。

全てに見放されたが、その日は、なんとなく無性に浅草寺に行きたくなり護摩祈願をしていた。それも良かったのかな。

全ての巡りあわせに感謝でしかない。本当にありがとうございました。

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