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地域を本当に「存続させたい」なら、「地域おこし」を始める前に知って欲しいこと。


■序ーこれから地域おこしを始める皆様へー

これから地域おこしの活動を始める。
これから地域おこし協力隊になろうとする人。
自治体の人に誤った地域のおこし方をしない為に是非読んで頂きたい。

地域のおこし方には3つのカテゴリに分かれています。

何も知らずに始めると大体、イベントをしたり、地域の除草作業したり、祭りを盛り上げる、空き家を何とかするなどの「考えつきやすい」ことに目が向きがちで、どの自治体も同じようなことをします。

しかし、イベントをしたり、祭りを盛り上げることで「地域を活気づける」ことはできますが、根本的な問題、そして皆が夢見る最終ゴール「自治体の存続」やその一歩手前の「移住者の出現」には程遠い結果が待ち受けることになります。

別の記事で詳しく書きますが、日本の人口減少は加速していきます。
今は周囲からポツポツと若い人が消えることに慣れ切ってしまっているし、高齢者が亡くなっていくことを平然と受け入れているかもしれません。

また地方に於いては、家と家が離れすぎていて「噂」で後から若い人が出て行ったことを知るなど、人口がどうなっているのかを知る術もなかなか無い環境ではないでしょうか。

日本の人口は2004年にピークを迎え、それ以降19年も人口減少が進む日本で暮らしているのですから、人が減る速度に慣れている事も考えられますし、都市部で会社勤めをされていた方は人が減っている現状なんて微塵も感じられていないと思います。

しかしながら、どれだけジワリジワリと人が減っているか自治体の人口の推移をHPで確認頂ければきっと感じて危機感を持っていただけると思います。

また2050年までには日本に約1700ある自治体の内、約半数の869の自治体が「無居住地域」になると総務省が資料にまとめています。

2050年あと27年で半数の自治体が「無居住可」、人が居なくなる、無人になるというのですから、これからどれ位人口が減るのか、更に感じて頂けたかと思います。

そんな時間の無い中で、冒頭にお伝えした様な地域を活気づけるだけの地域おこしをしても焼け石に水どころではなくて何の意味もありません。

私がお勧めするのは近隣自治体や隣接する市や都会から移住者を呼び込むことですが、今回はせめても無駄な地域おこしをしない為に地域おこしの3カテゴリをお伝えします。


■活動を始める前に知って欲しい3つのカテゴリ

現状行われている地域おこしのカテゴリは3つあります。

1つはその土地の歴史、遺跡、伝統を活用して、土地のアイデンティティを活性化し、祭りなどを存続させること。

2つ目は、移住者を呼び込み減少の一途を辿る人口を維持し、その結果としてインフラが維持され将来の自治体消滅を回避する方法。
3つ目が、今その自治体に無い、食、文化、イベント、職を創造して自治体を活性化させること。

「地域おこし」で多くの自治体はその土地のものを有効活用しようとします。空き家などの資源を活用すれば、無くなった、もしくは元々無かったカフェやゲストハウス、もしくは若い世代や地域の為に活動する拠点作りをすることができ有用です。

しかしながら、しっかりと頭に入れて欲しいのは、

「地域のアイデンティティ」と地域おこしは切り離して考えるべきです。

皆さん、旅行をしていて町が掲げている看板を目にされたことはないでしょうか?

■アイデンティティと自治体存続は別物

「こけし発祥の町」、「〇〇発祥の町」。

旅の道中で別の町の境界線を越えると、大体こんな看板があります。

中には「〇〇町のごぼう」とか、昭和初期から続く人権問題を未だに引きづったままの「人権の町」なんてPRを兼ねたものさえあります。

しかし、移住を検討している人や地域に関心がある人、旅行に行きたいと考えている人が、

「こけし発祥の町だってっ!行ってみようよっ!」

何て言う人がいると思いますか?

「ごぼうが有名な自治体に移住したいなぁ、ごぼうの名産地を探そうよっ!」

と、googleで検索する人がいると思いますか?

お分かり頂けたと思いますが、土地のアイデンティティと移住者や旅行客を呼び込むのは関係がありません。

また、今までも土地の名産を地域の方々はPRして来たはずです。さらに土地のアイデンティティもずっと叫び続けて来られたと思います。

長年続けていても私たちがその土地を知らないのはなぜでしょう?10年前と違ってSNSの運用を始めている自治体も多くなって来ています。

率直に言うと、今まで誰にも見向きもされなかった、有名にならなかった、移住者が来る材料にならなかったものを叫び続けても自治体の存続や活性化には繋がりません。それはその土地の「現状」が物語ってくれると思います。

生まれ育った土地の「誇り」。それは自治体の方々の「プライド」であって、移住には結びつかないんです。

地方の住人がどんなところに人が行くか、アイデンティティの例と対比すると分かり易いのが「ショッピングモール」です。

今流行っている美味しい食べ物があって、今流行っているおしゃれな衣類や家具や小物がおいてあり、所によってはおしゃれなカフェのような空間さえ用意されています。

ショッピングモールに行くのは10代や20代だけではありません。

30代、40代、50代、60代…、みんな行きます。

なぜならそこに行けば真新しい、おしゃれな空間、美味しい物があるからです。

「こけし発祥」、「ごぼう名産の地」、「〇〇の土地」の旗を振っても来てくれませんが、ショッピングモールには自然と人が集まります。

このショッピングモール的な物が実は田舎にもあります。

「道の駅」や「サービスエリア」です。

その土地のことはよく知らない、けれども道の駅やサービスエリアに行けば何かしら美味しいものや場合によってはおしゃれなものがあるからみんな車から降りて中に入って行きます。

だから土地のアイデンティティをいくら叫んでも、関係人口を増やす、移住者を増やすことには繋がりません。

来るのは窄んでいくあなたの自治体を何とか助けてあげようとする協力者だけです。

そして、協力されても守られるのは土地のアイデンティティだけで、人口は増えません。

だから、もしこれから「地域の為に何かをしたい」と思われている方はカテゴリの2もしくは3に着手していくことをお勧め致します。

  • 1. その土地の歴史、遺跡、伝統を活用して、土地のアイデンティティを活性化し、祭りなどを存続させること

  • 2. 移住者を呼び込み減少の一途を辿る人口を維持し、その結果としてインフラが維持され将来の自治体消滅を回避する方法

  • 3. 今その自治体に無い、食、文化、イベント、職を創造して自治体を活性化させること

2に関しては、「空き家」の整備が非常に効果的です。何故なら移住をしたいと思う人はみな次のことを移住の「メリット」として考えているからです。

■移住者を増やしたいならまず「空き家」整備

「移住したら収入は下がるけど、物価も、家賃も安くなって広い家に住める」

移住希望者の多くがメリットと思っているのは上記の内容です。これは自治体と移住希望者の共通認識で、各自治体もそれを突破口に移住イベントを行っています。

しかし地方自治体の「空き家バンク」を見ると絶望します。
東京の駅に近い1Kでも下手すれば家賃10万超えます。家族持ちで2LDKならその倍。想像を絶する金額です。

しかしながら、地方の空き家バンクを見ると大体「家賃」ではなく「購入価格」の文字ばかり。

近くに駅も、ショッピングモールも無い、古びた一軒家の家賃が8万、10万...。よくあるのは「購入価格1,300万」、「購入価格2,000万」。

確かに家賃は東京のど真ん中より下がります、しかし一軒家で8万。古びた家なのに。神戸市郊外ばりの家賃。

つまり、「空き家」は整備されている様で全く整備されていません。

家主の方々も売れない家をいつまでも掲載しておくよりは、人に貸して収入を得る方が収入も得られます。

また、地方に行くと朽ちた木造の家を目にすることがありますが、木造の家は人が住まなくなれば劣化します。

換気ができずに湿気が溜まり、溜まった湿気は木材を痛め、積もった誇りがカビの温床となり腐食を早める。

資産を守るという観点においても、将来息子や孫に譲渡するにしてもせっかく所有している資産を無駄にするべきではありません。

何より空き家の整備、賃貸交渉、家賃交渉が出来れば移住者の願いの一つである。安くて広い住居の条件は満たされます。

家があるなら移住も検討できますが、家が無いのであれば移住は検討すらできません。

■「2」の後で「3」をやるべし

この章ではなぜ「3」よりも「2」を優先すべきなのか、疑問に思われる方もいらっしゃると思いますので、その理由について少し解説をしていきます。

前章を読んで、ご自身の自治体の空き家情報を検索して下さった方も何人かいらっしゃるのではないでしょうか。

もし、あなたのいらっしゃる地域では十分な「空き家の整備」が行われているいるのであれば、この章でお伝えする「3」に関する活動をお勧めします。

これは卵が先かニワトリが先かの議論にもなりますが、一般的な方は「1」に着手し、それから先見の明や自治体から空き家を活用して欲しいなどの要望が自治体から出ている地域の方々は「3」に着手されることが多いと私は思っています。

何故なら「1」や「3」をやって地域を盛り上げてから移住者を呼び込む「2」をした方がいいのではないかと思われがちです。

しかし、冒頭でお伝えしたように2050年には日本の半数の自治体が「無居住地域」です。

時間がありません。

既に地方移住を検討している人の候補地に早く入る必要があります。グダグダしていると、今以上に都会に人を取られてしまいます。

人口減少は日本全国で起こります。

当面の間は地方や郊外から都会に人が集まるので問題はありませんが、地方からの供給が減れば自然と都市部の人口も減ります。

人口がたくさんいたから高かった家賃や住めないエリアがありました。

しかし、都市部でも人口減少が始まれば、今まで住めなかったエリアで暮らせることさえ可能になります。

つまり地方移住しなくても快適に都市部で暮らすことができるようになります。

そうなる前に移住者に来てもらい、口コミを上げて次、そして次と移住してもらわないと自治体の存続という目標は遠く彼方に消えてしまう。

将来の状況を踏まえると「3」よりも「2」が最優先なのです。今もこの瞬間に移住を希望する方は行きたいなと思う地域、もしくは地域よりはどんな家があるのかgoogleで検索しているのですから。

■自治体に新しいものを創造する価値

空き家の賃貸交渉を含めた本当の意味での「空き家整備」が終わったら、準備が整ったら行うのが「新しいもの」の想像と創造です。

このカテゴリは非常に難しい地方の課題です。

何故なら前半でお伝えしたように多くの自治体、「地域の為に何かしたい」と思っている人の多くは土地の歴史や名産品などの活用、「土地のアイデンティティ」に向いていて、手持ちの材料をもとに何かしようと考える人が多いからです。

しかし、繰り返しにはなりますが、アイデンティティを叫び続けていても、移住したい人に向けての活動ではないので、人口の維持も増加も期待できません。

何より自治体の存続というより、廃れていって傷ついたアイデンティティの補完作業に過ぎません。

アイデンティティから離れて「新しいもの」を生み出すことは、本当の意味で「現実と向き合って、生き残る手段」です。

会社員の場合を例にすると、働いていた工場で作っていた製品が売れなくなった。このままでは給料が減り、会社が倒産して失業してしまう。

そんな状況になっても、ただの会社員の一員であれば、経営戦略をどうこうして発展をなんて事に口は出せないことを知っています。だから無力さを感じて働けるところまで働いて、いざとなれば同業他社や似た製造系に転職します。

ただし、今これを読んで下さっている皆さんには日本のどこかに「守りたい町」があります。

会社の例を元にすればただの一社員ではなく、「経営者の一人」に他なりません。自分たちが何かをしないと会社(故郷)が無くなってします。会社(自治体)を存続させたい。

それが皆さんです。

売れていた製品が売れなくなったのならば、新しい商品、買ってもらえる製品を生み出し、会社の経営を立て直さなくてはなりません。

「工場なんかと私たちの自治体を一緒にするな」とお𠮟りを受けそうですが、工場よりも自治体の方がもっと厄介です。

工場はより広い土地があれば移転できます。

商売が繁盛すれば支店を出せます。

しかし、故郷、自治体は支店も出せませんし、何よりその土地から離れられません。

「新しいもの」を生み出す為にも次のことに気づいて欲しいと思います。

「あなたや自治体が今握りしめているそのアイデンティティや名産品はいつの時代に始まったものでしょうか?」

■歴史を振り返れば土地は何度でも生まれ変わっている

全国の自治体を見ていると面白いのが「〇〇の発祥」や土地のアイデンティティは江戸時代か戦後に定着したものが多いのが実態です。

こけしや下駄、将棋の駒の生産、これらの多くは江戸時代あたりに家内手工業性が広まった時に生産量が確保され、昭和まで広く認知されていたものです。

昭和から平成の前半までこういった名産品は人を呼び込む力があり、観光の一つの目的となり得ました。

しかし、平成後半になると大量生産・大量消費の時代に入りプラスチックのなどの加工し易く、大量生産が可能な商品が溢れそちらに主軸が移っていました。

今、昭和レトロで火がついている昔の布で作られたタペストリーや手ぬぐい、熊が鮭を加えている手彫りの木工品、ホログラムの入ったキーホルダー、金属で作られた五重塔が最近旅先で見られなくなったのは生産活動の変化によるものです。

技術の発展や新しい素材の開発によって、その土地での生産品はその時代によって変化しています。

■変遷の実例ー三度生まれ変わった町、山口県岩国市ー

変化の例として、2023年5月から私が移住した山口県岩国市を例にとってお伝えしたいと思います。

現在の岩国市の土地のアイデンティティは日本三大奇橋に数えられる木だけで作られた荘厳な5つのアーチを描く「錦帯橋(きんたいきょう)」です。

日本酒を嗜まれる方なら「五橋」という日本酒を飲まれたことはないでしょうか。五橋は岩国市内で作られているお酒でこの名は「錦帯橋」が描く五つの橋から出来ていることに由来しています。

このほかに「黒松」、「雁木」、より多くの方に知られているのは「獺祭」が岩国では製造されています。そしてこれらの酒造を支えるのが錦帯橋へと続く清流「錦川(にしきがわ)」です。

この話を聞くと日本酒も壮大な橋もあるのだからさぞ観光客で賑わっているのだろうと思われかもしれません。

ただ、是非Googlemapのストリートビューで錦帯橋の裏町、岩国駅前の商店街をご覧いただけると現状をご理解いただけると思います。

今のこの土地のアイデンティティは現在「錦帯橋」を世界遺産へとのぼりが立てられていることから明白です。

この他に観光すれば「岩国れんこん」、「瓦そば」、「岩国寿司」などを目にすることが出来、名産品を知ることができます。

ただし、この錦帯橋は創建350年と年数は実は浅いのです。

つまり橋が出来た350年前から錦帯橋は土地の「アイデンティティ」、「象徴」になったことが分かります。

ではその前の岩国市はどうだったのか?

図書館で埃をかぶった地方史のページをめくると「錦帯橋」以前に岩国で盛んだったのは「麻布」です。

現在、岩国市役所が立つエリアが「麻里布(まりふ)」。

漢字は異なれど、「まりふ」という名は山口県には岩国市の他に、「田布施」、日本で最古の天満宮、「防府天満宮」のある防府市の三か所に存在し、中国の歴史書に遣唐使に付随して「麻里布」の名が登場します。

「麻里布」、防府では「毬生」と書かれますが、「麻」、「布」、「里」からこの土地では麻が栽培され、「布」が製造されていた「里」であったということが分かります。

また、ページをめくると「玖珂縮(くがちぢれ)」の文字が目に入ります。
実際にどのような織物だったのかは写真も無く、それ以上調べていませんが、地名の入った織物なのでその地域の特産品であったことは間違いありません。

この「玖珂縮」、「錦帯橋」があるのは岩国市横山地区ですが、それよりも広島市側によった「玖珂地区」が錦帯橋ができる以前は主な場所であることが分かります。

更に、歴史を遡ると、今度は「製紙」の文字が現れます。

つまり変遷として、最初は紙を製造することによって岩国は力を入れていましたが、紙が広く流通し売れなくなってからは、製紙から布の販売に製造の主軸を移した。

時代と共に、お金を得る方法、生活をする方法、地方のアイデンティティは移っています。

そこでもう一度。

今のあなたの町のアイデンティティは一体いつから始まったのでしょうか?

そして、今、産業が衰退し、人口が減少しているのなら、事業を起こさなくも新しい農作物を育てる、「今無い、新たなもの」を生み出す時期に来ているのではないでしょうか?

■新たなものを創造するための準備

今握りしてめているものを手放し、新しい地域の価値創造に向かっていただく為に歴史の実例を交えてお伝えしてきました。

きっと今は「新しいもの」生み出そうという方向に気持ちが向いてきて、最初程抵抗感が緩んだのではないかと思います。

「3」。

「新しいもの」の生み出し方は人、地方、文化、色んな要素を絡めればアイディアに限界はあるので有限ですが、無数に生み出すことができます。

また細かく段階を経れば最終的には新たな産業を生み出せは土地の再興は果たせるでしょう。

しかし、まだ移住者や協力者が集まりたいと思えるような「場」、地域おこしの「ハブ」もしくは「拠点」が無いのであれば、それを整備することも「今無い、新しいもの」を生み出すことになります。

既に拠点はあるが、まだ昔から売っている「名産品」を推し、売り続けているのであれば、今の時代に合った、若い人が買いに来てくれる、別の販路が開拓できる名産品を考えることも出来ます。

ただ、それの「想像と創造」の前に大切なことがあります。

それは多くの自治体で「協力者を集めること」と言われます。

外れてはいませんが、ただ協力できる人を集めても烏合の衆です。

協力者を集める際のポイントは2つあります。

1つは「複数の異業種従事者」。

「異業種」は自治体でも良く耳にしますが、「複数」のという言葉で明確化することが肝心です。理由は次とまとめて説明します。

2つ目が、「30代~40代の若い世代」です。

疑問が2つ浮かんでいると思いますので説明します。

■「30代~40代の」若い世代の「複数の」異業種が必要な理由

1つ、「複数の」異業種が必要な理由。
自治体で何か地域の為にしたいと「新しいもの」を生み出す際に必要なのは、複数の異業種です。

これは簡潔で新しい産業を興す、新しい名産品を生み出す、新しい拠点を作る際に複数の異業種が集まれば、それぞれの業種の販路、人脈から情報発信、販路拡大、アイディアの集約が可能だからです。

今多くの自治体は「新しいもの」を生み出せていません。

「今、何を創造するか?」

これは日本の課題でもあり、地方の課題もあります。

その際にそこら辺の自治体職員や地域活性化に携わる人が陥りがちなのは「先行事例」です。

他で成功している事例の仕組みを真似することは正しいと思います。
しかし、大体の自治体は同じことをしようとして人気が出なかったり、土地の風土に合わずに失敗します。

そうではありません。

「今無い、新しいもの」を「その土地」で生み出すのですから、そして多くの自治体が生み出せずに苦しんでいる「難題」に取り組むのですから、色んな経験、知識をもとに生み出した方が他に似通ってマネされたり、被ったりすることのない「独自」のものを生み出せる可能性が高まります。


生み出すまでが一番の難題ですが、生み出した後は「育てる」必要があります。

私の場合は個人で突破口を開くことが多いので、アイディアを思いつくのが個人で、個人が押し進めてもいいと思いますが、大体の人は周囲の人の目や人間関係が気になります。

地方ともなれば、多数の他人に囲まれる「都会」と違い同じ土地に住む「地縁」もしくは親類関係に当たる「血縁」者の集まりです。

それを踏まえると複数で共に考えられれば、「コンセンサス(同意)」が自然と発生します。

認識の齟齬、個人の感情、利害関係で物事が進まないのも田舎で頻発する問題ですが、少なくともこれから地域おこしに携わろうとする皆さんは「合意」を得ていた方が生み出したものを育て易い環境を整えることができます。

次に、これも良く言われることですが「ただ若い」ではなく「30代~40代」のというのが肝です。

これは異業種とも重なりますが、無暗に20代を地域に投入しても余程の行動力と思考もしくは老人キラーでなければアイディアを出したりできません。

仕事して世間を知った、そして働き盛りであり、次の自治体の核となる世代。その世代に中心的に動いてもらう。

今過疎化している自治体、衰退していく企業を見ると、高齢者がいつまでも決裁権限を握りしめてき続けた結果、企業や自治体自体の体制自体が高齢化して、自治体としても自治体の体制としても若返りできず、そしていざ譲ろうとしても後継者が居ない。

良く言う後継者問題へと発展しています。

なので次の自治体の世代の核となる30代~40代に決裁権限を譲るということにもなるので、この世代である必要があります。

最後に、協力者を集める際、大体の人が「同世代」を集めがちです。

これは日本の教育に繋がることなので根が深いので仕方がありませんが、同世代を集めた所で同世代の価値観しか出せません。

移住して来て欲しいのは高齢者でしょうか?

移住者に繋がるような、その町の新しいアイデンティティになるものは同じお年寄りが考えてよいのでしょうか?

■地域に足りないのは「デザイン」

最後に30代~40代の複数の異業種に携わる人を協力者とする理由。

それは「デザイン」です。

多くの自治体のイベントのチラシ、SNSでシェアされる画像。
時によってはお年寄りが必死にWordで作ったものも見かけます。

それを見て移住者は来るでしょうか?
イベントに来てくれるでしょうか?

ショッピングモールに人が集まるのは「真新しい」、衣類、食べ物、おしゃれな空間があるからです。

これらをすべてまとめて「デザイン性」が田舎にはありません。

更にこの「デザイン」は「SNS」、「情報収集力」にも波及していきます。

SNSをやっていない、やり方を知らない、広め方を知らない、活用の方法を知らない。そして、そもそもSNSで情報収集をしていない。

調べない。

地方の人はそもそもSNSを使っていない人が多いように感じるのは私だけでしょうか。

SNSを活用していないから、今の世界、日本をTVや新聞などの時間と容量の限られたメディアを通してみてないから、タピオカブームの時も地方にはタピオカのお店もなく、SNSをしてブームを知らないから「タピオカ?」みたいな感じで新しいブームのお店は地方でヒットしません。

結果として安心できる最先端からちょっと落ちて、地方に馴染み易い定番の定食やそば、ラーメン屋、中華くらいしか田舎にはありません。

それも郊外化の流れで潰れていく。

地方がいつまでも地方の行動しかしない限り、都会の人は来ません。

今後の人口減少、地域消滅を食い止めるのは、子供を産み、地域を元気づけてくれるのは若い世代しかありません。

主軸を移す。

いつまでも古いものを握りしてめていても新しいものは手に入りません。
行動し、思考を変えること。それがすべての始まりです。

■最後に

改めて、これから町おこしをしよう、地域活性化をしよう、地域おこし協力隊になられる方々。

これが今の地方であり、衰退してく田舎で行われていることです。

これを読んで下さるだけで、なかなか地域おこしが進まない自治体においては2歩、3歩先に行けます。

筆末にはなりましたが、皆さまの自治体が末永く、先祖たちの努力と記憶を守ってくださいますように。

新舎 篤 / Shinya Atsushi
広島修道大学大学院修了 イギリス文学専攻
楽天を退職し岩国市に移住
キャッシュレス、第4の携帯事業プロジェクトなどに参加









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