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【おとなりさんちの話】佐賀こども食堂@佐賀市

佐賀の中心部にある勧興(かんこう)公民館で毎月19日に実施している取り組みが「佐賀こども食堂」だ。地域の皆さんが集まって料理をつくり、食事を通した子どもたちの居場所づくりをしている。

公民館の調理室をのぞくと、まさに地域のおばちゃんたちが料理の真っ最中。よい匂いがふわりとやってきて、今にもお腹がなりそうだ。

「おお良い所にきた、味見してみらんね。」とこちらに勧めてくるのは立ち上げメンバーの小原(こはら)さんだ。
いつもは習字の先生として子どもたちとかかわっている荒木(あらき)さん。仕事を調整して毎月ボランティアとしてかかわっている。料理が専らの得意で、この時間を楽しみにしてるんだとか。

佐賀こども食堂が始めったのはなんと約7年も前のこと。まだ「こども食堂」という言葉が私たちのすぐそばに無かった頃、全国で最初に始めた東京都大田区の八百屋「だんだん」の取り組みを新聞で知ったことがきっかけでスタートした、と話してくれたのが発起人の宮﨑知幸(みやざきちゆき)さんだ。管理栄養士として病院で患者さんの健康指導をしていた時、幼少期の食生活が大人になった時の健康状態に大きくかかわることを体感したという。「“もっと子どもたちに栄養についての知識を教えたい”と思っていた時に、子ども食堂を通じてできるかもしれないとピンときたんですよね。」と当時の想いについて教えてくれた。

食事をする前に献立を確認して、全員で手を合わせて「いただきます」と声掛けをする宮﨑さん。みんなの食事が揃うまで待つこと、どんな食材が入っているのか聞くことも子どもたちにとっての学びかもしれない。

しばらくコロナの感染拡大でやむを得ずお弁当の配布をしていたが、この日から全員で集まって会話をしながら食べる形に戻った。参加するスタッフは子どもたちや保護者に積極的に声を掛けていた。

立ち上げ当初から携わっている猿渡(さるわたり)さんは、福岡県大牟田市から参加している。「近くに住んでいないから話せることてあると思うんです。」と話す。コロナ前ぶりに対面で子どもや保護者とかかわる。「ぼくのこと、覚えてる?」と子どもたちに優しく声をかける。
学校の給食のように配膳してもらうスタイル。お代わりをしたい子どもは、自分たちで勇気を出して言いにいく。「おにぎりください…!」「なんこ?」「1こ!」「えっ!もっと食べていいんだよ」と、ついおせっかいしてしまう配膳係のみなさん。
「なにがおいしかったですか~」と全員に声掛けする小原さん。はにかみながら答える子どもたち。「あれ?気づかない間に大きくなったね。」なにげない会話が場をなごませる。

宮﨑さんは、これから出会う子どもたちに向けてどんなメッセージを送りたいのかを聞いた。

「こどもの悩みは大人から見ると些細なことかもしれないけれど、子どもにとって大事なことだと思うんです。痛い時に、痛くないよと言われたら悩み自体も否定されちゃうよね。だから、心にフタをしないで。気が向いたら話してね。」

佐賀こども食堂 
おとなりさん:宮﨑さん、小原さん、荒木さん、猿渡さん
おとなりさんち:佐賀市成章町3-18 勧興公民館
毎月1回(19日 食育の日)15:00~19:00(食事時間17:00~18:00)無料
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Instagramでは写真を、noteでは文字を中心とした読みもので「こどもたちのおとなりさん」を発信していきます。
▶︎アカウントはこちら https://www.instagram.com/kodomo.otonarisan/

こどもをまんなかに、ほっとできる瞬間がそばにある社会を皆んなで緩やかにつくっていきませんか。

編集・書き手・写真 : 草田彩夏(佐賀県こども家庭課 地域おこし協力隊)

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