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行動分析学の記録で「みんな」から「個」の保育へ ~園児からのボトムアップ保育~その1

保育や教育にも流行りがありますよね。

私が保育園に関わった当初は、テレビでヨコミネ式が大々的に放送されていて、「すごい!」と思いました。
その後には、「子どもの主体性を重視した保育」なんて言葉がよく聞かれるようになりました。
その他スマホの見過ぎはよくないとか、睡眠時間が短いと日中の活動が悪くなるとか、、、いろいろ学びました。

流行りと言ってしまうと、ファッションのように時代とともに盛り上がって、すぐに消失してしまうような印象になりがちですが、どれもいい保育で、どれも子どもの成長を支えるものであると思います。

私たちの園では、全く流行っていない「行動分析学を利用した記録をつける」ことを取り入れた結果、地味だけど、とてもいい結果が得られました。

保育者の困りをどう認知するか

行動分析学をはじめから知っていたわけではありませんでした。
どうにもクラス運営に課題を抱え、保育士が困っていた様子だったので、某大学のA先生に助けを求めたのです。
その時、A先生から勧められたのが、「行動分析学を利用した記録の付け方」でした。

保育士が困ることって、職場の人間関係か、子どもたちが言うこと聞いてくれないことが主。特に後者は保育士のプライドがズタズタになり、毎日の仕事が疲弊したものになってしまいます。
私がA先生に助けを求めたときも、こういう状況が見られました。

保育や教育の現場は集団行動が基本です。集団行動ができない年齢の子どもたちが、集団行動の練習をするところと考えてもらってもいいかもしれません。集団行動をトライ&エラーを繰り返しながら習得していく現場ですから、トラブルも頻発するのです。
よく「気になる子」や「支援が必要な子」、「特別な配慮が必要な子」などと表現される、いわゆる集団(団体)行動が苦手で、おともだちともトラブルが多い子がいます。(私もそんな子でした)

保育士は子どもの年齢に合った遊びや制作をし、子どもの育ちを支援しますが、その方法がマッチングしない子がいるのです。
月齢もそれぞれですし、発達のスピードやあり方も様々ですから、当然といえば当然なのですが、じゃぁ、そういう時にどうするか。
ここからが大事なところです。

そういう子がいた場合、「発達に問題があるから」などと、子ども本人に理由をつけてみたり、怒ってみたり、、、あるいは「私は保育士に向いていないかも・・・もう辞めたい」と自信喪失になったりするのです。

でもそのような思考は、保育士が保育士としての役割を放棄することと同じです。プロの保育士なら、「保育する私には何ができるか」を考えなければなりません。
悩むな!考えろ!です。

管理職の仕事


より良くしたいという思い(保育者の欲求)があるから、現実とのギャップがうまれ、困るのです。その保育者の困りを管理職がどう認知し、どう行動すれば、「より良くしたい」という前向きな思いを支援できるのでしょう。
その時私がしたことは、第三者に評価してもらい、アドバイスをもらうことでした。(つまり、他人の力を借りて支援者を支援すること
この案を初めて話したとき、園長先生や現場の保育士たちは拒否感を示しました。
当然です。大学の先生といえど、あったこともない人に自分の保育を評価され、指摘を受けるなんて、、、そりゃイヤですよね。
でも、「いま現に私たちは困っていますよね。このままでいいとは思ってないですよね。だったら相談してみるくらいいいじゃないですか?」と説得し、A先生に介入してもらうことになりました。

A先生は忙しい方だった

A先生にアポイントを取るべく、大学に電話をしましたが、「今授業中です」、「今日は大学にには来られません」とか計5回もタイミングが合わず、6回目でようやく繋がりました。(僕のしつこい性格が初めて役に立ちました)

オンラインという支援の在り方

私たちは離島(屋久島)にいますから、オンラインでの支援をしていただくこととなりました。
初めにクラスの様子を映像に撮り、それをデータで送りました。
数日後の夜、職員全員が集まり、A先生とオンラインでつなぎ、ビデオに映っている子どもの様子や保育士の声かけ、行動をA先生が行動分析学の視点から解説してくださいました。
講義後、研修に参加した保育士にふりかえりシートを提出してもらいました。困りを抱えていた保育士のふりかえりは反省が多くみられました。

きっと保育士たちは講義を受けながら、思考のズレを整えられていったのでしょう。
翌日から保育士の表情が劇的に変わりました。
何か足りなかった歯車がはまり、今まで上手く回転していなかった思考回路が、スムースに回り始めた感じでした。
こういった外部アドバイザーからオンラインで支援を受けることができるのは、現場にとってもすごくメリットが多いです。
①自分の職場がそのまま学びの場になる。
②保育終了後に職員全員で研修を受けられる。
③研修(出張)のためのシフトを組まなくていい。
④日ごろの自分たちの保育がそのまま研究対象になるから、効果が定着しやすい。
⑤研修旅費を抑えられる。
いいことしかないですね。離島やへき地の不利な部分を補うことができるオンラインの支援の在り方は、もっともっと現場に取り入れられていくべきだと思います。

その2へつづく。。。


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